直江津の鉄道博物館整備を断念 中川幹太上越市長の公約 財政負担多額で春日山を優先
新潟県上越市は、中川幹太市長の看板公約である通年観光計画で、直江津地域に整備するとしていた鉄道博物館建設を断念した。同市が2025年7月に策定した鉄道遺産群活用基本計画で、多額の費用による財政負担の懸念から「通年観光計画期間における新たな建築物の整備は見送りとする」とした。
《画像:鉄道博物館としての整備が検討されていた「直江津D51レールパーク」の扇形庫と転車台》
中川市長は2021年に初当選した際の公約に「鉄道博物館をつくります」と記載していた。
市は昨年度、春日山、直江津、高田の3か所を重点地域として、2024年度から2030年度までを期間とする通年観光計画を策定。より具体的な計画として、直江津地域の鉄道博物館を含む鉄道遺産群活用基本計画策定を、約990万円かけプロポーザル方式で民間事業者に委託した。
通年観光計画では、鉄道博物館を直江津駅に隣接する「直江津D51レールパーク」に2028年度までに建設するとしている。交通公園(同市五智6)にある蒸気機関車D51の移設・動態化や鉄道博物館整備に合計約5億3000万円を見込んでいた。しかし、鉄道遺産群活用基本計画策定時の可能性調査の試算では、合計約27億3800万円と大きく膨らんだ。
鉄道遺産群活用基本計画は「着手すれば運営費や維持管理費に多くの経費が継続的にかかるため、黒字化できない場合、実施主体に多額の財政負担が生じる懸念がある」として、建設見送りを結論付けた。
中川市長は上越タウンジャーナルの取材に「2030年には上杉謙信公生誕500年を迎える。まずは春日山城(の整備)が一番。優先順位を付けていかねばならず、すべてのことを同時にはできない。そういう意味でご理解いただくしかない」と話した。
▽鉄道遺産群活用基本計画(PDF( https://cdn.blog.st-hatena.com/files/4207112889963685954/6802418398537080448 ))
上越市通年観光計画 - 上越市ホームページ( https://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/miryoku/tunenkanko.html )