平塚署管内特殊詐欺 件数減も被害額膨らむ
平塚警察署管内で今年1月から5月までに発生した特殊詐欺の被害件数は12件で、前年同期比で5件減少した一方、被害総額は5千万円増加して約7600万円に上ったことが同署への取材で分かった。
内訳は、オレオレ詐欺が7件、還付金詐欺とキャッシュカードを狙った詐欺が各2件、架空請求詐欺が1件。オレオレ詐欺の手口により、1人で約5700万円の被害に遭った人もいた。総務省職員をかたる人物から「口座が悪用されている」という予兆電話があり、ネット銀行の口座開設を勧められた末に、暗号資産のビットコインをだまし取られたという。
SNS悪用の手口急増
近年増加傾向にある詐欺の手口が、投資ブームに乗じた「SNS投資詐欺」と、異性への恋愛感情に付け込んだ「ロマンス詐欺」だ。同署管内でも、今年4月から5月末までの2カ月間だけで計9件・約7400万円の被害が報告されている。
SNS投資詐欺は、著名な実業家や有名人などの顔写真を無断で使用し、株などの投資話を持ち掛ける偽広告をSNSで発信。最初は運用利益を還元することで出資者を信頼させ、徐々に高額な投資に結び付けて出資金をだまし取る。ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリなどを通して恋愛関係を迫ったり、借金の相談をしたりする中で結婚資金や返済資金を詐取する手口だ。
同署の石井清一郎署長は「投資や結婚に関係した話のため被害額が大きく、そもそも詐欺であることに気が付きにくく、だまされ続けるケースが多い」といい、認知件数は氷山の一角だと指摘する。SNSなどを入り口とした詐欺の多くは、高齢者が狙われやすいオレオレ詐欺と違い、20代や30代など若い年齢層が被害に遭う恐れもある。
石井署長は「詐欺に対する特効薬はない。市民の皆さまには様々な詐欺の手口を知ってもらい、自分自身で防いでもらう必要がある」と呼び掛け、「当署でも、生活安全課によるキャンペーンや自治会などでの防犯講話などを通して積極的に啓発していきたい」と話した。