『ONE PIECE』天竜人の情報まとめ|最初の20人のうち現在わかっている11の血筋は? なることも辞めることもできる仕組み?
※本記事には『ONE PIECE』コミックス、アニメ未収録のネタバレを含みます。コミックス派やアニメ派の方等、ジャンプ未読の方はご注意ください。
海賊王を目指し海へ出た主人公モンキー・D・ルフィとその仲間たちの活躍を描く、週刊少年ジャンプで連載中の漫画『ONE PIECE』(原作:尾田栄一郎氏)。
本作で海賊であるルフィたちと真逆といえる立ち位置にあるのが世界政府の天竜人(世界貴族)です。
天竜人といえば宇宙服のような衣装や、「◯◯だえ〜」とねっとりした特徴的な喋り方で理不尽極まりない横暴な振る舞いをするチャルロス聖のイメージが強いですよね。
しかしストーリーが進むにつれ、天竜人を辞める者が登場したり、「神の騎士団」「五老星」さらにその上をゆく「イム様」が活躍したり、その印象が変化してきました。
意外にも多様な天竜人にはどんな家柄や身分があり、どのように組織されているのか、現時点で判明している情報をまとめました。
「最初の20人」の末裔である天竜人
始まりは「空白の100年」にあたる800年前。
20人の王が率いる連合軍が、ジョイボーイ率いる高度文明を持った「ある巨大な王国」と戦争し勝利を治め、「世界政府」を樹立して赤い土の大陸(レッドライン)の上の「聖地マリージョア」へと移住しました。
その末裔が天竜人です。
これまでに登場した天竜人とその家柄
現在も「20人の王」の末裔たちが天竜人として「聖地マリージョア」で暮らしています。つまり、天竜人の姓は20種あるということに。現時点で判明している(作中に登場している)天竜人とその家柄(姓)は以下の通り。
<イム様>
◯ネロナ家
・イム様
<五老星・神の騎士団>
◯ジェイガルシア家
・サターン聖
◯マーカス家
・マーズ聖
◯トップマン家
・ウォーキュリー聖
◯イーザンバロン家
・ナス寿郎
◯シェパード家
・ピーター聖
・ソマーズ聖
◯フィガーランド家
・ガーリング聖
・シャムロック
◯リモシフ家
キリンガム聖
◯?家
軍子
<一般の(?)天竜人>
◯ロズワード家?
・ロズワード聖
・チャルロス聖
・シャルリア宮
※図鑑型の『ONE PIECE』公式ファンブック「ビブルカード」には「ロズワード家」と記載があるが、そうなるとロズワード聖だけ他の天竜人と違い名字で呼ばれていることになるため、別の姓を持っている可能性が高い
◯ドンキホーテ家
・ミョスガルド聖
・ホーミング聖
・ホーミング聖の妻(名前不明)
・シヴァーカレロ聖
・ドフラミンゴ
・ロシナンテ(コラソン)
◯マンマイヤー家
・?
◯?家
・シャルマック聖
◯?家
・プルミング聖
◯?家
・カマエル聖
・カマエル聖の妻(名前不明)
◯ネフェルタリ家
・リリィ王女
上記の通り、現在姓が判明している天竜人はロズワード聖も含むと11の血筋。
ネロナ家に関しては20人の王の末裔ではなく、800年前当時よりイムが存命であるよう。当時から抜きん出た権力を持っていたのかは謎。現在は表向きの最高権力である「五老星」をもひざまづかせる権力を持ち、イムの一存で世界を動かしている状態です。
そして実は、アラバスタ王国も元は20人の王が組織した連合軍の一員でした。当時の王の名は「ネフェルタリ・D・リリィ」。実はDの一族であったリリィ王女は「歴史の本文(ポーネグリフ)」を後世に伝えようと尽力し、天竜人になることはなかったものの、かといってその後アラバスタにも戻らぬまま行方をくらませてしまったといいます。
奴隷を買うのは当たり前。「虫ケラ」「ゴミ以下」呼ばわりも…天竜人の基本的な性質
イム様も、五老星も、神の騎士団も、その他の天竜人も、“聖地マリージョアに住む自分達は至高で特別な存在”“特権を与えられた存在”ということを植え付けられて生きてきたためか、基本的に自分達以外を“下々民”と呼び、「人間を人間として扱わない」というなんとも非道な性格・性質をしています。
わかりやすい例でいえば、人間・魚人・人魚などを奴隷やペットにし首輪をつけて歩かせたり、ヒューマンショップでの人身売買オークションを娯楽としたり、人間狩りのゲームも行ったり。さらにはくまの父のように「うるさい」という理由で殺されてしまったり、前を横切っただけの相手を躊躇うことなく銃殺したりとやりたい放題。もちろん対象が女子供であっても一切容赦なしです。
また、とあるキャラクターからは「奴隷にされた娘が憐れな姿で帰って来て一言も喋らずに3日後に自害した」と、それ以上の惨い仕打ちが行われていることを予感させる証言も。最近の連載ではジニーが無理矢理嫁がされるさせられる形で生まれたのがボニーだと判明したのは衝撃的でしたよね。
「五老星」「神の騎士団」など天竜人の中でも位が高くなると、上記のようにスタンダードな天竜人ムーブはあまりしない印象もありますが、実際には「神の騎士団」から「五老星」へと出世を果たしたガーリング聖もゴッドバレーで人間狩りゲームに参戦していましたし、魚人族を「ゴミ」呼ばわり。サターン聖も人間の命は「虫」「虫ケラ」と表現していました。
何より、非公式的とはいえそんな天竜人全体のトップに君臨するイム様も「近い」という理由だけでルルシア王国を丸ごと消滅させてしまうくらいなので、慈悲も倫理観もなにもあったものではありません。
人間に寄り添う天竜人や、改心する天竜人もいる
とはいえ、稀ではありますが天竜人の中には善良な心を持つ、または取り戻す者も存在します。
ドフラミンゴとロシナンテ(コラソン)の父であるドンキホーテ・ホーミング聖とその妻は「自分たちは人間である」として、自ら聖地マリージョアを去り天竜人をやめることを選びました。
しかし、虐げられてきた人々は天竜人全体に憎しみを持っており、いくら善良な心を持っているとはいえ元天竜人である一家を受け入れることはありません。
良くいえば善良でピュア、悪くいえば天竜人暮らしが長く世間知らずだったホーミング聖は、「天竜人も同じ人間である」という気持ちが災いして、結局は家族を危険に晒すことに。妻を失い、息子たちは拷問に遭い、その結果息子に恨まれ殺されるという悲惨な末路を辿りました。
そんなホーミング聖の親戚にあたるドンキホーテ・ミョスガルド聖も、かつては他の天竜人のように横暴なふるまいを見せ、魚人から恨みを向けられ殺されかけても「わちきは偉いのに…!?」と状況が飲み込めていない様子でした。
しかし、オトヒメ王妃に諭され改心し、のちの世界会議(レヴェリー)では「亡きオトヒメ王妃に諭され 人間にしてもらった!!!全力であなた方の力になりたい!!!」とネプチューン王に宣言し、しらほし姫を襲わんとするチャルロス聖を妨害するまでに。顔つきも口調も凛々しく精悍なものに変化し、当時の自分を「愚かな天竜人」と称し、奴隷も一人も持たないなどの成長を遂げたミョスガルド聖ですが、異端の反乱分子と見做され、ガーリング聖に処刑されてしまうのでした。
奇しくも両者ともドンキホーテ家の天竜人なのは偶然なのか……。結果としてどちらも悲惨な最後を迎えることになってしまいましたが、少なくとも天竜人の中にも真心のある者がいるのだと印象付けるきっかけをくれた功績は賞賛に値するのではないでしょうか。
天竜人は誰でもなれるが、やめたら戻れない?
20人(正確にはネフェルタリ家を抜いて19人)の王が天竜人の始祖となってからは、聖地マリージョアに住むのは子孫代々生まれながらの天竜人なのかと思いきや、実はそうでもないようで……。最近になってじわじわと「誰でもなれる説」が注目を集めています。
たとえば、ベガパンクの猫(サテライト)の一人、欲(ヨーク)やサボの義弟にあたるステリーが天竜人になろうとしていたり、巨人族のロキをメンバー直々に「神の騎士団」にスカウトしたりと、どうやら後天的にでも天竜人になれる方法が存在するようなのです。
一番簡単そうな方法でいえば、天竜人の誰かの養子になる、妻になるというのが近道なのかもしれませんが、“下々民”を心身共に奴隷扱いせず家族として同等に扱うことができる天竜人がいるのかは謎なところ。
ホーミング聖が聖地マリージョアを去るときには、天竜人であることを証明する「チップ」を回収をされました。そのため、迫害されても聖地マリージョアへ戻ることは許されませんでした。この「チップ」が身分証明の役割を果たしており、政府との取引などの上で「チップ」を入手すれば天竜人になれるという可能性も考えられます。奴隷にも「刻印」をするくらいなので、自分たちも権威を保持するためには天竜人であるしるしが必要なのかもしれません。
ちなみに、シャムロックと軍子のように天竜人でありながら名前に「聖」や「宮」がつかない者もいるようで、そういった点も後天的な天竜人の存在を示唆しているのではないかと考えられます。
「空白の100年」を知らない天竜人も
世界政府によってひた隠しにされる世界の「空白の100年」。これがタブーであることは、「五老星」など一部を除き対天竜人であっても変わらない可能性があるようです。
全世界に向け、「空白の100年」や世界が海に沈むという重大なメッセージをのこしたベガパンクですが、この発信を聞いたシャルリア宮は「「空白の100年」?何アマス?それは…」とまるでなんのことかわからない様子でした。
天竜人全体の教育方針として、ある一定の年齢まで教えないとか、性別によっては教えないなどの取り決めもあるのかもしれません。が、かつてのミョスガルド聖がなぜ自分は偉いと本気で思っていたように、大半の天竜人が「自分たちは生まれながらの上位存在なのだ」ということを幼いころから叩き込まれて育ち、上層の情報統制によって自身の祖先が何をしたのかなど知らない可能性は大いにあるといえるでしょう。
世界からみた天竜人とは
ごくごく一部をのぞいて横暴で理不尽極まりないふるまいをする天竜人は、やはり世界の一般民衆からは嫌われているようです。映画『ONE PIECE FILM RED』では、ウタが天竜人について「世界一の嫌われもの」だと書かれた本を読んだと語っていました。逆らうことで命を落としかねないので、自身や家族を守るために従うしかない恐怖の対象といったところなのでしょう。時にそれが憎悪に代わり、革命軍を熱く支持するようになる者も出てくるんですね。
もちろん、ルフィをはじめとした海賊も天竜人のあまりに筋の通らない言動を嫌う者が大多数。一応は政府側の人間である海軍のガープでさえ、天竜人を「ゴミクズ」とはっきり口にしています。
ガープの言葉を借りると、ハッキリ言ってドがつくほどのクズ……。そんな印象が長らくつきまとう天竜人ですが「イム様」の登場や「五老星」「神の騎士団」の活躍によってもっと根底の方にある天竜人、ひいては世界政府という組織の闇が見えてきました。ルフィたちがさらに先へ進み、「空白の100年」をはじめとした消された歴史の核心に迫ったとき、天竜人たちがどんな末路をたどるのか、しかと見届けたいですね。
[文/まりも]