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裁量労働では働く時間が長くても満足度アップ? 東大・早大の研究グループ調査

月刊総務オンライン

裁量労働では働く時間が長くても満足度アップ? 東大・早大の研究グループ調査

東京大学公共政策大学院の川口大司教授と早稲田大学教育・総合科学学術院の黒田祥子教授らの研究グループは12月19日、裁量労働が働く人の満足度に好影響を与えているとの分析結果を公表した。

裁量労働適用者は満足度も高い しかし平均労働時間は長くなる傾向に

労働時間と賃金において裁量労働制の適用者と非適用者を比較すると、裁量労働制が適用されない労働者の一週間の平均労働時間は43.9時間。適用者はそれより2時間多い45.9時間働いていた。賃金は、裁量労働制適用者の方が非適用者よりも年収が7.8%高かった。

裁量労働制が適用されない労働者(緑)と適用される労働者(赤)の週当たり労働時間

「健康状態」では、裁量が高い労働者では健康状態の悪化は見られなかったが、裁量が低い労働者では長時間労働が健康に悪影響を与える傾向があった。また「満足度」は、裁量が高い労働者は満足度が向上する一方、裁量が低い労働者では満足度が低下した。

分析には、厚生労働省が2019年11月から12月にかけて実施した全国規模の「裁量労働制実態調査」を活用。調査では約7万人の労働者を対象に、裁量労働制適用者と非適用者を比較し、労働時間、賃金、健康状態、満足度などに関する詳細なデータを収集していた。

研究グループは、厚労省のデータを利用し、裁量の大きさを「目標や締切の決定方法」「業務内容や量の決定方法」「進捗報告の頻度」「業務実施方法や時間配分の決定方法」「作業開始および終了時間の決定方法」の5つの側面で測定し、これらの基準に基づき、自己決定の割合が高い労働者を「裁量が高い」と定義した。

研究グループ、裁量労働制適用には「十分な裁量を持てる環境の整備を」

研究グループは、「裁量労働制を適用する際には、労働者が十分な裁量を持てる環境を整備することが重要。裁量を持たない労働者への適用は、長時間労働や健康への悪影響を招く可能性があるため、慎重な対応が求められる」とコメントしている。

「サードプレイス」の存在も、働く人のモチベーションに貢献

労働者のモチベーションは勤務時間中だけでなく、プライベートの時間とも関係していることが、12月19日に公表されたマイナビ(東京都千代田区)の調査結果からわかった。

調査結果によると、サードプレイスを持つ人で「働くモチベーションが高い」と回答した人は40.0%で持たない人(24.0%)とは16ポイントの差があった。

また、「自分のキャリアを自分で作り上げている実感がある」との回答は、サードプレイスを持つ人で53.3%となり、持っていない人(34.0%)に比べて19.3ポイント高かった。

「困難な仕事でも自分ならできるという自信がある」についても、サードプレイスを持つ人は56.3%となり、持っていない人(35.8%)に比べて20.5ポイント高かった。

同社は「サードプレイスを持っている人は、働くモチベーションが高く、キャリア自律や自己効力感が高い傾向にある」と分析している。

サードプレイスはどんな場所? 最多はカフェ、「バイクで走る」などの意見も

サードプレイスを持っている場所で最も多かったのは「カフェ」で、「ジム」や「趣味などの交流の場」などの回答も目立った。

サードプレイスは、「1人の時間を過ごす」もしくは「他者とのコミュニケーションがある」、そして「場所が固定されている」もしくは「やることが固定されている」の4つの特徴に分けられた。

※画像クリックで拡大

調査はインターネットを通じて20歳から59歳の正社員の男女を対象に行われ、3000件の有効回答を得た。

同社は「サードプレイスは、実際の場所だけでなく、リラックスして自分らしさを発見できる時間を過ごすことも含まれている。自分に合ったサードプレイスを見つけることで、今後のキャリアにも良い影響を与える可能性がある」とコメントしている。

東京大学公共政策大学院の川口大司教授と早稲田大学教育・総合科学学術院の黒田祥子教授らの研究グループによる分析結果の詳細は東京大学公共政策大学院の公式プレスリリースで確認できる。

マイナビの調査結果の詳細は同社の公式プレスリリースで確認できる。

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