ブラタモリ案内人が解説!多摩エリアの地形に注目!
東京の多摩地域にお住まいの方、出身の方もそれ以外の方にも楽しんでいただきたいという番組。
MCは土屋礼央さん(国分寺市出身)&林家つる子さん(八王子市の大学出身)。
今週は、多摩の“スリバチ”を特集。“スリバチ”とは何か!?NHK「ブラタモリ」の案内人を務めたこともある「多摩武蔵野スリバチ学会」会長の真貝康之さんをゲストに迎えて、多摩の地形に注目!
ブラタモリ案内人が解説!多摩エリアの地形や“スリバチ”に注目!
“スリバチ”とは何か!?
土屋:さっそくゲストのご紹介です、「多摩武蔵野スリバチ学会」会長の真貝康之さんです!
真貝さん:よろしくお願いします!
土屋:我々は多摩地域に特化した番組で。多摩地域好きは、基本的に“地形好き”だと、僕は勝手に考えています。
真貝さん:そうですか。
土屋:フジテレビでテレビ中継があって。じゃあ、つる子さんから真貝さんのご紹介をお願いします。
つる子:真貝さんは1958年生まれ。2014年に多摩武蔵野スリバチ学会を設立、会長さんをつとめていらっしゃいます。多摩地域を中心に地形や町並みに着目した街歩き講座の講師を務めながら、フィールドワークも開催されています。「ブラタモリ」にも案内人として出演されていました。
土屋:多摩との関わりはいつ頃からですか? ご出身は?
真貝さん:出身は世田谷区で、7歳の時に「三鷹市」に引っ越しまして、以降、大学を出るまで「三鷹」に住んでいました。就職してからは転勤であちこち行ったんですけど、結婚してから「武蔵野市」。あと30年近くは現在も「三鷹市」に住んでいます。
土屋:どんなお仕事をされていたんですか?
真貝さん:銀行員で。50歳を過ぎて子会社に転籍して、去年めでたく定年退職しました。今、66歳なんですけど、縁あって週3日ほど働いています。
土屋:お仕事をされながら「多摩武蔵野スリバチ学会」をされているという。
つる子:そもそも「多摩武蔵野スリバチ学会」がどんな組織で、何をされていらっしゃるんですか?
真貝さん:学会って申しても、学会員はいないんですよ。会員がいるわけではなくて。「多摩武蔵野スリバチ学会」でいうと、会長の私と副会長の2人で運営している状態です。
土屋:はい。
真貝さん:もともと「スリバチ学会」というのは、皆川さんという方が「東京スリバチ学会」というのを20年前に設立しまして。そこから「スリバチ」という名前を使って広まってきたと。
土屋:なるほど。それの多摩や武蔵野の部署と。
真貝さん:そうです。多摩地域の分科会になるわけです。
土屋:そもそもの話なんですけど・・・「スリバチ」ってなんですか??
真貝さん:「スリバチ」も一般的になってきたかなと思いきや、まだまだもう一歩と。赤坂のTBSのすぐ近くに薬研坂という坂があるんですね。
つる子:はい。
真貝さん:皆川さんはその坂の近くに勤務されておられた時に、薬研坂を見て、谷があって、坂があって、谷間なんですね。
土屋:クルマも自転車も大変なんですよ。
真貝さん:皆川さんがそんな薬研坂を見て、<これは“スリバチ”だ!>と思ったらしくて。そこから街歩き、地形、高低差に注目したフィールドワークを開催して、特に都心を巡り歩いてきたということになりますね。
土屋:じゃあ、真貝さんがスリバチの世界に入ったきっかけは?
真貝さん:もともと小さい頃から地図を見るとか、地学的なことは好きだったんですよ。それはそれで終わって。普通に就職して、銀行から転籍した子会社が不動産を扱う関連業務だったんですね。不動産の物件の現地に行って調査をするんです。その時に、都心だと坂が多い、と。
土屋:多いですよね。
真貝さん:“都心ってこんなに坂が多かったのか”と思ったり。調査すると暗渠、昔は川だった所が埋められてしまっていたりする。これは何なんだろう、この水はどこから来ているんだろうということに興味を持ちまして。それで色々と調べていくうちに、「東京スリバチ学会」の皆川さんという方がフィールドワークをやっていると。
つる子:はい。
真貝さん:渋谷駅に10時に集合して参加したい人は集まってくださいと募集しているんですね。皆川さんが先導する街歩きによって、街の風景がまったく変わるわけですね。
つる子:へえ。
真貝さん:視点が違うというか。ただ単に坂道を歩いているのではなくて、いわゆる“スリバチ”的な風景を愛でる。
土屋:最初は渋谷ですか?
真貝さん:渋谷でしたね。
“スリバチ”の楽しみ方とは!?
土屋:“スリバチ”とは、どういう見方になるんですか?
真貝さん:基本的には、 谷とか窪地ですね。坂道の向こうにまた坂道がある。その間に谷がある、と。
土屋:まさに渋谷の駅ですね。
つる子:ああ、そうですね。
真貝さん:それは二方向が窪地になっている所ですね。三方向が囲まれたような窪地もあったりする。あとはすべてが囲まれた窪地があったりする。
土屋:その窪地を、どう愛でることで楽しめるようになるんですか?
真貝さん:“スリバチ”的な風景、景観=“スリバチビュー”が非常に楽しいというところもありますし。そればかりでなく、それに付随して、たとえば街歩きの中で“暗渠を愛でる方々”、“古い道=古道を愛でる方々”、あとは“建築、建物を楽しむ方々”・・・
土屋:ああ、なるほど。それぞれ目線が違うんだ!
つる子:いろんな楽しみ方があって!
真貝さん:フィールドワークを大勢で歩くんですけど、食い付きどころが違うので。だから、高低差を基本にしながらも、みなさん、街歩きで自分の好きなものを楽しんでもらう。
土屋:<ぼくはこうやってみるのが楽しい!>みたいなのが楽しんだ。それはいい。仲間もできるし。そのフィールドワークは何人くらいが参加されるんですか?
真貝さん:私がやっている「多摩武蔵野スリバチ学会」では、コロナ前は毎月、参加費のいらない無料でやっていて。コロナ時期は中止して。最近は不定期ですね。集まると、30人から50人くらい。
土屋&つる子:すごい!
土屋:初心者とか経験者とかもなく?
真貝さん:わりと、歩き慣れた方ですね。あとは、街歩きの有料講座もやっていまして。住んでいる町だけどよく知らないから参加したいとかもいらっしゃいますね。
土屋:ただ歩くだけじゃなく、いろんな情報があるから。
四谷荒木町は“スリバチ”の聖地!
土屋:色々と歩かれている中で、おすすめの“スリバチ”はどこですか? 多摩地域に限らず、23区でも。
真貝さん:23区はいっぱいあってナンバーワンとなるとどこかな・・・
土屋:たとえば、我々が“スリバチ”ってわかりやすい所は?
真貝さん:新宿に“荒木町”という所があるんですけど。
土屋:え、どこらへん? つる子さん、わかる?
つる子:ありますね! 四谷3丁目のあたりですね。
真貝さん:“荒木町”は“スリバチ”の聖地みたいな所で。
つる子:ああ、そうだ! そうですよね! 津の守坂坂がある!
真貝さん:“荒木町”はすごい窪地なんですよ。
土屋:川沿いのお堀のところを下っていく坂かな。
真貝さん:あの辺は“四谷”というくらい・・・
土屋:ああ、ほんとだ! 4つの谷だ!
つる子:四谷ですもんね。
真貝さん:谷がいっぱいあって。荒木町はものすごい窪んでいて、昔、花街があって。そして荒木町は自然の窪地とともにダムが作られて・・・
土屋:ダムがあったんですか!
真貝さん:ダムがあって堰き止められているんですね。完全に四方を囲まれた、皆川さんの言葉を借りると“1級スリバチ”というんです。“スリバチ”には1級、2級、3級とあって、相対する坂道の場合は3級、三方が坂に囲まれたような「井の頭池」は2級、四方向になると1級。
土屋:おお! わかりやすいですね!
真貝さん:最近は言わないみたいです(笑)。
つる子:あれ~(笑)。
土屋:映画「君の名は。」の階段のシーンも、あそこは四谷だから。
つる子:ああ、そうですね!
真貝さん:都心は大地に刻まれた谷間が多いんですよ。谷だと思ったら大地、ちょっと歩いたら谷、窪地になるという、連続しているというのが特徴で。
六本木ヒルズ、麻布台ヒルズにも“スリバチ”の記憶は残る!
土屋:ぼくね、子供の頃に、(そんな所に家を建てるなら埋め立てて平らにしたらラクなのに~)って思ってましたけど、そういうことではないんですよね?
真貝さん:そうですね。
土屋:地球の、偉大な歴史の上に我々は住ませてもらっているというのを、“スリバチ”を見ると感じますね。
真貝さん:その、埋め立てたということで言うと、最近出来た麻布台ヒルズ。
つる子:はい。
真貝さん:あそこは、“我善坊谷”という谷だったんですよ。これが良い谷だったんですよ(笑)。
土屋:ニコニコですね(笑)。
つる子:(笑)。
真貝さん:あそこを再開発したんですよね。埋めたり何だかんだしますけど、地形の根幹というか、記憶というのは意外と残っているもので。六本木ヒルズも、あそこは谷なんですよ。
土屋:ああ。
真貝さん:あそこも再開発しましたけど、やっぱり土地の記憶は残っている感じはしますよね。
土屋:ヒルズですけど、どっちかというと、“谷ズ”=“バレーズ”ですよ。
つる子:ほんとだ。
来週は、いよいよ多摩地域の“スリバチ”に注目!
土屋:もうお時間です。多摩地域の番組なんですけど、23区の話題で今日は終わります。
つる子:いいんですか~?
土屋:いいんです! 23区を前座にしたいんです!
つる子:(笑)。
土屋:メインイベント、真打の多摩の“スリバチ”は来週伺いたいと思います! 来週もよろしくお願いします!
真貝さん:よろしくお願いします。
(TBSラジオ『東京042~多摩もりあげ宣言~』より抜粋)