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【演劇ユニットHORIZON第20回公演「星宿る灯」】 「星」たちの使命と苦悩。作り込んだ世界観から派生的に物語が展開

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアート&カルチャーに関するコラム。今回は静岡市清水区のSOUND SHOWER ark 清水で12月21日に開幕した演劇ユニットHORIZONの第20回公演「星宿る灯」を題材に。同ユニットが2018年から繰り広げる「星シリーズ」の最新作。

「現世に未練のある魂は天と面接して星(天使)になる。星の仕事は『亡くなった人の魂を運搬する』こと」。あらかじめ設定された世界観の中で、1日あたり2公演、全6演目が上演される。あらかじめ決められた「ルール」を前提に、派生的に物語が展開していく。

パンフレットによると、各演目の時系列も細かく決められているようだ。こうした「作り込み」の厳格さは「幻想九龍城」を舞台にした同ユニットの第19回公演「monoclone」と共通する。脚本と総演出を担当する草野冴月さんの特質だろう。

21日夜の公演は「South Stage」と名付けられたチームによって短編「ひだまりの縁側」「フラグメント『おかえり』」、中編の「明日、ライラックの花が咲いたら」が連続上演された。それぞれに、死せる者の魂を導く「星」が出てくる。このシリーズは初見だったが、演劇的世界の「ルール」に徐々に体が慣らされていくのが自覚できる。

「ライラック」は宇宙物理学の研究室に渦巻く権謀と、それに押しつぶされそうになる「同僚への思いやり」を並列的に描いた作品。HORIZONは複線的な脚本でも、決して観客を置き去りにしないのが美点だ。研究に身を投じた大学院生たちの苦悩、その周辺の人物たちの思惑が漏らさず届けられる。

「ライラック」では、生真面目に天使の役割を果たそうとする「デネブ」役のひだかくるみさん、まがまがしいヴィランの冷酷さを伝えた某役者、この日の第1演目で86歳の老婆をしなやかに演じた芝原鴇さん、天使の葛藤を切なげな表情に込めた百戸ゆうりさんが特に良かった。(は)
 
<DATA>
■演劇ユニットHORIZON第20回公演「星宿る灯」 
会場:SOUND SHOWER ark 清水
住所:静岡市清水区入船町10-20  
公演日時:12月22日(日)午後1時( South Stage)、午後5時( North Stage)
観覧料:S席(最前ブロック)4000円、A席(前方ブロック)3500円、B席(中央ブロック)3000円、C席(後方ブロック)2500円 ※各回ワンドリンク制。別途600円必要。

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