謎の多い黒田管理官の人物像や過去とは? 『名探偵コナン』警視庁捜査一課管理官・黒田兵衛の情報まとめ|登場回一覧&「17年前の真相」など重要エピソードを解説
『名探偵コナン』は、週刊少年サンデー(小学館)にて1994年より連載中の青山剛昌先生が描く人気推理漫画。TVアニメシリーズは長きにわたり親しまれ、劇場版も大ヒットを記録しています。
探偵たちの活躍と同時に警察組織についても緻密に描かれており、魅力的な警察官たちが多く登場。警視庁捜査一課管理官の黒田兵衛は初登場時から怪しげなオーラを纏い、黒ずくめの組織のNo.2であるラム候補にも挙がっていました。果たしてその正体は……?
本稿では、そんな黒田兵衛の情報をまとめてご紹介。人物像や過去、登場回一覧、重要エピソードも解説していきます。
※本稿には、『名探偵コナン』の一部ネタバレが含まれます。
【写真】『名探偵コナン』黒田兵衛の情報まとめ|登場回一覧&過去も解説
黒田兵衛(くろだひょうえ)の人物像
【警視庁捜査一課管理官】
階級:警視
年齢:50歳
CV:岸野幸正さん
初登場時は長野県警の捜査一課長。大柄で真っ白な髪と髭、顔には火傷の跡が残り右目は義眼。10年近く意識不明で入院しており、50歳にして警察庁から長野県警に出向してきましたが、後に警視庁に異動。松本清長の後任として現在は警視庁捜査一課の管理官を務めています。「眠りの小五郎の知恵袋」としてコナンの推理力を高く評価。
公安警察・降谷 零の上司
「大柄で義眼」という特徴から黒ずくめの組織のNo.2であるラム候補の一人でしたが、その正体は公安警察・降谷 零の上司。降谷を黒ずくめの組織のコードネームである「バーボン」、元公安の伊織無我を昔の偽名である「榊原」と呼ぶ場面もあります。
17年前の羽田浩司殺人事件の関係者であり、警察庁警備局警備企画課所属であったことが明らかに。(※17年前の事件についての詳細は後述。真相は原作104巻/TVアニメ1164〜1167話「17年前の真相」にて語られました。)
黒田兵衛の登場回一覧
〈TVアニメ〉
・810〜812話「県警の黒い闇」
・814〜815話「ブログ女優の密室事件」
・822〜823話「容疑者は熱愛カップル」
・896〜897話「白い手の女」
・909〜910話「燃えるテントの怪」
・927~928話「紅の修学旅行」
・941〜942話「マリアちゃんをさがせ! 」
・971〜974話「標的は警視庁交通部」
・1003〜1005話「36マスの完全犯罪」
・1135〜1136話「大岡紅葉の甘い罠」
・1164〜1167話「17年前の真相」
〈劇場版〉
第22作『ゼロの執行人』
第26作『黒鉄の魚影』
第28作『隻眼の残像』
重要エピソードの解説
810〜812話「県警の黒い闇」(原作86、87巻)
初登場時は長野県警の捜査一課長
長野県警の“闇”を描いたエピソードで、長野県警の捜査一課長・黒田兵衛がアニメ初登場。隻眼の大男という風体にコナンは驚いていました。
長野観光に来た小五郎、コナン、蘭は、事件の聞き込みをしていた長野県警の大和敢助、諸伏高明、上原由衣に偶然再会。そこへ竹田繁警部が班長を務める「竹田班」の三枝 守、鹿野晶次、秋山信介も現れ、待ち合わせている竹田が来ないといいます。
その後、千曲川に浮かぶ竹田の首を発見。竹田の遺体の額には啄木鳥(キツツキ)の足跡のような「X」というマークが刻まれており、由衣は長野県警に存在する啄木鳥会という謎のグループのことを口にします。敢助が容疑者となる本事件は、不穏な空気を漂わせながら、黒田、敢助、高明、そしてコナンらの冴えわたる頭脳で犯人を欺き解決へ。
814〜815話「ブログ女優の密室事件」(原作87巻)
警視庁捜査一課の管理官に
阿笠博士が福引きで当てたケーキバイキングを楽しむために、ホテルを訪れたコナンと少年探偵団たち。テーブルでケーキを食べていると、ブログランキングを競っているタレントの北見沙弥と庄野杏奈が現れます。二人は連ドラ「トップクラス」の続編でダブルヒロインとして出演するためホテルに来ていましたが、庄野がホテルの自室で撲殺される事件が発生。
高木刑事によると、捜査一課の管理官がコナンの指示通りにするようにと電話で告げているとのこと。その管理官とは黒田のことであり、黒田が長野県警の捜査一課長から警視庁に異動し、松本清長の後任として捜査一課の管理官に就いたことをコナンたちは事件解決後に知ります。
黒田の顔を近くで見た灰原は怯えた表情をしており、後にコナンから黒田に見覚えないか尋ねられていますが、「もし彼がラムなら自分の顔を見てシェリーだと感づき、今頃は阿笠博士の家に押し入っているはずだが、そんな兆候はないので大丈夫だろう」と考えているようです。(822話「容疑者は熱愛カップル」より)
896〜897話「白い手の女」(原作92巻)
黒田と脇田が若狭先生の記事を目にする
クラスの副担任・若狭留美先生の住む高層マンションへ行ったコナンたちは、隣の部屋のドアを激しくノックする化粧の濃い謎の女を目撃。そして若狭先生の部屋に入ると、今度は隣の部屋から大音量の音楽が聞こえてきます。注意をするために隣の部屋へ入ると、なんと眠り込む男の横で女が殺害されていました。
この事件で犯人確保に貢献した若狭先生が“お手柄小学校教師若狭留美先生”として写真付きで記事が出てしまったのですが、黒田と「米花いろは寿司」の板前・脇田兼則は、それぞれ意味深な様子でその記事を読んでいます。
909〜910話「燃えるテントの怪」(原作93巻)
黒田と若狭が対面
コナンと少年探偵団は、若狭先生とキャンプに出掛け、そこで白網大学バスケットボール部の部員と知り合います。彼らは言い争いをしていたのですが、夕食後にテントが燃え上がり、火を消すとそこには焼死体がありました。
目撃者を探すために近くのテントに声をかけると、一人でキャンプに来ていた黒田が中から姿を現します。ちなみに強行犯係の目暮とどちらを呼ぶか迷ったという黒田は、火災犯係の弓長を呼んで捜査。
コナンが怪しむ黒田と若狭が対面する注目回で、若狭は尋常ではない形相で黒田を凝視。本エピソードでは、黒田が羽田浩司殺人事件や若狭先生に思いを巡らせて考え込む場面も描かれています。
941〜942話「マリアちゃんをさがせ!」(原作95巻)
ラムからバーボンへ、工藤新一の情報を要求
APTX4869の解毒薬を飲み、新一の姿で帝丹高校の修学旅行に参加したコナンは、そこで起きた連続殺人事件を見事に解決。その後、「工藤新一が生きている」と聞きつけたマスコミが工藤新一の家に押し寄せて騒動になります。
一方、帝丹小学校では転校生の東尾マリアちゃんが行方不明になり、小林先生に依頼された少年探偵団は、身動きの取れないコナン抜きでマリアちゃんのおばあちゃんの家へ。各所に貼られたメモの謎解きをしながらマリアちゃんを探します。
コナンは阿笠博士の家に隠れながら工藤新一騒動のネタ元になったブログを見つけ、「紅の修羅天狗殺人事件」のニュース映像に新一が平次と共に映り込んでしまっていたことも知ります。
新一の両親や平次らのおかげでこの工藤新一騒動は鎮火の方向へと進みますが、黒ずくめの組織に目をつけられた可能性は極めて高いと工藤優作は危惧。実際に、ラム候補の黒田、若狭、脇田がこの騒動の情報を目にしており、不穏のなかでラムからバーボンこと降谷のもとへ工藤新一の情報を要求するメールが届きます。
また、本エピソードで“あの方”の正体が判明。羽田浩司のダイイングメッセージは、ASACAとRUMに分けず「CARASUMA」になると優作は推理。この推理が正しければ、この日本で最も強大な人物、この世にいないはずの大富豪・烏丸蓮耶を敵にまわそうとしているのだとコナンに告げます。
971〜974話「標的は警視庁交通部」(原作95、96巻)
降谷を「バーボン」と呼ぶ
警視庁交通部の女性警察官が続けて殺害される「女性警察官連続殺人事件」の4話連続エピソード。黒田がコナンの名推理に「眠りの小五郎の知恵袋」と称し、さすがというべきかと唸る場面も。降谷と連絡を取り合う黒田は報告を怠らないよう忠告し、降谷を組織のコードネームの「バーボン」の名で呼びました。
1003〜1005話「36マスの完全犯罪」(原作97巻)
黒田が諸伏高明に連絡
小五郎のもとに依頼の手紙が届き、コナン、安室 透(=降谷)、脇田兼則の4人で長野の山奥にある廃教会を訪れます。
しかし到着後、駐車場のデッキが崩れて車はすべて谷底へ転落。長野県警に連絡すると、大雪で迎えが来るのは翌日の天気次第とのこと。そんななか、教会では相次いで殺人事件が発生し、長野県警の3人と連絡を取り合いながら事件の謎を解いていくことに。
高明は小五郎から送られてきた動画に映り込んでいた安室の姿に気づき、大学時代に弟・景光が親友として紹介してくれた「降谷 零」のことを思い出していました。そして「零(れい)=ゼロ」という名前から弟の遺品を届けた人物「0」に思い至ります。
また、黒田が大和のスマホに電話をかけ、高明に代わるよう指示している描写も。事件解決後、高明は安室と顔を合わせても見知らぬふりをし、コナン、小五郎、安室、脇田の前で意味深な言葉を残して去りました。
1135〜1136話「大岡紅葉の甘い罠」(原作102巻)
元公安の伊織を昔の潜入先での偽名である「榊原」と呼ぶ
小五郎と平次がモデルの舞台が上演されることになり、コナン、小五郎、蘭は京都へ。コナンと小五郎、平次が舞台の打ち合わせに参加するあいだ、蘭と和葉はスポンサーの厚意でスイーツ巡りをすることに。
スポンサーとは大岡コンチェルンであり、打ち合わせには紅葉もやって来て、さらに“スペシャルなゲスト”として警視庁捜査一課の管理官である黒田が登場。黒田が大岡家に挨拶に行ったところ舞台の話になり、紅葉に「打ち合わせに顔を出してほしい」と頼まれたのだといいます。
蘭と和葉を乗せて車を運転していた伊織は、その後黒田と対面。車を降りたあと尾行がいないか確認していると、「点検するその癖…まだ抜けてないのか?」と黒田から指摘。今でも尾行がいないか確認することを「点検」する、尾行をまくことを「消毒」するというのだとか。黒田は伊織の昔の潜入先での偽名である「榊原」と呼んでしまい、伊織はその名前で呼ばれると当時を思い出して気が滅入ると話しています。
さらに、「奴と会ったらしいな」と降谷 零の話題を持ち出した黒田に、過去のしがらみを引きずっているようだが悪くないと伊織は返答。本エピソードのラストには彼らのそばを黒い車が通り抜け、その車に乗った謎の人物にも注目が集まっています。
1164〜1167話「17年前の真相」(血染めの騎士/達眼の悪魔/遠見の角行/女王の謀)(原作104巻)
羽田浩司殺人事件の真相
17年前のアメリカで起きたプロ棋士・羽田浩司殺人事件の真相が語られるエピソード。17年前のあの日、いったい何があったのでしょうか。この事件には、黒田、若狭、脇田が関係していました。
主な関連人物
◆羽田浩司
羽田秀吉(赤井一家の次男)の義理の兄であり、秀吉が最も尊敬する騎士。座右の銘は「初志貫徹」。生前は四冠王に輝き、七冠に一番近いと期待されていました。17年前、チェスの大会前夜にホテルで襲撃されて死亡。APTX4869の被験者リストには、工藤新一の2つ下に名前が載っています。享年28歳。
◆若狭留美=レイチェル・浅香
37歳。帝丹小学校1年B組の副担任。ドジが多いですが本性を隠しています。片目に障害があり、右目が見えていません。黒田、脇田と同じくラム候補だった彼女の正体は、かつて資産家のアマンダ・ヒューズのボディーガードをしていたレイチェル・浅香。17年前に羽田名人からもらった角の駒を今も大事に持ち歩いています。
◆脇田兼則=ラム
56歳。「米花いろは寿司」の板前。片目が義眼。毛利小五郎の2人目の弟子になりましたが、その正体は黒ずくめの組織のNo.2であるラムでした。バーボンに工藤新一の情報を求めるメールを送っています。17年前に自分の声を聞かれてしまったとして、若狭の命を狙っているようです。
黒田、若狭、脇田の過去や関係性が明らかに
コナンたちは白鳥警部の応援のため、小林先生と若狭先生と一緒にチェストーナメントの会場へ。白鳥警部の初戦の相手は、なんと黒田管理官でした。
一方、脇田兼則=ラムは小五郎からコナンが友達や担任、副担任と共にチェスの大会の応援に行ったという情報を入手し、若狭を見つけて監視。ラムの命令で、キャンティとコルンがターゲットの若狭を狙撃しようと待ち構えていました。
このチェストーナメント大会で起きた殺人事件を解決したコナンは、黒田から未解決の羽田浩司殺害事件について話を聞くことに。資産家アマンダ・ヒューズの遺したダイイングメッセージが何を意味しているのか、コナンならその謎が解けるのではないかと黒田は考えたようです。
17年前のアメリカ。当時33才、警察庁警備局警備企画課に所属していた黒田は、密命を受けてアマンダや羽田浩司と同じホテルに宿泊していました。アマンダは大ファンである羽田とホテルの部屋でチェスを楽しんでいましたが、アマンダのボディガードのレイチェル・浅香は「右眼がザワついて嫌な胸騒ぎがする」と落ち着かない様子でした。
17年前の事件にはラムが関わっており、ラムはアマンダを襲うために驚異的な記憶力を駆使して、ホテルで警護していたアマンダのボディガードを浅香以外すべて無力化。黒ずくめの組織に狙われていることに気づいていたアマンダは、娘のように育ててきた浅香を逃そうと嘘をついて羽田の部屋へと向かわせます。
その後、ラムと黒ずくめの組織の構成員がやって来ると、アマンダはラムが脅しで使うはずだった毒薬を自ら飲んで瀕死状態に。黒田もトイレにいるところを黒ずくめの組織に襲われますが撃退し、アマンダの部屋に行くと彼女はすでに絶命しており、そこにはダイイングメッセージらしき謎の暗号が遺されていました。
さらに、浅香を隠した羽田のもとへもラムたちが押し入ると、羽田は浅香の居場所は吐かず、組織と関係あるとして「烏丸蓮耶」の名前を会話の中で口にします。その後、羽田は毒薬を飲まされて死亡。黒田が羽田の部屋へ入ると、倒れている羽田のまわりは妙に荒れた状態でした。それは、彼のダイイングメッセージだったのです。
黒田は浅香を連れてホテルから脱出するのですが、運転する車が飲酒運転の車に追突されて炎上。浅香は行方をくらまし、黒田はその後10年近く意識不明で入院。目が覚めたら現在のような風体になっていたといいます。また、若狭からは会う度に睨まれていたため、アマンダと羽田を殺したのは自分だと誤解されたままかもと黒田は話しています。
劇場版第22作『劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人』
黒田が劇場版初登場
公安の降谷 零=安室 透をメインキャラクターとして描き出す骨太のミステリー。降谷と接触できる限られた刑事という風見も活躍し、警視庁捜査一課管理官の黒田が劇場版初登場となりました。
東京サミットを予定していたリゾート施設で大規模な爆発が発生。現場を警備していた警察官が死傷し、降谷と風見も負傷してしまいます。最初は事故として処理されるはずでしたが、風見が持ち込んだ情報により警視庁の捜査会議は一転。現場に残った指紋などから毛利小五郎が容疑者として浮上します。強引な捜査を目の当たりにし、コナンは公安の捏造を疑っていました。
降谷が劇中で「裏の理事官」について口にしていたり、黒田の電話に含みを持たせるなど、気になる要素も散りばめられています。
劇場版第26作『劇場版 名探偵コナン 黒鉄の魚影』
コナンの発言や推理を全面的に信頼
世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設パシフィック・ブイを舞台に、老若認証システムにより「灰原=シェリー」の秘密が黒ずくめの組織にバレてしまう絶体絶命のストーリーが展開。ジンと確執のある組織のメンバー・ピンガ、バーボンこと降谷らが登場します。
コナンのもとへ沖矢 昴(赤井秀一)から、ユーロポールの職員がドイツでジンに殺害されたという電話が入り、 不穏に思ったコナンはパシフィック・ブイの警備に向かっていた黒田たち警視庁関係者が乗る警備艇に忍び込み、施設内に潜入します。
老若認証システムを開発したエンジニア・直美、そして灰原が誘拐されて捜査を進めるなか、黒田がコナンの発言や推理に信頼を置いている様子も。また、蘭がピンガとの対峙で蹴り飛ばされて落下した際、黒田は蘭をキャッチして「右の正拳を出したあと体が左に流れる癖がある」とアドバイスしています。
黒田兵衛の声優は岸野幸正さん
アニメで黒田兵衛を演じているのは声優の岸野幸正(きしのゆきまさ)さん。1955年10月21日生まれ、東京都出身。『SLAM DUNK』の魚住純役をはじめ、『ONE PIECE』のヒグマ役など、人気作品のキャラクターを演じています。