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メジャーリーグで初の女性審判。「ストライク!」コールに球場が沸いた理由

文化放送

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時30分~17時、火~金曜日15時30分~17時35分)、8月20日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演。8月9日にアメリカ・メジャーリーグの公式戦で、史上初の女性審判員としてジェン・パウォルさんがデビューした、というニュースについて解説した。パウォルさんは9日に塁審、翌10日には球審も務めている。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「8月9日、日本では大谷選手の3年連続40号ホームランというニュースに隠れてしまいましたが、アメリカでは(ジェン・パウォルさんのメジャーリーグの審判デビューが)大ニュースでした」

長野智子「たまたま私、見ていたんですけど、めちゃくちゃ格好よかったです」

小倉孝保「格好よかったですねえ。すごくジーンと来たのが、観客もスタンディングオベーションみたいなかたちで。球審のときは初球がストライクだった。大きな声で『ストライク!』と言ったとき、ワッと沸いたんです」

長野「意外というか。アメリカでこんなに時間がかかったのには理由があるんですか?」

小倉「ニューヨークで特派員していたとき、女性のスポーツについて突っ込んで取材したことがあって。女子柔道をオリンピック種目にしたラスティ・カノコギさんという方がいて。彼女について調べているうち、アメリカのスポーツでいかにして女性が切り開いていったのか(わかった)。たとえば柔道なんかでも女性はダメだ、という規定はない。でも彼女は20代で初めて団体戦に性を隠して出たとき、男性相手に勝つ。優勝したのに、あとから『あいつは女じゃないか』と言われて彼女だけ取り上げられた」

長野「ひどいですねえ」

小倉「ほかのメンバーは『抗議しに行こう』というけどラスティは『揉めたくない』と。その代わり、彼女の戦いが始まるわけです。女子にも柔道ができる環境をつくろう、同じ気持ちを後輩に味わわせたくない、と。女子柔道は当たり前に行なわれているけど、彼女がいたから楽しめるし、女性も柔道ができるわけです。ジェン・パウォルさんにしても『ストライク!』と言ったとき、なぜアメリカがそこまで喜んだのか」

長野「はい」

小倉「彼女は一生懸命、アンパイアの訓練をして初めて女性で審判を務めた。それ以前に、女性でアンパイアを目指した人がたくさんいたんです。訴訟までしている。彼女たちはトレーニングを受けるとき男性の名前で申し込むなどしている」

長野「ええ~っ?」

小倉「1972円にバーニス・ジェラという人が初めて、メジャーじゃないですけど下部のトレーニングコースに申し込もうとして、『この仕事が女性にできるわけない』と突っぱねられる。訴訟も起こした。このジェンさん、初めてのメジャーリーグの審判でしたけど、その前に先輩たちに触発されて、電話もしている。メジャーまでたどり着けなかったけど下部の審判した人たちは何人かいて。ジェンさんは『私がなんとかしてその窓をこじ開けるんだ』となって、先人たちに勇気づけられてがんばってきた」

鈴木「うん」

小倉「僕たちがテレビで見て『アウト!』『セーフ!』と聞いて喜んでいるだけの物語じゃないんですよ」

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