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【建物や土地以外にもかかるの!?】家にかかるお金をプロにインタビュー

リブタイムズ

【建物や土地以外にもかかるの!?】家にかかるお金をプロにインタビュー

初めての家づくり、家を建てるにはいくら初期費用がかかるのかわからない方も多いのではないでしょうか。今回は、建築士であり建築アドバイザーとしても活動されている藤木さんにインタビュー!家を建てるにはどのようなお金が必要なのか、また住宅市場の動向なども詳しくお聞きしました。

お話しを伺った方

株式会社青山芸術 titel(タイテル)建築アドバイザー/建築士 藤木 舞さん

【経歴】幼いころから住宅建築に関心を持ち、慶應義塾大学 SFC にて建築・まちづくりを専攻。その後、設計事務所にて住宅・店舗・オフィスの設計を担当し、2021年にタイテル建築アドバイザーに就任。

家を建てるにはどのようなお金が必要?

家を建てるにはどのようなお金が必要になるのでしょうか。細かく見ていきましょう。

大きく分けて建物・土地・諸費用の3つ

ー家を建てるにはどのようなお金が必要なのでしょうか?

家を建てるには、大きく分けて建物にかかる資金、土地にかかる資金、諸費用の3つが必要です。土地がある場合とない場合で比較すると、必要な金額にかなり差が生まれます。

土地がある場合とない場合の費用の差

ーどのくらい費用の差があるのですか?

住宅金融支援機構が算出した2021年のデータによると、「フラット35」の住宅ローンを使って家を建てた人の中で土地を持っている方の建築費用の平均は3,533万円。土地と建物を購入した方の平均は、土地代が1,436万円、建物の金額が2,961万円で総額4,397万円という結果になりました。

(※出典:住宅金融支援機構)

ー土地がある場合とない場合では1,000万円ほど差が出るのですね!

そうですね。純粋な建物の建築費用のみで比較すると、土地をすでに持っている方のほうが500万円ほど多く建物にお金を使っています。土地にお金をかけない分、建物の建築費にお金を充てるのでしょう。

エリア別に家を建てる費用をまとめた記事はコチラ

>>家を建てるのにかかる費用はどれくらい?住宅本体や土地代の価格相場も解説

建物にかかる費用は主に3種類

家を建てるには土地、建物、諸費用の3種類が必要。ここでは、まず建物にかかる費用について見ていきましょう。建物にかかる費用は大きく分けて建築工事費、付帯工事費、諸経費の3種類。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

建築工事費

ー建築工事費とは?

建築工事費とは住める「箱」をつくることです。まず基礎や骨組みをつくり、水道・電気・ガスなどのインフラ工事を行います。その後、外装・内装の仕上げ工事をし、造作や家具工事を行います。

家をただつくるだけでは、住むことはできませんよね。箱ものの家から生活できるまで、一括してかかる費用を建築工事費といいます。

付帯工事費

ー付帯工事費とは?

基本的には建物の外にスペースを設ける際にかかる費用のことです。駐車場を広めにとりたい、ドッグランをつくりたい、植栽を植えて庭をつくりたいなど建て主さまの希望によってかなり左右されます。

その他にも、プラスアルファで設ける機能や設備についても付帯工事として扱われることがあります。施工会社やメーカーによっても何が建築工事に含まれるのか、何が附帯工事に含まれるかが異なるので、細かい内容を知りたい場合はメーカー等に直接確認することをおすすめします。

ーいま流行りのガレージは付帯工事費になるのでしょうか?

ビルトインガレージは基本建物の中という扱いになるため、建築工事費に分類されるケースが多いでしょう。

諸経費

ー諸経費とはどのようなものがありますか?

簡単にいうと、施工会社に支払う費用のことです。人件費や交通費・必要経費・工務店の方の利益なども諸経費に含まれ、諸経費の金額は工事費全体の10%といわれています。

建物にかかる費用はどうやって決まる?

ー建物にかかる費用はどのように決まるのですか?

面積と構造の2点に大きく左右されます。

ー面積は小さい方が安くなりますよね?

そうですね。延べ床面積が小さいほどもちろん安くなりますし、同じ延べ床面積の場合、建物を上から見たときの形である建築面積が小さいほど安くなります。建築面積が大きくなると、その分基礎や屋根の面積が大きくなるので2階建てより平屋住宅のほうが高いのです。

ー構造にはどのような種類がありますか?

木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の3種類があります。木造が最も安く、鉄筋コンクリート造が最も高いといわれています。

現在はウッドショックやウクライナ情勢などで供給が不安定なため、木材の高騰や鉄骨不足が続いている状況です。鉄骨造と鉄筋コンクリート造の価格差が徐々に縮まり、今後は立地や建物の条件によっては構造ごとにあまり差が生じなくなるのではといわれています。

一般的な坪単価だけで判断するのではなく、自分の求める性能や空間にあった構造を選ぶことが、結果的に高いコストパフォーマンスにつながるのではないかと思います。

土地にかかる費用とは

家を建てるには土地も必要になります。土地にかかる費用を理解しておくことで、予算や希望に合った土地探しができます。

土地にかかる費用を見ていきましょう。

土地自体の費用は地域によって差がある

ー土地代は地域によってどのような差がありますか?

やはり都市部や駅の近くなど利便性がよい土地は高い傾向にあります。土地の価格は地域差が激しいため、自分の建てたい場所を確認し、どれくらい費用がかかるのか把握することが大切です。

土地の取得にかかる費用とは

ー土地の取得にかかる費用にはどのようなものがありますか?

仲介手数料・登記費用・固定資産税・不動産取得税・印紙代などが必要になります。

ー仲介手数料とは?

売主と買い手の間に立ってやり取りする不動産会社に支払う費用のことです。仲介手数料は法律によって上限が決まっているため、自分のケースではいくら必要なのか、事前に金額を把握しておきましょう。

ー登記費用とは?

不動産登記の際に発生する手数料のことです。一般的に司法書士の方など専門家に登記をお願いします。

ー土地代以外にもいろいろな費用がかかるのですね!

そうですね。これらの諸々の費用はローンで払うのではなく現金で支払うケースが多いため、あらかじめ自分の貯金からこれらの費用総額を把握する必要があります。

そのほかの諸費用

家を建てるには建物や土地だけでなく、そのほかの諸費用もかかってきます。建物、土地以外にかかる諸費用にはどのようなものがあるのでしょうか。意外と忘れがちな諸費用もあわせてお聞きしました!

設計料や地盤調査、住宅ローンを組む際の保険料など

ーそのほかの諸費用にはどのようなものがありますか?

設計・施工が分かれている場合は設計料、地盤調査や地鎮祭、上棟式の費用、住宅ローンを組む際の保険料や火災保険料などが含まれます。

ハウスメーカーの場合、設計料は建築費に含まれていることもあります。

引っ越し費用や仮住まい費用の見落としに注意!

ー忘れがちな費用はありますか?

引っ越し費用や仮住まいの費用です。家づくりに真剣になるあまり、家ができるまでの住まいについて考えていなかったという方もいらっしゃるため、必要な金額を把握しておきましょう。

物価上昇の影響は?現在の住宅市場をお聞きしました

物価上昇の影響で今後の住宅価格はどう変化していくのでしょうか。今後の動向をお聞きしました。

鉄骨や建材の不足

ー物価上昇の影響はありますか?

先ほど申し上げた通り、供給が不安定で鉄骨などの建材が不足しているため、鉄骨造や木造の住宅価格はどんどん上がっていく可能性があります。

今後さらに住宅価格が上がる可能性も

ー徐々にほかの建材も不足していきますか?

そうですね。サッシや水回り、仕上げ材などの建材が今年4月に一気に値上げされました。要因として、ウッドショックなどで原材料が不足していることや原油価格の高騰、ウクライナ情勢の悪化などが挙げられます。

また、新型コロナウイルスにより工事を一時中断するケースも増えており、工事費がコロナ前より2、3割上がっている住宅会社もあります。今後はさらに値上げに踏み切るメーカーが増えていくでしょう。

ー住宅はよりハードルの高いものになっていきますか?

ハードルは高くなると思いますが、価格高騰の波がいつ収まるかがわからないため今建ててしまうほうがよいという見方もあります。。一旦上がった住宅価格が下がることはなく、数年待ったら状況が変わるというものでもないためです。

住宅取得を支援する制度も、こども未来住宅支援事業などさまざまな支援制度が登場しています。それらをうまく活用し、かしこく家づくりをしていきたいですね!

コスパだけを見る?家づくりで大切なこと

家は建てて終わりではなく、暮らし方やランニングコストも考慮して家づくりをすることが大切です。ランニングコストの内訳や家づくりのコツを見ていきましょう。

意外とかかるランニングコスト

ー家を建てた後はどれくらい費用がかかりますか?

家を建てた後にかかるランニングコストといわれる費用は、月々の光熱費や毎年支払う固定資産税、火災保険・地震保険、メンテナンス費用などが挙げられます。

中でも光熱費は毎月必ずかかる費用になるため、断熱性能を高めるなど家づくりの段階からコストパフォーマンスを考慮するとよいでしょう。

ーメンテナンス費用とは?

外壁の塗り直しや防水加工の塗り替えにかかる費用を指します。メンテナンスの費用はどのような建材を使うかで耐用年数は変わりますが、およそ5~10年のスパンで行うと考えてよいでしょう。

「育てていく」家づくりを

ー家を建てるには、建築後にかかる費用のことも考えて家づくりをしたほうがよいのですか?

そうですね。建築時に多少のコストはかかっても断熱性能は確保するなど、初期費用を多めに出して長い目で元を取っていくというのもよいと思います。

ただ、性能やメンテナンス性だけで選ぶのはあまりおすすめしません。自分の好きなものに囲まれて暮らし、経年劣化もひとつの醍醐味ととらえてメンテナンスをしながら「育てる」という考え方で家づくりをするのもよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?家を建てるには建物の資金、土地の資金、諸費用の3種類が必要であり、それぞれに手数料など目に見えない費用がかかるとわかりましたね。

家づくりにかかる費用を正しく理解することで、予算や暮らしに合った家づくりを実現できます。ぜひ家づくりの参考にしてみてください!

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