誰でも教えられるなんてことありません!日本語教師の愚痴!
宮藤官九郎さんがいろんな職業の愚痴を聞く番組。
1月10日の放送は、日本語教師の愚痴!
Tさん(日本語教師歴9年)
・「去年まで、プライベートスクールで教えていたが現在はフリーランス」
・「今いる生徒の国籍はアメリカ、イタリア、韓国、オーストラリア、チェコ」
・「年齢層は、下は14歳から上は68歳まで」
Hさん(日本語教師歴7年)
・「過去には日本語学校で、アジア圏の20代前半~30代半ばの方に」
・「今はオンラインや個人で、インド、カナダ、サウジ、フィリピンの学生や働いてる30代の方に」
T:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、日本語なんて誰でも教えられるでしょ? ってしょっちゅう言われるんです。
宮藤:ちょっとそう思ってましてごめんなさい。
一同:笑笑
宮藤:喋ってるもの日本語。英語の先生にはなれないけど、日本語先生には。どっち先になれるかって言われたら、日本語だろうなとは思ってましたし。思ったんすけど、日本人です日本語ちゃんと使ってないですしね。
T:そうですね。
宮藤:そのくせ、日本語なんて誰でもそんな教えられるじゃんって。どこが大変なのかちょっと聞きましょうか。お2人が書いてあるのが「とにかく準備が大変」。
T:大変です。
宮藤:何の準備するんですか?
H:授業の前に、何を喋るか「教案」みたいなのを作らなきゃいけないんですよ。例えば、今日の会話レッスンだったら「こういうトピックを持っていこう」とかっていうのがあれば、どういう順番でどういう話の持っていき方、授業の構成をしていこうかっていう準備を事前にしなきゃいけないですよ。やっぱりぶっつけ本番で行っても、なんかひっちゃかめっちゃかなるし支離滅裂になるので、ちゃんと意味のある授業を作らなきゃいけない。限られた時間の中で。
宮藤:なるほど。
H:その事前準備ってのは絶対必要になってきてそれが大変なんですよ。
T:こういうのを作ったりするですよ。
宮藤:なるほど!図解するわけですね。電車の席が1個空いてる絵があって、そこに「空いている座ろう」って書いてあんですね片方は。「ああ、席取られちゃった」。
T:例えば、初級者に見せると「男の人が座った」って言うんですよ。事実じゃないですかそれは。でもこれはちょっと、もうちょっとレベルが中級ぐらいになるので、「自分の気持ち」を言わなきゃいけないんすよ。
宮藤:なるほど!
T:「自分も座りたかった!」なんて言う?みたいな。「座られちゃった」とか「席取られちゃった」とか。こんなことをやってるんですよ私たちはずっと!
宮藤:確かにわかる!
T:時間かかるんです!
宮藤:これあの2人が書いてるんだけど、去年国家資格になった?
T:なりました。
宮藤:今まで、逆に言うと資格必要なかったんですか?
T:これ微妙で、私日本に帰ってきて、日本語教師養成講座っていうところに行ってるんですね。先生のための勉強するところ。そこで420時間の勉強するんですよ。トレーニングするんですね。卒業証書みたいなものをもらったら、この人は420時間トレーニングしたぞっていう証書がもらえるのと、あとは日本語教育能力検定っていう検定試験があるんですけど。それが結構なかなか大変な試験なんですよ。大体合格率は2割強から3割ぐらい。
宮藤:日本語の試験ですよね?
T:日本語教育の試験です。それを受かれば、"告示校”とかで働ける先生なんですね。
宮藤:"告示校”って何ですか?
H:ビザが出る学校です。
T:私は420時間も持ってるし、検定試験も受かってるんですよ。ただ、国家試験に去年なったので、また取り直さなきゃいけないんですね。ですが、これもちょっと変で。告示校で働く人がこれを取るっていう感じになってるんです。国家資格が要るみたいな。でも、私今フリーランスで働いてるじゃないですか。いらないんですね。だから、国が何をしたいのか本当にわかんないです。
宮藤:なるほどね。「告示校で働くためには資格が必要ですよ」にしたってことは、その告示校っていうのを広めたいっていう?
T:どうなんだろう・・・ただ、私もやっぱりこの仕事長いので「ちょっと学校で働いてみようかな」っていう気になるときはたまにあるんですね。でも給料を見ると、常勤・非常勤講師とあって、家庭もあるのでちょっと非常勤で働きたいなって思うじゃないですか。時給を見ると、資格が無い先生との差が150円とかだったりするんですよ。働く意味なくないですか?資格持ってて、今フリーランスで生徒から直接もらっているお金より下がるんですよ。
H:教えるのが上手い先生ってやっぱたくさんいるんですよね。だけど結局そこに魅力を感じないから、できるベテランの人が辞めてったりとか、センスのいい先生も辞めてったりとかっていうのももちろんあるので、損失でしかないのかなっていう気はしますね。
T:だから、やっぱ有資格者と持ってない先生のやっぱお給料をガッと広げないと、続ける方はいなくなりますよね。
宮藤:なるほどね。「この人ちゃんとした資格を持ってるからこれぐらい優遇しますよ」っていうことが無かったら取らないですよね。
T:そうなんですよ。
宮藤:なるほどな。「誰にでも教えられるものじゃない」っていうことを証明するために国家資格にしたわけですよね。なのに、それによって待遇が変わらないんだったらね。
T:そうです・・・
(TBSラジオ『宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど』より抜粋)