“マジックミラー号”展示などで波紋 中野駅前大盆踊り大会が謝罪声明
中野駅前大盆踊り大会の実行委員会は9月9日までに公式サイトを更新し、前夜祭での演出をめぐり区民や行政から批判を受けた件について声明を発表した。
声明では「区民の皆様からご意見やご心配のお声を頂戴いたしましたことを、重く受け止めております」としたうえで、公園内に事前申請の不備があるまま借り受けた車両を設置したことを認め、「行政をはじめ関係の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪。
再発防止に努め、区民に愛される祭りを目指す姿勢を示した。
■ 前夜祭で「マジックミラー号」展示、SNSで波紋
問題となったのは、8月1日に中野セントラルパークで行われた前夜祭「ピンク盆踊り」。
当日、アダルトビデオ撮影用として知られる「マジックミラー号」がネオンサイン付きで展示され、記念撮影用に開放されていたことがSNS投稿などで発覚。また、卑猥な表現を含む音楽にのせて盆踊りをするステージイベントも行われ、「公共の場では不適切ではないのか」と強く問題視された。
■ 区と指定管理者が抗議文「看過できない重大な事態」
これを受け、中野区と中野セントラルパーク指定管理者の東京建物株式会社は8月8日付で主催者に抗議文を送付している。
抗議文では「非常に公共性の高い空間である中野四季の森公園において、アダルトビデオの撮影用車両を無許可で設置したことは、公衆の利用に著しい支障を及ぼす行為」とし、「中野区および中野四季の森公園指定管理者として、看過できない重大な事態」と強く非難。
「このような内容が含まれていることを分かっていれば使用許可を出すことはありませんでした」と抗議し、強い不快感を示していた。
■ 酒井区長「再発防止策を確認した上で判断」 来年以降の開催に言及
9月8日の定例記者会見で酒井直人区長は改めて、「書類審査の中に情報がなかったことが大変遺憾。もし分かっていれば許可は出ていなかった」と述べた。
今後については、「再発防止策は必要だと思います。今回、後援名義を出す上で書類審査を経て許可をしましたが、それに反して行われた。今後どういう姿勢で開催されるのか伺っていないので、しっかり確認した上で判断したい」と語った。
さらに、再発防止策の提示を受けて検討した上で、来年以降の使用許可や公園利用についても決定していく考えを示した。
■ 2013年から続く恒例行事、今後の行方は
「中野駅前大盆踊り大会」は2013年に始まり、区民謡連盟が共催する恒例行事。全国の民謡による生演奏やユニークな趣向で人気を集め、昨年はロックバンド「ボン・ジョヴィ」の楽曲にあわせて踊る「盆ジョヴィ」が話題となった。
今回の声明で主催者側は謝罪と改善の姿勢を示したが、中野区側としては再発防止策を含めた今後の対応を見極めたうえで判断する姿勢を崩していない。祭りの存続と信頼回復に向けた一歩が注目される。
<参考・引用>
中野駅前大盆踊り大会公式サイト(nakabon.jp)
中野区公式チャンネル「中野区長定例記者会見動画(2025年9月8日)」
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By おたくま編集部 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025090906.html