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「瀬戸内国際芸術祭2025」の歩き方<宇野港エリア編>

岡山観光WEB

2025年4月18日(金)よりスタートし、現在春会期開催中の「瀬戸内国際芸術祭2025(瀬戸芸)」。「海の復権」をテーマに掲げ、岡山県と香川県の島々と沿岸部にて3会期に分けて開催される、日本を代表する芸術祭のひとつです。 会場は瀬戸内海の島々だけでなく、岡山県(本州)側の玄関口である宇野港エリアにも多数の個性的なアート作品が展開されています。記事ではフェリーの待ち時間や、島からの帰りにふらっと立ち寄れる宇野港エリアのアートスポットを紹介します。新作情報も満載! 【瀬戸内国際芸術祭2025 開催期間】 春:4月18日(金)~5月25日(日) 夏:8月1日(金)~8月31日(日) 秋:10月3日(金)~11月9日(日)

宇野港エリアについて

宇野港エリアとは、JR岡山駅から電車(宇野みなと線)で約1時間、JR宇野駅前にある宇野港を中心としたエリアです。

徒歩圏内に点在するアート作品のほか、今回(2025年)の瀬戸芸では郊外の「日の出公園」、「Power Base」、「深山公園」にも作品が展開されています。郊外にある各作品は自家用車のほか、後述する芸術祭シャトルバスで周遊することもできます。

春会期の開会にあたり、2025年4月19日(土)には、オープニングセレモニーも催されました。

un05 JR宇野みなと線アートプロジェクト(JR宇野駅) / エステル・ストッカー

明るい太陽によく映える白亜の駅舎を、トリックアートの技法を用いたストライプで装飾した作品。アートの島々へ向かう旅行者を明るく出迎えてくれます。

また、JR宇野みなと線沿線の各駅(備前田井駅、八浜駅、常山駅)でも同作家による装飾を見ることができます。

un03 終点の先へ / 小沢敦志

放置された自転車をアートな自転車に再生した作品で、レンタサイクルとして実際に借りて乗ることも可能です。

ちなみに自転車のカラーは、かつて宇野港と高松港をむすんでいた「宇高連絡船」の塗装色より着想を得られました。

un17 潮返 / マフマドマフ

JR宇野駅から北西へ徒歩約5分の路地裏にあるこちらの作品は、2025年の新作です。

約40年前に廃業した銭湯跡を用いたインスタレーション(空間芸術)作品で、タイル張りの浴室内にミストと音が広がり、不思議な世界観を演出しています。

感じ方は人それぞれかと思いますが、間欠的に発生するミストに天窓からの光が当たり、刻々と変化するようすは、まるでモノクロの万華鏡をみているような感覚でした。

un16 命の塩 / SILT

2019年に航路休止となった四国フェリーの待合所にて展開されている塩を用いたアート作品で、こちらも2025年の新作です。

こちらの作品は、砂を使ったアート(サンドアート)を手掛けるアーティスト集団「SILT」によるもので、砂の代わりに玉野市内にて作られた塩を用いて作られています。

春会期にて作品のモチーフとされたのは日本神話です。
また夏会期、秋会期とそれぞれ異なる作品を発表し、ひとつの物語がつながるようになるそうです。

【番外編】しまSHIMA / 妹島和世・西沢立衛

宇野港の前に不思議な形をしたベンチが新たにお目見えしました(こちらは瀬戸芸作品ではありませんが、周辺アート作品として紹介します)。
こちらをデザインしたのは、あなぶきアリーナ香川をはじめ瀬戸芸にも深く関わっている建築家、妹島和世・西沢立衛(SANAA)の両氏。
モコモコした独特の形は、瀬戸内の島々をイメージしています。

素材感も柔らかく、個性的なベンチですのでフォトスポットとしてもおすすめです。

【番外編】Heart / 玉野市立玉野商工高等学校 機械科

宇野港を東に望む岸壁に、新たなフォトスポットが誕生しました(こちらは瀬戸芸作品ではありませんが、周辺アート作品として紹介します)。
手がけたのは市内にある玉野商工高等学校 機械科のみなさん。

2本の鉄を曲げて交差させることでハートの形にしています。

スマホ対応のセルフ撮りスタンドもありますので、港を行き交う船をバックに撮影してみてくださいね。

un08 海の記憶 / 内田晴之

宇野港から西へ徒歩約10分、玉野市役所の南「中央公園」内にあるアート作品です。
御影石の台座の上に乗った三日月状のオブジェは、船のようにみえますね。こちらの内部には海水が封じ込まれていて、作品自らに「海の記憶」を宿しています。

自家用車にて来場の際は、隣接する玉野市役所の駐車場に駐車してください。

【番外編】宇野港第一突堤緑地

宇野港の東側に広がる緑地で、クルーズ船などの大型船が接岸できる岸壁があります。
緑地内には瀬戸芸のアート作品が点在するほか、「UNO」のモニュメントも(こちらは瀬戸芸作品ではありませんが、周辺アート作品として紹介します)。

ベンチも点在しているので、海を眺めながらの休憩にも最適です。

毎年5月には「たまの・港フェスティバル」の会場となり、多くの人でにぎわいます。
※2025年は5月17日(土)、18日(日)の2日間開催されます。

un04 宇野のチヌ/宇野コチヌ /淀川テクニック

宇野港エリアで一番最初に設置された瀬戸芸のアート作品で、2010年の瀬戸芸にて制作されました。以来、瀬戸芸が開催される年ごとに外観をリニューアルしつつ現在まで展示されています。

今では宇野港のシンボルとなっているこちらのオブジェ、モチーフとなっている魚は宇野港周辺に多く生息するチヌ(黒鯛)。カラフルな外観は、玉野市内で発生した廃棄物を使い制作されています。

2016年には内部がすべり台になっている「宇野コチヌ」もお目見えしました。

ちなみに現在、チヌの消費量を増やす取り組みが官民あげて展開されていて、宇野港周辺の飲食店でもチヌを使った料理を頂くことができます。

un02 舟底の記憶 / 小沢敦志

宇野港エリアのある岡山県玉野市は、造船で栄えた町。こちらのアート作品は、船のスクリューといかりに、玉野市内で発生した鉄の廃材を溶接してつくられたものです。

不定期でワークショップイベントもおこなわれていて、その際にはアーティストの小沢敦志さんとともに熱せられた鉄を叩いて延ばす鍛造体験ができます。ちなみに筆者も2013年に高松港で開催されたワークショップに参加しました(写真はその際に作ったもの)。

un14-4 tower(UNO) / 金氏徹平

クルーズ船などが着岸する南側の岸壁近くに、今回新たなアート作品がお目見えしました。

トリックアートのような作品で、海を背景にユニークな写真が撮れることで人気です。

後述する金氏徹平氏の作品群を含め、瀬戸内国際芸術祭公式サイトの特集ページ「金氏徹平作品で巡る宇野港エリア」に詳しくまとめられているので、鑑賞の際の参考にしてみてください。

un15 The Home/プ・ジヒョン

2025年4月、かつて宇野と高松を結んだ宇高連絡船のバース(岸壁)があった場所に、新たな作品が設置されました。

ステンレスの板金と、漁船のライトを組み合わせた無機質さがとてもクールな作品。

裏手に回ると、沖に見える直島が楕円型のプレートに映り込みます。

また、この作品の奥側は海に突き出しているので、瀬戸内海をバックにしたフォトスポットとしてもおすすめです。

すこし足をのばして郊外へ

今回宇野港エリアでは、作品が広域的に展示されていることも特徴のひとつです。しかし、公共交通機関の利用だと、各アートスポットを巡るのも大変ですよね。

芸術祭期間中、郊外の各アートスポットを巡る無料の周遊バスが運行されています(時刻表はこちら)。
予約不要、夏会期以降も運行予定ですので、気軽に使ってみてくださいね。

un14-1 S.F. (Seaside Friction) / 金氏徹平

玉野競輪場の向かいにある、南国ムードのただよう「日の出公園」。こちらにも金氏徹平氏による作品が展開されています。

こちらは2022年の瀬戸芸にて公開された作品で、隣接する玉野競輪場を改修する際に発生した観客席などの廃材を利用しています。

また、公園内に複数植えられているリュウゼツラン、2024年に開花したことで話題となりましたが、2025年も花茎が伸びていて開花する見込みです(2025年5月現在)。

リュウゼツランは約50年に一度開花するといわれており、花が咲くのはとても珍しいです。同じ場所で2年連続で花が咲くとは、まるで瀬戸芸の開催を祝福しているようにも感じました。

un14-2 Model of Something / 金氏徹平

田井みなと公園の近くにある、蓄電池(工場や事業所で太陽光発電と組み合わせて使用する産業用電池)を製造する株式会社パワーエックスの工場「Power Base」。

工場建屋の前に設置された作品は、金氏徹平氏によるもので2025年5月から新たに公開が始まりました。

作品を彩るストライプは一部が鏡になっていて、鑑賞者がアート作品の一部となれる演出も。

また、予約制(当日直前でも空きがあれば予約可能)で工場内に入ることもできます(予約はこちら)。

こちらの近未来的な工場建屋は、瀬戸芸にも関わりが深い建築家・妹島和世氏の設計によるものです。

工場内には妹島和世氏のデザインによる「ラビットチェア」が等間隔に置かれ、その前に多数のスポットライトで構成された作品が設置されています。蓄電池を製造している工場らしい展示ですね。

併設するカフェコーナーでは、宇野港に本拠を構えるカフェ「BOLLARD COFFEE by PowerX」が出店していて、当会場限定のメニューも提供されています。
写真手前:デンキビダンゴ(660円)、 両隣:デンキビネード(880円)

また、2026年に開催予定の「瀬戸内産業芸術祭」の会場としても使用される予定です。この芸術祭は名前のとおり、通常の美術館ではなく工場内などのものづくりに関わる場所や企業が主体となって準備が進められています。
こちらの工場(Power Base)のほかにも、玉野市内の船舶部品や塩を作っている工場などでも作品が展開される予定です。

詳しくは瀬戸内産業芸術祭の公式サイトをご確認ください。

un14-3 Hard Boiled Daydream(Miyama Park) / 金氏徹平

最後に紹介するのは、2025年4月、みやま公園内に新たに設置された金氏徹平氏による作品です。

こちらは三方それぞれに全く異なるデザインとなっていて、見る位置によって異なる印象を与えてくれます。

また、みやま公園は、道の駅「みやま公園」をはじめとする商業施設や、家族連れにうれしい大型遊具を備えた広場、四季折々の花々が楽しめる深山イギリス庭園や散策路と、世代を問わず楽しむことのできる総合公園です。

自家用車の駐車場も完備されているのはもちろん、シャトルバスで来られても、豊富な施設で待ち時間を持て余さずに楽しめるかと思います。

おわりに

かつて本州と四国を結ぶ宇高連絡船やフェリーが昼夜を問わず発着していた歴史ある港町、宇野。残念ながら四国(高松)へ直通する航路は2019年に休止となったものの、今ではアートの島々への入口として年々その存在感を増しています。

なお、宇野港エリアの有料作品は瀬戸芸期間中は19時まで開館していて、島からの帰りにも気軽に立ち寄れます。素通りするにはもったいない作品の数々、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

撮影協力/モデル:YURI

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