<高校サッカー>浜松開誠館の技巧派レフティー大柴温人が躍動!気合の丸刈りでチームを引っ張っていく覚悟示す
<サッカー高円宮杯U-18プリンスリーグ東海第1節 浜松開誠館 1−0 富士市立 4/5・浜松開誠館G>
プリンスリーグ東海で白星発進した浜松開誠館の攻撃に、これまでの司令塔とは一味違ったスパイスを加えていたのがMF大柴温人(はると)。ハードワークを重視する開誠館のスタイルに引かれ、山梨県からやって来たレフティーだ。
この日はボランチに入り、最終ラインまで落ちてボールを引き取り、機を見て最前線へ。ルーレットでくるくる回ったり、ノールックパスを繰り出したり、足の裏を使ったドリブルで相手の裏を取ったり…。シンプルなプレーをする選手が多いチームの中で異彩を放った。
「自分としては前半も後半もセカンドボールの回収はできていたと思いますが、セカンドボールを回収した後のプレーで相手に引っ掛けてしまったり、パスをうまく通せなかったりしたので、次の試合までにしっかり改善していきたいです」
チームが守勢に回った時間帯は泥くさいプレーや肉弾戦をいとわず、自慢のハードワークでチームの勝利に貢献した。
気合の丸刈り
丸刈りは「自分がやるんだ」という決意の表れだ。1月の県高校新人戦3回戦で磐田東に1−2で敗れた後、「このままじゃ駄目だ」と自分を戒め、チームを引っ張っていく覚悟を周囲にも示した。
元Jリーガーの青嶋文明監督は今後、相手や試合の状況に応じて大柴を中盤のどの位置でも使っていく考えだ。「彼の良さは運動量と反応の速さ。本来ならもっと展開できるはず」。司令塔候補だけに求めるレベルは高い。
大柴自身も指揮官も課題に挙げるのはフィジカル面。今は筋トレを毎日欠かさず「上半身と下半身を日替わりで、ポイントをおさえながらやるようにしている」という。プレー面で参考にしているのは日本代表主将のボランチ遠藤航。デュエル(競り合い)の勝率アップを意識し、「際(きわ)のところで勝てるようになりたい」とイメージを膨らませる。
運動量を武器に
大柴は山梨県中央市出身。小学時代は玉穂FC、中学時代はFCアラセリオでプレーし、山梨県トレセンに名を連ねたことも。県外の高校への進学を考えていた時、中学時代のコーチから「『走る』ことを生かすなら浜松開誠館がいいのでは」と聞いて練習会に参加した。
「自分のハードワークを見てもらって、声を掛けてもらった」。全中制覇を果たした浜松開誠館中メンバーとの熾烈な競争にさらされるのは承知の上で、「やるしかない」と飛び込んだ。
これまでは「トップチームに上がっては、1週間ほどで再び下のカテゴリーに戻る」の繰り返しだったという。2年時は左足首の骨折なども重なり苦悩の時を過ごしたが、今は主力の一人としてしっかり存在感を示している。
「これからは進路のことも大事になってくる。一番に目指しているのはプロ。大学やプロのスカウトも見に来ている試合があると思う。自分のやるべきことを明確にして、チームの勝利に貢献していきたい」
元Jリーガー監督の薫陶を受けて、期待のMFはどこまで飛躍できるか。