多摩の「プラネタリウム」は世界一レベル!~「多摩の星空」特集②
東京の多摩地域にお住まいの方、出身の方もそれ以外の方にも多摩を愛していただきたいという番組。
MCは土屋礼央さん(国分寺市出身)&林家つる子さん(八王子市の大学出身)。
今週の放送は「多摩の星空特集②」! 多摩が世界に誇るプラネタリウムとメーカーの紹介、さらには各地で開催される観望会やイベントについて、今週も「国立天文台」の縣秀彦さんに伺いました。
多摩の「プラネタリウム」は世界一レベル!~「多摩の星空」特集②
国立天文台・縣さんおすすめの天文施設①「多摩六都科学館」(西東京市)
土屋:今週のゲストのご紹介です、先週に引き続き「国立天文台」の縣秀彦さんです! よろしくお願いします!
国立天文台・縣さん:どうぞよろしくお願いします。
土屋:星のことなどを世の中に広げるお仕事をされている縣さんに、先週は天文台の中の施設のこと、どうして天文台に勤められたのかなどを伺いました。そんな国立天文台は抽選なんですよね。
国立天文台・縣さん:観望会とかシアターとかはそうですね。
土屋:けっこう募集しているので応募すればどこかで行けるとは思うんですよ。気軽に行ける施設の話を伺えればと思っております。
つる子:ぜひぜひ!
土屋:多摩地域に限定させていただきますけど、どこがありますか?
国立天文台・縣さん:多摩地域は天文の研究ができるところがいっぱいあるんですよ。
つる子:おお!
国立天文台・縣さん:その中でも今回ぜひ、おすすめの施設の一つ目は「多摩六都科学館」。
土屋:前に番組宛にリスナーさんからメッセージをいただいて。僕が知らなくて、「知らないんですか!?」とリスナーさんたちから言われたくらいすごいという印象です!
つる子:うんうん。
土屋:すごいんですか?
国立天文台・縣さん:はい。「多摩六都科学館」というのは「西東京市」にあって。昔の言い方だと「田無」ですね。プラネタリウムが世界一レベルなんですよ。
つる子:おお!
土屋:多摩にあるプラネタリウムが!
国立天文台・縣さん:「多摩六都科学館」は1994年に開館して、もう30年を超える歴史があります。プラネタリウムという機械は光学機械、光を使っていますよね。複雑なものなので、何年かすると新しいものに取り替えられるんですね。「多摩六都科学館」に今入っている装置が、“ケイロンⅡ”というんですね。これが何位かはわかんないと思いますが・・・
つる子:そうですね。
国立天文台・縣さん:1億4000万個の星々が投影されるんですよ。
つる子:ええー!? 1億4000万個も!?
国立天文台・縣さん:この“ケイロンⅡ”は一時期、世界で一番素晴らしい、たくさんの星が映し出されるというプラネタリウムということで、ギネスブックに登録されたくらいなんです。
つる子:ええー!?
土屋:多摩地域は「多摩六都科学館」を知らな過ぎる! 宣伝しなきゃ!
国立天文台・縣さん:この分野では、日本はトップランナーで、次々と日進月歩のしていて。去年、横浜のプラネタリウムの施設にその座は奪われるんですけど。「多摩六都科学館」のプラネタリウムがとにかく大きいんですよ! サイエンスエッグといって、近くに行くと丸いドームが見えてきて、直径27.5mもあって。
土屋:世界でもこの大きさはないんですか?
国立天文台・縣さん:名古屋に行くと、30mがありますね。それと、アラブの国はお金持ちだから大きな物を作ったりしてますけど。「多摩六都科学館」のサイエンスエッグのクラス、この大きさになると世界一レベル。どこ行っても変わらない。
つる子:ええ。
国立天文台・縣さん:「多摩六都科学館」のサイエンスエッグの特徴は傾斜式といって、床がフラットではなくて階段式になっているんですよ。
土屋:劇場みたいに。
国立天文台・縣さん:ほんとは東京・赤坂にあれば便利ですよね(笑)。座って見ていると、プロジェクターで投影しますから満点の星空とか宇宙に行っているとか海の中に行くとか、恐竜の時代を旅するとか。没入感がすごいので。
つる子:はい。
国立天文台・縣さん:プラネタリウムが“ケイロンⅡ”になってからは入館者数はすごいうなぎ登りで。多摩地域だけでなく、遠くからも見たいというので、「多摩六都科学館」、おすすめします!
土屋:この“六都”とは、「小平市」「東村山市」「清瀬市」「東久留米市」「西東京市」の5つの市で共同運営らしいですが・・・
国立天文台・縣さん:昔は6市だったんです。なぜかというと、「西東京市」はわりと最近の合併で・・・
土屋:「田無」と「保谷」だ!
つる子:ああ!
国立天文台・縣さん:施設が出来た30年前は6市だったので、6つの都で6都。それで、「多摩六都科学館」。
世界に誇るプラネタリウムメーカー「五藤光学研究所」(府中市)
土屋:先ほどの“ケイロンⅡ”というのは、どこのメーカーが作っているんですか? 縣さんが作っているとか?
国立天文台・縣さん:「国立天文台」は“4D2Uドームシアター”という別のものをやっているんですよ。この世界のギネスブックに載るようなプラネタリウムを作っているのも、多摩の会社です!
土屋:うぉ!
つる子:えっ!?
国立天文台・縣さん:「府中市」にある「五藤光学研究所」ですね。
土屋:ここはプラネタリウムの会社として有名なんですか?
国立天文台・縣さん:日本には3つ、世界を代表するプラネタリウムメーカーさんがあります。一つは、「五藤光学研究所」。もう一つはコニカミノルタプラネタリウムで、もう一つは川崎にある大平技研。この3つは世界で愛されるメーカーですね。
土屋:テレビモニターなどは他の国に勝負で負け始めているけど、プラネタリウムの投影の技術はすごいんですね。
国立天文台・縣さん:今でもドイツのカールツァイスという会社が圧倒的にブランド力があるんですよ。日本のこの3社は世界の市場をシェアしているんですよ。
土屋:「多摩六都科学館」はぜひ!ですね。
国立天文台・縣さんおすすめの天文施設②「府中市郷土の森博物館 プラネタリウム」(府中市)
国立天文台・縣さん:それと、「五藤光学研究所」のすぐ近く、「五藤光学研究所」のプラネタリウム施設が入った「府中市郷土の森博物館」があります!
つる子:「府中市」にも!
国立天文台・縣さん:「府中市郷土の森博物館」も最近、プラネタリウムの装置がリニューアルされまして。
土屋:あ! 僕は前のプラネタリウムは1回行ったことがあって。リニューアルされましたか。
国立天文台・縣さん:今は、“ケイロンⅢ”!
土屋:上がった!!! これは凄そうだぞ! “ケイロンⅢ”はどんな感じなんですか?
国立天文台・縣さん:“ケイロンⅢ”は、“ケイロンⅡ”に比べるとコンパクトになりまして。“ケイロンⅢ”とハイブリット式、4Kプロジェクター、これはレーザー光線なんですね。全編が明るくて高精細。“Fuchuには Uchuがある”という・・・
土屋:急にダジャレが(笑)。
国立天文台・縣さん:僕が言っているんじゃないですよ(笑)。「府中市郷土の森博物館」のキャッチフレーズが“Fuchuには Uchuがある”。
土屋:じゃあ、ここもおすすめということですね?
国立天文台・縣さん:めちゃおすすめですね! ここはフラットで寝転がって星空を見ている感じですね。
土屋:プラネタリウムはそのイメージですよね。いかに、寝ないかが大事。
国立天文台・縣さん:そうそう。中にはグッするねちゃう方もいらっしゃるみたいですけどね(笑)。プラネタリウムは心地良いですからね。
「神代植物公園」「味スタ」(調布市)で観望会
土屋:「多摩六都科学館」と「府中市郷土の森博物館」というおすすめを伺いました。他にもあったりしますか?
国立天文台・縣さん:この科学館やプラネタリウムの施設は「東大和市」にもあります。それから「八王子市」にもあります。他にもいくつかありまして、そういう意味では多摩地域は、人工の星、プラネタリウムは身近な存在だと思います。
つる子:ああ!
国立天文台・縣さん:それだけではなくて、星を見る機会=観望会というんですけど、あちこちで開かれていまして。「調布市」に「神代植物公園」という素敵な公園があって・・・
土屋:「深大寺」の隣にありますよ。
国立天文台・縣さん:
その公園で夜、芝生広場に寝転がって、家族で星を見るというすごく素敵な体験なんですよ。
つる子:いいな!
土屋:あそこ、夜は閉園しちゃいますよね?
国立天文台・縣さん:普段は夜は入れないじゃないですか。いわゆるナイトハイクを、年に数回、特別に。お月見とか、ふたご座流星群を見るとか、月食を見るとか、そういうのをやってますから。
土屋:はい!
国立天文台・縣さん:「神代植物公園」の近くには「味の素スタジアム」があります。あそこは「武蔵野の森総合スポーツプラザ」の屋上でも観望会が大人気!
土屋:あそこは「調布飛行場」もあるから空が広いんですよね。
国立天文台・縣さん:わざわざ「味スタ」の電気を全部落としてくれるんですよ。おおー!という感じになって、いいんですよ。
土屋:隣に少年サッカー場があって親として見学するんですけど、空が開放的だから暑くてしょうがないんですけど、星のことを考えたら最高ですね!
町全体が太陽系~「みたか太陽系ウォーク スタンプラリー」(三鷹市)
土屋:我々人間は、宇宙のことなんてまだ、何もわかっていないじゃないですか。天文台で研究者の方から話を伺うと、全部わかってるとこういうことなんだと言われると、全員が少年のワクワクしている感じでお話をしてくださるのが、聞いていて非常に楽しくて。自分もワクワクできて。今、縣さんの話を聞いていても・・・
つる子:ワクワクします!
土屋:それと、宇宙に関するイベントもあるそうですね? 「三鷹市」であるんですか、「国立天文台」の近くですか?
国立天文台・縣さん:これは2009年に始まったイベントで、毎年秋、9月、10月、11月と年によって違うんですけど。1ヶ月半くらい、町全体が太陽系。JR「三鷹駅」がありますよね。駅長さんが直径1mの丸いボールを置くんですよ、駅の改札を入ってすぐのところに。
土屋:はい。
国立天文台・縣さん:これが太陽。その太陽を1mの大きさにするというのが、13億分の1にスケールダウンするわけです。そうすると、ちょうど「三鷹市」という端が、冥王星とかになるわけです。太陽系の中を丸く同心円状に「三鷹駅」から距離を作って、土星まで行こう、火星まで行こうと。で、町中のお店や公共施設でスタンプを押せて。みんな台紙を持ってスタンプ集めをする。これが「みたか太陽系ウォーク スタンプラリー」。
土屋:こんなに遠いんだって、実感できるというわけですね。
国立天文台・縣さん:太陽系は広いですよ。
土屋:太陽にしても、海王星までそうとう遠いよ!
国立天文台・縣さん:「三鷹市」は歩くと、けっこう大変ですね。だから、レンタルサイクルして、“はやぶさ号”とか“ボイジャー号”とか言って楽しんでもらえば。
つる子:ああ!
国立天文台・縣さん:昔は台紙でスタンプを200とか集めてコンプリートする方もいっぱいたんですけどね。イアmはスマホでQRコードで集めるんですよ。集めますと、いろんな賞があって。ケプラー賞とかガリレオ賞とか色々あって。太陽系の絵柄のカレンダーやらスター、バンダナなど色々もらえるので。今年も秋になったら「みたか太陽系ウォーク スタンプラリー」をやりますから。
つる子:おお!
国立天文台・縣さん:その期間、お店で太陽系弁当だとか、土星パンだとか、ちなんだ美味しい物を出していて、これがいいんですよ!
土屋:こうやって宇宙のこと、星のことを知る、伝えるということは大事なことですね。前に「国立天文台」で伺ったのは、自分たちの代では研究は終わらない、と。どうやってバトンを渡すかの研究なんだというのが非常に心に刺さって。大事な役目ですね。
国立天文台・縣さん:バトンをどんどんと渡して行かないと、宇宙の謎は一つ解けると、また謎が増えるというような謎ばかり。不思議の玉手箱。宇宙の歴史の中で僕らは一瞬、わずかな期間だけど、それを繋いで繋いで、いろんなことがわかってきたので。僕らの世代の責任として次の世代に伝えたいですね。
土屋:こうやってということで、2週にわたってたくさんお話を伺いました。ゲストは「国立天文台」の縣秀彦さんでした。
国立天文台・縣さん:ありがとうございました。
(TBSラジオ『東京042~多摩もりあげ宣言~』より抜粋)