全国高校選抜大会 ハンドボール男子 努力のチーム大分雄城台が旋風起こす 【大分県】
大分で開催される全国高校ハンドボール選抜大会に、大分雄城台が挑む。平井徳尚監督は、今年のチームを「これまで20年以上指導してきた中で、最も努力するチーム」と評する。中でも、キャプテンの市川舜馬(2年)の存在は大きい。チームの現状を冷静に分析し、目標達成に向けて日々努力を積み重ねている。その姿勢は、チーム全体にも良い影響を与えている。
市川を中心に、選手たちは自分たちの強みと課題を明確にし、練習に真剣に取り組んできた。ミーティングでは活発な意見交換が行われ、練習メニューの意図を理解することで、指導陣との意思疎通もスムーズになっている。「私が課すメニューと選手たちが必要だと考えることが一致している。一歩一歩、確実に積み上げていけるチーム」と平井監督は期待を寄せる。
全国選抜の県予選決勝では、実力で勝ると評されていたライバルの大分に23-22で競り勝った。試合は大分のペースで進み、途中で逆転を許す苦しい展開だった。しかし、選手たちは最後まで諦めなかった。「相手の強みを消し、自分たちの力を最大限に引き出した試合だった」と平井監督。組織的なディフェンスと全員でカバーし合う意識が徹底されていたことが、勝因の一つだった。エースの二宮多輝(同)が試合終了間際に同点と勝ち越しのゴールを決め、チームを勝利へ導いた。さらに、キーパーの多田碧飛(同)がビッグセーブを連発。チーム全員でつかんだ1点差の勝利だった。
チームの中心となる市川舜馬
その後の九州選抜大会では思うような結果を残せなかったが、チームの戦い方が明確になった。ロースコアの展開に持ち込み、相手を25、26点に抑える。4-2や5-1の変則ディフェンスを使い分ける。市川は「守備でリズムをつくり、粘り強く戦えるようになった。自分たちの強みが明確になった」と実感を込めた。
現在、全国大会に向けた仕上げの段階に入っている。AチームとBチームの区別をなくし、全員にチャンスがある環境をつくることで、競争意識を高める狙いだ。3月初旬までは個人の技術と能力の強化に集中し、その後、チーム戦術を練り上げる。さらに、九州の強豪校と練習試合を重ね、実戦を通して最終調整を進める。
全国選抜では初戦(2回戦)の相手が岐阜東に決まった。平井監督は「緊張すると思うし、接戦になるだろう」とみている。勝てば3回戦で優勝候補の総社(岡山)と対戦することになる。市川は「総社はサニックスカップを制した全国トップクラスのチームだが、地元開催の強みを生かしてジャイアントキリングを狙いたい」と意気込む。
チームの努力が実を結び、地元に歓喜の瞬間をもたらすはずだ。
まずは初戦突破を目指す
(柚野真也)