ケルト神話と騎士物語から生まれた英雄「アーサー王」はどんな人?【眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々】
ケルト神話|イギリスを統治したアーサー王
ケルト神話と騎士物語から生まれた英雄
ケルト神話に中世の騎士物語が融合されて語り継がれたといわれるアーサー王伝説。
舞台は5世紀後半のイギリス。コーンウォール領主の妻イグレースは、夫亡き後、夫に化けたウーゼル王との間に男の子を生みます。
これは魔術師マーリンのしわざで、イギリスを統治するウーゼル王の息子は敵対するサクソン人を制圧する英雄になると予言し、ウーゼル王とイグレースを結びつけたのでした。
男の子はアーサーと名づけられ、マーリンに預けられます。そして、自分の出自を知らぬまま、エクトル公のもとで成長します。やがて15歳のとき、アーサーに王となる運命が訪れます。
ある日、義兄ケイが槍試合に剣を忘れました。アーサーは、代わりとなる剣が教会裏庭の大理石に突き刺さっていたことを思い出します。大理石には「この剣を抜いたものが王となる」と書かれていました。
アーサーは、誰も抜くことができなかった剣をするりと引き抜きます。これを見たエクトル公は、アーサーがウーゼル王の息子であり、王になる勇者であると告げます。
以来、イギリス、アイルランド、ノルウェー、デンマーク、ガリアを支配。ローマ帝国をも征服すべく大活劇を演じていきます。
マーリン:魔術師。アーサー誕生のきっかけをつくり、危機から命を守り、武力の象徴となる魔剣エクスカリバーを与えるなど、アーサー王伝説の重要人物。
騎士道物語の原型たるアーサー王
好奇心旺盛な冒険好きの戦士であり、戦士のパトロンでもあった。理想の君主像として描かれる。
有名な魔法の剣エクスカリバーのほか、槍、盾、短剣、マントなどを持つ。
名前の由来は「熊のような人」。生まれたときに霊的な力を授かっていた。
魔術師マーリンの正体
アーサー王の誕生にかかわり、生まれたばかりのアーサーを預かったマーリン。その後もアーサーに助言をするなどして導いた人物だ。ケルト人の信仰の中心にいた祭司たちはドルイドと呼ばれたが、この魔術師マーリンはドルイドがもとになっていると思われる。ドルイドは主に森で儀式を行なっていた。
湖の乙女がアーサー王とマーリンにエクスカリバーのことを伝えるシーンを描いた版画
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』監修:鈴木悠介