3Dプリンターで鉄道施設ができる!? JR西日本、グループで兵庫県のスタートアップ企業に資本参加(兵庫県西宮市)
ネーミングで連想する「印刷」からは大きく飛躍、モノづくりツールとして注目を集める3Dプリンター。JR西日本と、グループでスタートアップ(ベンチャー)企業育成をミッションとするJR西日本イノベーションズは2024年5月22日、3Dプリンターによる住宅建設を手掛ける兵庫県西宮市のセレンディクス(企業名)に資本参加したことを発表した。
2018年3月に設立されたセレンディクス、企業目標は「世界最先端の家を造る」。2022年3月には、「家を24時間で建てる」と宣言して、実際に10平方メートルの家を23時間12分で完成させた。3Dプリンター住宅は屋根も含めた一体成型で、全体が球形というのがデザイン面のポイント。
JR西日本がセレンディクスに資本参加したのは、「2024年問題」と称される労働力不足の渦中で、駅舎や現場事務所などの設備更新、メンテナンス維持を効率的にこなす目的。線路に近接する駅舎や事務所の建設やメンテは時間的制約を受ける場面も多く、短時間で施工できる3Dプリンター技術が有効だ。
JR西日本グループとの資本提携は、セレンディクスの第三者割当増資をJR西日本イノベーションズが引き受ける形で実施した。出資額は非公表。
資本業務提携にあたり、JR西日本イノベーションズの川本亮社長は「JR西日本グループは『長期ビジョン2032』の指針に沿って、多くのパートナーと一緒に挑戦を続けている。セレンディクスの技術は施工期間の大幅短縮に加えコスト削減も期待でき、鉄道の持続性向上につながる」とコメント。
セレンディクスの小間裕康代表取締役CEOも、「昨今の建設費用高騰は、公共交通機関にもマイナスの影響を与えると聞く。魅力的な駅舎建設などにJR西日本と取り組み、地域公共交通の維持や地方活性化に貢献したい」と抱負を述べた。
記事:上里夏生