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名古屋開催の歴代ボクシング名勝負、井上尚弥vsアフマダリエフがIGアリーナで14日ゴング

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井上尚弥,Ⓒゲッティイメージズ

順調な調整をアピール

プロボクシングの4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(32=大橋)が14日、愛知県名古屋市のIGアリーナでWBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)と対戦する。

井上は10日に自身のSNSで「大橋ジムでのトレーニングは終了!仕上がったぜい!!!」と投稿。鍛え上げた肉体を披露した写真をアップしており、順調な調整をアピールした。

会場のIGアリーナは愛知県体育館の老朽化に伴い、新たなランドマークとして7月13日にグランドオープンしたばかり。最大収容人数17000人を誇り、大相撲名古屋場所やB1名古屋ダイヤモンドドルフィンズのホームアリーナとして使用される。井上の試合も目玉のひとつだ。

井上が名古屋のリングに上がるのは初めて。アフマダリエフという強敵を迎え、ハイレベルで見応えのある攻防が期待できそうな今回は、ボクシング史に残るファイトとなるかもしれない。

名古屋のジム所属で世界王者となったのは畑中清詞(松田)、薬師寺保栄(松田)、飯田覚士(緑)、戸高秀樹(緑)、田中恒成(畑中)、矢吹正道(緑)の6人。これまで名古屋のリングでは数多くの熱戦があった。改めて振り返ってみたい。

エデル・ジョフレvsファイティング原田

まず最初に挙げなければならないのは、1965年5月18日の世界バンタム級タイトルマッチだろう。19歳で世界フライ級王座を奪取したファイティング原田が2階級制覇に挑戦。原田は東京の笹崎ジム所属だったが、試合は愛知県体育館で行われた。

その相手が8度の防衛戦で全てKO勝ちし、「黄金のバンタム」と呼ばれていた世界バンタム級王者エデル・ジョフレ(ブラジル)だった。

戦前の予想は「原田の圧倒的不利」。しかし、原田は4回に右アッパーをクリーンヒットし、50戦無敗の王者をロープまで吹っ飛ばす。その後も一進一退の攻防が続き、15回終了のゴングを聞いた。

判定は2-1で原田。22歳の若きファイターが奇跡を起こした一戦はテレビ中継の平均視聴率54.9%をマークし、日本中が祝福した。

原田は立場を入れ替えて迎えた2度目の防衛戦でジョフレに再び判定勝ち。その後、世界フェザー級王座を獲得したジョフレの生涯戦績は72勝(50KO)2敗4分けで、原田以外には負けたことがなかった。今でも原田がブラジルで有名なのは、母国の英雄を負かした唯一のファイターだからだ。

ルーベン・オリバレスvs金沢和良

1971年10月25日、愛知県体育館でWBA世界バンタム級王者ルーベン・オリバレス(メキシコ)に挑んだのが金沢和良(アベ)。東洋バンタム級王座を奪取した勢いで、当時67勝(62KO)1敗1分だったハードパンチャーと死闘を演じた。

激しい打ち合いの末、両者疲労の色が濃くなった13回、金沢が起死回生の右アッパーをクリーンヒット。ぐらついた王者をロープに詰めて猛ラッシュすると、愛知県体育館は割れんばかりの大歓声に包まれ、場内総立ちとなった。

しかし、この回終了間際にスリップダウンした金沢にスタミナは残っていなかった。14回、王者の猛攻に遭い、2度のダウン。これまでかと思われたが、金沢は鬼気迫る表情で立ち上がる。挑戦者を支えているのは気力だけだった。

結局、この回に3度目のダウンを奪われてKO負け。敗れはしたが、金沢のファイティングスピリッツは観る者の胸を打った。金沢は世界のベルトを巻けなかったものの、オリバレス戦は年間最高試合に選ばれるなど記憶に残るボクサーだった。

薬師寺保栄vs辰吉丈一郎

1994年12月4日、名古屋市総合体育館レインボーホール(現日本ガイシホール)。WBC世界バンタム級王者・薬師寺保栄は同級暫定王者・辰吉丈一郎(大阪帝拳)を地元リングに迎えた。

当時、関西を中心にカリスマ的人気を誇った辰吉陣営と興行権を巡って入札となり、名古屋開催に決まった経緯がある。両者とも1億7000万円という破格のファイトマネーも話題になり、試合前から両者が舌戦を展開するなど盛り上がりが最高潮に達したところでゴングが鳴った。

戦前の予想は辰吉有利。しかし、薬師寺は愚直に左ジャブを突きながら辰吉の強打に耐え、2-0の判定勝ちを収めた。テレビ中継の平均視聴率は関西地区で43.8%、東海地区では52.2%を記録する歴史的大一番だった。

木村翔vs田中恒成

田中恒成が3階級制覇をかけてWBO世界フライ級王者・木村翔(青木)に挑んだのは2018年9月24日、テバオーシャンアリーナ(現名古屋金城ふ頭アリーナ)だった。

現在も日本最速記録のプロ5戦目でミニマム級、8戦目でライトフライ級王座を奪い、2度防衛。当時11戦全勝(7KO)だった田中は序盤から打撃戦を挑む。田中、木村ともパンチの届く距離で足を止めて打ち合う激闘の末、2-0の判定で田中の手が上がった。

田中はワシル・ロマチェンコに並ぶ世界最速タイの12戦目で3階級制覇。2020年大晦日には東京・大田区総合体育館で井岡一翔に初黒星を喫したが、2024年2月に東京・両国国技館でクリスチャン・バカセグア(メキシコ)を下して4階級制覇を果たした。

井上尚弥vsムロジョン・アフマダリエフは名古屋のボクシング史に残る名勝負となるか。熱いファイトが楽しみだ。

【関連記事】
・井上尚弥「キャリア最大の強敵」アフマダリエフの攻略法は? 14日ゴング
・ボクシング世界戦KO勝利数&勝利数&連勝ランキング 井上尚弥が次に狙う記録は?
・ファイティング原田の半生「黄金のバンタム」に生涯唯一の土をつけた日本最高のファイター

記事:SPAIA編集部

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