見上愛「興味がないとか苦手だなと思うものほど、学生のうちに観てほしいし、聴いてほしい」#学生の君に伝えたい3つのこと
人生の先輩である著名人の方々から、まだまだ自由に使える時間が多い大学生のみなさんに、“学生のうちにやっておいたほうがいい3つのこと”をアドバイスしてもらおうという連載「学生の君に伝えたい3つのこと」。
今回は映画『かくかくしかじか』に出演した見上愛さんが登場。これまでさまざまなことに興味を持ち、挑戦してきたという見上さんが学生たちへエールを送ってくれました。
【写真】見上愛の撮りおろし俳優・見上愛が<学生の君に伝えたい3つのこと>
1.ちょっとでも気になることには挑戦しておいたほうがいい
――学生のうちにやっておいたほうがいいと思うことはありますか?
自分が高校生のときは「若いんだから」とか「若いうちだよ」とどれだけ大人に言われても、「私たちも学生生活が忙しいし、そんなこと言われましても」と思っていたんですよ(笑)。でも年を重ねるとチャレンジする勇気も余裕もなくなってくる感覚があるので、学生のうちにちょっとでも気になることには挑戦しておいたほうがいいと思いますね。学校で勉強したことや習い事だったり、SNSで見かけた展覧会、興味のないことでも友だちに誘われたら行ってみたり、ちょっとでも何か新しいきっかけがありそうだな、気になるなと思ったら、そういうチャレンジ精神が将来に繋がってくると思うので、ぜひ!
――見上さんは学生時代、興味があったらどんどん挑戦するタイプでしたか?
そうですね、結構無鉄砲なタイプでした(笑)。「なんか大丈夫な気がする」「地球が滅亡しても自分だけは生きてるんじゃないか」と思うくらい、根拠のない自信がありました。それは人と比べてどうこうということではなく、自分が自分のことを一番信じてあげられていたんですよね。だからいろんなことにチャレンジできていました。
2.興味がないとか苦手だなと思うものほど観てほしいし、聴いてほしい
――学生のうちに見たり、聞いておいたほうがいいものは?
私は学生のうちに演劇に出会って人生が一変しました。そういうものも年数を重ねれば重ねるほど、自分の好きなものしか観なくなっていくと思うんです。今はすごくたくさん のメディアがあって、自分のスマホとかで本当に好きなものだけを選んで見られるようになったじゃないですか。それがよくもあり、学生のうちにそれをやっちゃうのはもったいない気もしますし、観ることで、なんでそれに興味が湧かなかったのかとかそういう分析がいつの間にかできてきて、もっと自分の好きなものを追い求められるようになると思うから、興味がないとか苦手だなと思うものほど観てほしいし、聴いてほしいです。
――見上さんがおすすめしたいものはありますか?
今の学生のみなさんがどれだけ舞台を観に行ったことがあるのか、すごく気になっていて。私が初めて舞台に立たせていただいたときに大学の友だちが観に来てくれたんですけど、みんな舞台というものを観るのが初めてだったんです。私はすごく好きなものなので、ちょっとでも興味があるものや好きな漫画の舞台化とか、なんでもいいのでぜひ観てみてほしいです。
3.全部をやってよかったし、後悔することは一個もない
――これまで経験した中でやっておいてよかったと思うことは?
幼少期とか中高でやっていた習い事がこのお仕事でやっと生きている感じがします。バレエやリトミック、ギターも部活のハンドボールもいろんなことがすごく間接的にですけど、役立っているなと思うので……全部!過去の私がした選択、すべてに拍手という感じです。両親や友だちにも、いろんな機会にも感謝ですね。
――経験したことが会話のきっかけになったりもしますもんね。
そうですね。ひとつ共通点があるだけで急に距離が縮まったり、自分がいろんな景色を見ているといろんな話題に共感できたりするので、ただただ楽しいですよね。だから全部をやってよかったですし、後悔することは一個もないです。
ビシッと言ってくれる友だちはすごく素敵だなと思う
――見上さんが出演する映画『かくかくしかじか』が5月16日に公開されます。原作や脚本を読んでどんな印象を持ちましたか?
私も(大泉洋さん演じる)日高先生に似ているような先生と出会ったことがあったり、今までのいろんな恩師の顔が浮かんできて懐かしい気持ちになりました。自分の人生の中でこんなに深く関わってくれる人って一人いるかいないかだなと思うので、そんな先生に出会えた(原作の東村)アキコ先生をすごく羨ましいなとも思いました。
――今回演じた北見はどんな人物だと思いましたか?
最初に台本や脚本を読んだときはクールな印象だったり、意外とミーハーなところがすごく魅力的だなと思いました。(永野芽郁さん演じる)明子にすごく現実的な言葉をかけているのは傍から見たり、明子からしたらすごく厳しく思えると思うけど、実はそれって優しさだなと思うんです。夢を見させることだけが優しさじゃないから、ある程度現実を知らせるというか、「そんなに甘く考えてたらうまくいかないよ」とビシッと言ってくれる友だちがいるのはすごく素敵だなと思います。なので、その彼女なりの優しさとか、明子との信頼関係があるからこその友情、二人の空気感みたいなものがいいなと思いました。
――演じる上で共感する部分はありましたか?
私も思ったことをはっきり言ったほうがよさそうだったら言うことがあるので、そういう意味ではちょっと似ているかもしれないです。あと学生時代、私もフリッパーズ・ギターが好きでした(笑)。
大切な人に連絡をするきっかけになる映画
――そんな共通点があったんですね! 永野さん、大泉さんとの共演で印象的なことはありますか?
おふたりとは絵画教室のシーンでご一緒することが多くて、いつも現場を和やかにしてくださっていて。でもスタートがかかった瞬間に急に日高先生と明子にパッと切り替わる感じが「すごく素晴らしい役者さんたちだな」と思って、そこに一生懸命ついていこうと思いながら撮影に挑んでいました。
――作中に登場するデッサンは実際に描かれていたのでしょうか?
描く練習はしましたけど、全部描いているかと言われると……映像のマジックがあります(笑)。でもデッサンの中にはその場で東村先生が描いてくださったものもあったり、最初のデッサンの授業でも先生に教えていただいたんです。
――東村先生は現場によくいらっしゃっていたそうですね。
そうなんです。衣装合わせからいらっしゃっていて、そのときに「もう北見にそっくりだよ」と言ってくださって。撮影でお会いしたときは作品の話というよりも雑談をすることが多かったです。
――先生と実際にお会いしてお話することで、作品のイメージが湧きやすくなる部分もあるのでしょうか。
そうですね。先生だけじゃなく、先生の地元のお友だちやご親戚もいらっしゃっていたので、宮崎の方々のあったかい空気感みたいなものを感じられたり、宮崎弁もあまり馴染みのない音程で難しかったんですけど、お話しているのを聞けてすごく勉強になりましたね。
――最後に作品の見どころを教えてください!
私は映画を観ながら大事な恩師だったり、家族や友だちのことを思い出しました。だからみなさんも何かのきっかけをくれた人を思い出したり、大切な人に連絡をするきっかけになる映画になったらいいなと思っています。
――ちなみに見上さんもそういった方に連絡したりしたのでしょうか?
連絡はしてないですけど……、でもいっぱい思い出しました。今度会ったら話したいです(笑)。
PROFILE
見上愛
2000年10月26日生まれ、東京都出身。2019年にドラマ「ボイス 110緊急指令室」にて俳優デビュー。主な直近の出演作に映画『不死身ラヴァーズ』(24)、ドラマ「119エマージェンシーコール」(25)などがある。今後は6月に『国宝』の公開が控えている。また来年には、2026年度前期・連続テレビ小説「風、薫る」で主人公を務める。
映画『かくかくしかじか』5月16日(金)より全国公開
漫画家になるという夢を持つ、ぐうたら高校生・明子。
人気漫画家を目指していく彼女にはスパルタ絵画教師・日高先生との戦いと青春の記録があった。
先生が望んだ二人の未来、明子がついた許されない嘘。
ずっと描くことができなかった9年間の日々が明かされる── 。
https://wwws.warnerbros.co.jp/kakushika/index.html
取材・文/東海林その子
撮影/米玉利朋子