九州新幹線新鳥栖駅にまちの歴史伝える鉄道ジオラマ 急逝した鉄道カフェオーナーの遺志を継ぐ(佐賀県鳥栖市)
九州北西部の「鉄道のまち」といえば、真っ先に名前が挙がる佐賀県鳥栖。鹿児島線と長崎線の分岐点として発展。国鉄時代、8620、C57、D51といった多くのSLが所属した鳥栖機関区をはじめ、電力区、検車区といった現場機関が置かれた。
SLが姿を消して半世紀あまり、機関区に代わって今はJR九州鳥栖運転区が置かれるが、まちの人たちの鉄道愛は変わらない。そんな鳥栖からの話題……。
在来線のJR鳥栖駅と並ぶ玄関駅、九州新幹線新鳥栖駅の改札内に鳥栖駅周辺のまち並みを再現した鉄道ジオラマが登場し、駅利用者の目を楽しませている。
ジオラマは、幅3.5メートル、奥行き1.8メートルで、時代設定はSLの最盛期だった1960年代。SLが居並ぶ鳥栖機関区を再現した。
製作者は地元の鉄道カフェ「門トス」のオーナーだった故田中伍夫さんと、仲間の鉄道復活隊メンバー。店名は、国鉄時代の門司鉄道管理局鳥栖機関区の略称だ。
鉄道を愛した田中さんは昨春急逝。ジオラマは安住の地を失ったが、移転先を探す鉄道復活隊の申し出を、JR九州佐賀鉄道事業部が快諾。新幹線改札内の一部を提供することにした。
2025年4月末のお披露目セレモニーで、佐賀鉄道部の阿部俊浩部長は「田中さんの思いを引き継いで、ジオラマを地域のぎわいづくりに役立てたい」とあいさつした。
記事:上里夏生