『ドクター・ストレンジ』スコット・デリクソン、山火事での自宅全焼を語る ─ 火災保険の重要性、モノを失ったことへの思い
米ロサンゼルス西部で山火事被害が続くなか、2018年のウールジー火災で自宅を焼失した『ドクター・ストレンジ』スコット・デリクソン監督が、自身の経験とそこから得た教訓を米に語っている。
2018年11月8日、米カリフォルニア州の複数箇所で大規模な山火事が発生。当時、仕事で息子とともにニューヨークを訪れていたデリクソンだが、ロサンゼルス近郊にあった自宅は全焼し、すべての所有物を失った。
「あの火災の後、僕が唯一持っていたものは、週末の旅行のためキャリーバッグに入れたものだけ。それが全てでした」と、デリクソンは当時を振り返る。家族がそれぞれ異なる形で悲しみを経験したことから、「人によって反応は違うし、悲しみ方も違う」と学んだという。
また、「家を失うことは、個人、カップル、または家族にとって非常にショックなことです」と述べた上で、火災保険の重要性を強調。「手厚い保険に加入している人、十分な保険に加入している人、保険に未加入の人」では、困難の度合いに大きな差が生まれると語った。
「僕は幸運にも本当に良い火災保険に加入していたので、保険内容が不十分な人や未加入の人のような経済的負担はありませんでした。その苦しさがどれほど悲惨で、人生を変えるものであるか、破滅的であるか、言葉では言い表せません。そのような状況にある人々を思うと、胸が痛みます。」
被害を受けたすべての人にとって、第一の課題は「寝る場所」の確保だという。一時期ホテル暮らしを余儀なくされたデリクソンは、「再定住するのには長い時間がかかります。特に家族連れなら、とても窮屈で楽しいものではありません」と振り返り、新たな住居を見つける過酷さを語った。
「家を失った人は、ある日家があったかと思うと、次の日にはホームレスになっていたり、家と呼べる場所がなかったりと、一種の病的な状態に陥ることがあります。保険会社とのやり取り、仮住まいの手配、そして長期的に住むための家探しなど、長い道のりが待っている。その間ずっと、持っていたもの全てがなくなったというショックを感じ続けるのです。」
一方、自宅にあった所有物を失ったことに対して、悲しみを感じることはなかったという。「僕はあまり物質主義的な人間ではありません。実際、“あの雑多な物を処分できて良かった”と少しほっとした部分があります。僕は最も苦しんだ人間ではありません。それは僕が特別だからではなく、ただそういう人間だからです。物質主義的ではないので、失った服を惜しむことはありませんでした。お気に入りの映画ポスターはたくさんあったので、たまに思い出しますけどね」。
当時デリクソンは、燃え上がる自宅から脱出する瞬間、とっさに『ドクター・ストレンジ』で使用した「アガモットの眼」ペンダントを掴んで逃げたというエピソードが。
なお、2025年1月7日に発生したロサンゼルス最大の山火事は現在も延焼が続いている。 少なくとも24名の死亡が確認され、12,000棟以上の建物が損壊または焼失。約180,000人が避難を余儀なくされている。被害総額は1,500億ドル(約23.5兆円)を超えると推定されている。
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