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マイバッハ初のドライバーズカー、究極の贅沢を操るメルセデス・マイバッハSL 680 モノグラム シリーズ

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マイバッハ初のドライバーズカー、究極の贅沢を操るメルセデス・マイバッハSL 680 モノグラム シリーズ

初のマイバッハ・ドライバーズカーは、まさに“走る贅沢”だ。

author charlie thomas

 メルセデス・AMG SL 63は、現代のスポーツカーとして大変魅力的だ。だが、純粋主義者の中には、1950年代の190 SLや60年代のパゴダのように「SL=スポーツ・ライト」でなければならないと主張する者もいる。軽量なオープントップのクルーザーで、高速道路をのんびりと走り、ワインディングを優雅に駆け抜けるようなクルマである。

 一方、SL 63はそれらを凌駕するために設計された。577馬力を誇るV8エンジンを搭載し、アグレッシブなルックスを持つマッスルカーである。とはいえ、そのインテリアはラグジュアリーそのもの。レザーに包まれた車内にはマッサージ機能付きの快適なシートが並び、座った瞬間にこのクルマが高価な理由が納得できるだろう。

 しかし、シュトゥットガルトのAMG本社の向かいにあるマイバッハ部門は、SL63を別の視点から捉えた。このクルマをベースに、マイバッハ史上初となる「ドライバーズカー」として、究極のラグジュアリーオープンを仕立て上げたのである。

 新型メルセデス・マイバッハSL 680は、これまでで最もスポーティなマイバッハとなった。通常、マイバッハは後部座席に座る人のためのクルマだが、SL 680はまさに「運転する人のためのマシーン」だ。その心臓部にはSL63同じく4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンが搭載されている。

 SL 63では、このエンジンは荒々しく、排気音は豪快に唸り声を上げる。しかし、マイバッハ版SL680ではそのエッジは削ぎ落とされ、排気音もより洗練されたものへと調整されている。スロットルのレスポンスも穏やかになり、9G-トロニックのオートマチックトランスミッションは滑らかにギアチェンジをこなす。

 全体として、よりエレガントでソフトな印象となり、0-60mph(約96km/h)の加速タイムも、SL 63の3.5秒に対し、マイバッハSL680はやや遅い4.1秒となっている。

 実際に走行してみると、その違いは明らかだ。SL680の街乗りではV8の音はほとんど聞こえず、改良されたエンジンマウントと徹底した遮音・吸音処理により、走行ノイズや振動はほぼ皆無だ。

 特筆すべきはサスペンション。完全に再設計され、快適性がアップされている。スポーツモードにすれば、SL 63の「コンフォートモード」とほぼ同じ固さになるが、瞠目するのは新たに追加された「マイバッハモード」だ。これを選ぶとダンパーは最も柔らかくなり、路面の凹凸をまるで滑るようにいなしてくれる。初めて乗ると少々不安になるかもしれない。ステアリングの感触が薄れ、路面との接続感が失われるからだ。しかし、究極の快適性を求めるなら、これが最適解だ。

 この「上質さ」の代償として、車両重量は約100kg増しの1,975kgに達している。これにより、俊敏さは若干失われた。また、実際のサイズは変わらないのに、運転中に「大きく感じる」ようになった。

 その理由のひとつが、ボンネット全体に渡って延びるクローム製フィンと、直立したメルセデス・ベンツのスリーポインテッドスターエンブレムだ。運転席からも視界に入り、ボンネットの長さとマス感を常に意識させられる。しかしこれにより、乗るたびに特別感が生まれ、往年の長いボンネットを持つメルセデスを思いだすことができる。

「私たちの顧客は『特別なもの』を求めています」と語るのは、メルセデス・マイバッハ部門責任者のダニエル・レスコー氏だ。

「このクルマは、ダイナミックなドライビング体験と、マイバッハならではのクラフトマンシップ、洗練されたデザインディテール、そして最高品質の素材。これらすべてを兼ね備えた一台となっています」

 ディテールにも見るべき点は多い。フロントのシャークノーズグリルは、垂直のクロームフィンを備えた特別仕様となっている。ボンネットはマイバッハのロゴパターンが無数に散りばめられたブラック仕様を選ぶことも可能だ。これには複雑な手作業での研磨とラッカー塗装が必要となるという。他にも、ヘッドライトにはローズゴールドの装飾が施され、随所にクロームのアクセントが配されている。水平に配置されたマイバッハならではのエグゾーストトリムも見逃せない。

 インテリアも全面的に刷新された。車内全体が明るいクリスタルホワイトのナッパレザーで覆われている。ステアリングホイールはラッカー仕上げのウッドリムを持ち、シルバークロームとステンレススチールのサイドシルがさらなる高級感を加えている。

 なお、外装はメルセデスの「マヌファクトゥーア」プログラムでカスタマイズできるが、内装はこのホワイト仕様のみとなっている。

「実際に運転して、その洗練された上質な空間を見渡したとき、これは本当に特別なクルマだと思えるはずです」と語るのは、チーフデザインオフィサーのゴードン・ワグナー氏だ。

「センタースプリットの入ったフード、スリースターのエンブレム、そしてホワイトのインテリアによって、最高にラグジュアリーな演出がなされています」

 彼によれば、「AMGブランドでSLを発売したとき、一部の顧客から『スポーティすぎる』という声があった」という。

「SLは本来クルーザー的な存在。だから、もう少し控えめなスタイルを望む人も多かったのです。このクルマは、AMGのように荒々しいものではなく、あくまでマイバッハ。マイバッハは常に『後席ファーストクラス』の快適性を提供してきましたが、今度は『前席ファーストクラス』を実現したのです。私にとって、SL 680は本物のラグジュアリープロダクトを創造するための素晴らしいチャンスだったのです」

 その狙いは見事に達成されたというほかはない。メルセデス・マイバッハSL 680は、優雅なクルージングが似合う、極上のラグジュアリーカーといえるのである。

Mercedes-Maybach SL 680

全長×全幅×全高:4,705 × 1,915 × 1,353 mm

エンジン/排気量:4.0 L V8 ツインターボ

最高出力:577 hp(約430 kW)/5,500–6,500 rpm

最大トルク:800 Nm/ 2,500–5,000 rpm

駆動方式:4MATIC(フルタイム四輪駆動)

トランスミッション:9速オートマチック(9G‑TRONIC)

0–60 mph(約0–97 km/h)加速:約4.1秒

Mercedes Benz

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