【新千歳空港】旅行者増えても増便できない…「グラハン」不足が深刻化
コロナ前の賑わいが戻ってきた新千歳空港ですが、今大きなピンチに直面しています。
実は、大事な仕事の働き手が不足しているんです。
巨大な飛行機の下を歩いてくぐり抜け、みんなで離陸をお見送りをしたり、”新千歳空港の舞台裏”=荷さばき場で、熱心に説明を聞いたりしているのは、札幌市や空港周辺のマチから集まった高校生と保護者たち。
この「見学会」は、空港での仕事について知ってもらおうと、空港会社と業界団体が企画しました。
グラハン=グランドハンドリングとは、空港で行う地上での業務です。今、深刻な人手不足に直面している「グランドハンドリング」の現状を取材しました。
過去最多なのに増便できない
休日ともなると多くの旅行客でにぎわう新千歳空港。コロナ禍前の姿が戻ってきました。
航空機をより多く発着させるためには、より多くの地上で働く「グランドハンドリング」の人材を確保しなければ、空港は機能しません。
2024年、日本に来た外国人旅行者は8月までに2401万人。
このペースで行くと、コロナ禍前の年間3188万人を超え、過去最多となりそうです。
しかし新千歳空港では、グランドハンドリングの人手不足で、外国の航空会社の新規就航や増便に対応できない影響が出ています。
高校生たちにPR
問題の解消に向けて企画されたのが、高校生の「お仕事見学会」です。
高校生が、離陸直前の飛行機周辺での作業を見学。
誘導路へ飛行機を押していくトーイングカーにも試乗しました。
一口に「グランドハンドリング」といっても職種は様々。
飛行機を誘導したり、荷物を積み込んだりする「ランプハンドリング」。
飛行ルートの確認や、貨物の重量バランスを管理する「オペレーション」。
空港カウンターで利用客に対応する「旅客ハンドリング」などなど。
コロナ禍で航空需要が落ち込んだ時期には、多くのグランドハンドリングのスタッフが職場を離れました。
再び人材を確保しなければならないと、2023年に事業者がつくる「空港グランドハンドリング協会」が設立されました。
見学会などのPR活動とともに、グランドハンドリングの待遇改善にも取り組み始めています。
協会の曽原倫太郎執行理事は「まずは労働条件」が大事と話します。
グランドハンドリングの平均年収は約434万円(前年比+20%)だといいます。
「しっかり航空会社からいただく委託料の引き上げを図りながら、従業員への還元を増やしていく」
「育児を抱えている女性も増えているのでさまざまな工夫をしながら長く働いて活躍できる環境を今つくっている」
JALとANAで資格の相互承認をしたり、作業車両に自動運転やリモコン操作を導入したりと、作業の効率化も図り、「空の安全」を下支えしています。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2024年10月23日)の情報に基づきます。