築地の波除神社で「つきじ獅子祭」が6月10~15日に開催。2025年は千貫宮神輿と雌雄の獅子頭が3基そろって巡行!
東京都中央区の築地にある波除(なみよけ)神社では、夏越し大祭として「つきじ獅子祭」が6月10日(火)~15日(日)に開催。2025年は3年に一度の本祭りであり、さらに神社の神輿ができて100年の奉祝の年にあたり、例年に増してにぎやかに祭礼が行われる。
災難を除け、波を乗り切る波除神社
築地の鎮守として知られる波除神社。江戸時代、この辺りは海で幕府が埋め立て工事を行ったが、堤防を築いても波にさらわれてしまい工事は困難を極めた。万治2年(1659)のあるとき、海中にただよう稲荷大神の御神体を祀ったところ、波風がピタリと止んで無事に工事を終えることができたという。
「波除」の名はこの言い伝えに由来するもので、地域の人々は災難を除け、波を乗り切る力を与えてくれるご神徳のあらたかさに驚き、雲を従える「龍」、風を従える「虎」、一声で万物を威伏させる「獅子」の巨大な頭を担いでまわったのが「つきじ獅子祭」の始まりだ。2025年は6月10日(火)~15日(日)に行われる。
「今年は3年に一度の本祭りに加えて、神社の千貫宮神輿ができて100年という記念の年にあたり、15日(日)には千貫宮神輿、厄除け天井獅子、弁財天お歯黒獅子の3基すべてが出ます」と教えてくれたのは波除神社の禰宜・鈴木さん。一世紀の歴史を紡いできた千貫宮神輿は現存する江戸神輿の最高峰ともいわれ、錺(かざり)金具をつくる職人がいなくなった今では二度とつくることができない貴重なものだそう。
また、雄獅子にあたる厄除け天井大獅子は高さ2.4m、幅3.3m、重さは約1トンもある巨大な獅子頭。木製の願い串に願い事を書きこんで獅子の舌にあるかごに納めると願い事を飲み込んでくれるという独特の参拝神事でも知られる。一方、雌獅子の弁財天お歯黒獅子は高さ2.2m、幅2.5m、重さ約700㎏で、中には弁財天のご神像が収められている。3基すべてがそろうのはとても珍しく、前回は鎮座350年を記念する2008年のことだったので、実に17年ぶりだ。
50人の木遣(や)りとともに勇壮な宮出し
15日(日)の奉祝渡御祭では、雌雄の獅子頭は台車に曳かれて築地の街を練り歩くことになるが、宮出しと宮入りのときは3基すべてが担がれるので注目だ。「今年は江戸消防記念会のす組の鳶(とび)の頭衆にお願いして、約50人が木遣り唄を歌いながら宮出しが行われます」と鈴木さん。50人という人数が集まるのはめったにないそうで、記念の年ならではだ。
そのほか、14日(土)には町内神輿による連合社参(子供神輿は15:30~、大人神輿は17:30~)や、江戸里神楽の奉納が行われる。さらに14日(土)・15日(日)には晴海通りから神社までの道路の両側に約100の露店がズラリと並んでお祭りムードを盛り上げる。また期間中、境内の神輿蔵では千貫宮神輿と雄獅子が、「銀座松竹スクエア」では雌獅子が展示され(銀座松竹スクエアは12日の夜から15日の朝まで)、実際にその大きさを間近で見ることができる。夏の疫病除けの祭礼として江戸時代から続く祭りをぜひ現地で見学しよう。
開催概要
「つきじ獅子祭」
開催期間:2025年6月10日(火)~15日(日)
開催時間:15日(日)の渡御祭は8:30宮出し、15:50宮入り
会場:波除神社(東京都中央区築地6-20-37)
アクセス:地下鉄大江戸線築地市場駅から徒歩5分、地下鉄日比谷線築地駅から徒歩7分
【問い合わせ先】
波除神社☎03-3541-8451
URL:https://www.namiyoke.or.jp/
取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供
香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。