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「うちの子、発達が気になる…」 【就学相談】て何? 「支援級と普通級どう決まる?」「今すぐできる準備と段取りは?」 専門家が解説

コクリコ

【専門家が解説】「就学相談」とは? 準備はどうすればいい? 発達が気になるお子さんのための「就学相談」ガイド。入学前にやるべき準備と相談の段取りを詳しく解説

【画像】就学相談を受けるには? おおよその流れ

「就学相談」。ほとんどの保護者にとって聞き慣れない言葉です。

園や健診で勧められて就学相談の存在を知ることもあるでしょう。

「就学相談に行ったら、特別支援学級に決められてしまうの?」など、よくある誤解や就学相談を受けるべきか迷った場合のチェック項目について解説した記事に続き、この記事では「就学相談を実際に受けるには?」をテーマに解説します。

「すべての子どもと保護者が受けられたらいいのに、と思うくらい、『就学相談』は保護者の考えを学校に伝えるための貴重な場。もし園や行政から声がかかったら、まずは気軽に受けてみるのがおすすめです」と話す、小関俊祐先生(公認心理師・認知行動療法スーパーバイザー・桜美林大学リベラルアーツ学群准教授)に、<就学相談の流れ>や<準備すべきこと>についてお聞きしました。

就学相談とは? 実際の流れは?

就学相談では、通常の学級(以下、通常級)、特別支援学級(以下、支援級)、特別支援学校など、就学先となりうる複数の選択肢を比較・検討します。

小学校入学を控えた年長児の保護者が参加するケースが多いですが、実際にはどの年齢の子どもや保護者も対象になります。診断の有無も関係ありません。

就学相談の基本的な流れ

就学相談の流れは、自治体や子どもの年齢によってさまざま。ここでは一般的な例を紹介します。

「就学相談おおよそのながれ」小関俊祐先生が顧問を務める、スタジオそら「就学相談ってなに? ①おおまかな内容と流れについて」を元に作成

保護者による申し込み後、就学相談がスタート。多くの保護者は園や行政からの声かけがきっかけで参加を考え始めるのだそうです。

就学相談を担当する就学支援委員会は多くの場合、教育委員会の担当者や医師、公認心理師、大学教員などの専門職で構成されています。

就学後に転籍を検討する場合は、学校の担任が情報提供などで関わることもあります。

(写真:アフロ)

まず、保護者や子ども本人との面談・観察などが行われます。

就学支援委員会の担当者が子どもの在籍している園を訪問して集団生活の様子を見たり、子ども本人と関わったりしながら、特性や成長の度合い、必要な支援などを確認していきます。

併せて、保護者との面談を通して家庭での様子や保護者の希望などを聞き取ります。

「その子どもにとって最適な学びの場はどこか」を就学支援委員会内で検討した後、保護者と協議しながら考えのすり合わせを行い、最終的な就学先を決めていきます。

定員など、受け入れる学校側の状況が判断材料になる場合もあります。

就学相談に向けて、いますぐ準備できること

(写真:アフロ)

就学相談を受ける場合、家庭ではどのような準備が必要なのでしょうか。

「一連の流れを通じて大切にしたいのは、家庭内、特に夫婦間での継続的な話し合いです」と小関先生。

子どもに対する見方や将来の考え方が家族間で食い違う場合もありますが、実はそんなときこそ、一緒に就学相談の場に赴いてみることが有効。

専門家の意見がきっかけとなり、夫婦が同じ方向性で子育てできるようになることも、あるかもしれません。

当日までにやるべきこと

(写真:アフロ)

就学相談では、やり取りする情報がたくさんあります。十分伝えられるよう「子どもに関わる情報」を整理しておきましょう。

可能であれば、母子手帳や通院記録検査結果などを用意しておくと、診断の有無や生育歴、健康状況が伝えやすくなります。

これまでに療育や子ども家庭支援センターなどを利用した経験があれば、相談したことや受けた指導の内容もまとめておきましょう。

子どもの状態については、

「お箸はまだ使えないけれど、補助具つきのフォークは使える」「友達のおもちゃを黙って取ってしまうことがあるけれど、促されると『ごめんね』が言える」

など、苦手なこととできることをセットで伝えられると良いですね。家庭で工夫している支援があれば、ぜひまとめておきましょう。

「『苦手』と『得意』を具体的に言語化したものは貴重な情報。入学後の有効なサポートにもつながります」(小関先生)

学校見学について調べ、準備する

(写真:アフロ)

就学相談と並行して行いたいのが、就学を検討している学校の見学です。

特別支援学校や支援級の見学はもちろん、通常級の授業も見学できる場合があるので、就学相談の場で聞いたり、自治体や学校に問い合わせたりしてみましょう。

両親そろって見学できると、家庭内での意思決定が深まります。

「支援級を見学し、自分自身が子どもだったころのイメージと全然違っていて、驚く保護者もいます」(小関先生)。

学校の状況にもよりますが、可能であれば何度か見学できると、より理解が深まるといいます。

見学時に確認するポイント

(写真:アフロ)

支援級を見学する場合は、入学後の保護者の関わりについて確認しておきましょう。

「校門まで付き添う」「最初のうちは下駄箱まで付き添ってサポートする」など、学校によってさまざまです。

また、見学後に質問したいことがある場合、学校・教育委員会のどちらが窓口になるか、といった細々としたことも確認できると良いですね。

実際に通っている先輩家庭からの話も一つの参考になりますが、最終的な判断はお子さんの特性に基づいて行うことがおすすめです。

関わる人全員が“その子の幸せ”を願っている

小関先生は、「就学相談は『決定』ではなく『話し合いの場』。関わる人は皆、子どもの幸せを願い、最適解を考えています」と教えてくれました。

就学は目先のことではなく、将来を見据えた選択です。

今の子どもの状態だけでなく、5年後・10年後、そして成人後の姿も想像して考えましょう。

「園の先生やかかりつけの小児科医、自治体の窓口など、相談できる相手は、実はたくさんいるのです。ひとりで抱え込むとモヤモヤや不安が大きくなってしまうもの。まずは親御さん自身の今の思いや希望、不安を言葉にしてほしい」と小関先生。

子どもにとってよりよい未来をつくるチームとして、就学相談を活用してみませんか。

────────────────────

「就学相談」について、小関俊祐先生(桜美林大学リベラルアーツ学群准教授)にお話を伺う連載は前後編。

「就学相談」の基礎知識と、迷ったときのチェックポイントについて解説した前編に続き、今回の後編では、就学相談に臨む段取りを詳しく説明しました。

●小関俊祐(こせき・しゅんすけ)
公認心理師/臨床心理士/専門行動療法士/指導健康心理士
認知行動療法スーパーバイザー、日本ストレスマネジメント学会認定ストレスマネジメント®実践士。
日本認知・行動療法学会理事および企画委員長、一般社団法人公認心理師の会理事および教育・特別支援部会長、日本ストレスマネジメント学会常任理事および研究委員長、アース・キッズ株式会社/スタジオそら/発達障害療育研究所の顧問等を務める。
近著に「園生活での子どものストレス対処法 子どもと一緒に取り組む」(中央法規)、「事例で学ぶ教育・特別支援のエビデンスベイスト・プラクティス」(金剛出版)など。

(取材・文/中村藍)

【参考】
文部科学省「通級による指導の概要について」
文部科学省「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告) 概要」
スタジオそら

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