三井不動産株式会社 フードイノベーションの基盤「&mog by Mitsui Fudosan」 食の企業の最前線8 25年2月号
「場」と「ネットワーク」を持つという不動産会社の特性を生かした三井不動産のプロジェクト&mog。食の新規事業支援で社会課題解決を目指す
「&mog by Mitsui Fudosan」は東京の日本橋を拠点に、三井不動産が2024年3月に開始したプロジェクト。ビルやホール、オープンスペース等の同社が保有する“場”と、不動産事業を通して育んできた多彩な企業や個人との“ネットワーク”を活用し、食に関する新規事業を支援する。
背景には、04年開始の「日本橋再生計画」がある。バブル崩壊後の停滞を克服し、既存資源を生かしながら、数十年かけて日本橋を新たな価値を創造する街へ再生させる壮大な官民共同のプロジェクトだ。三井不動産を中心に進められ、COREDOシリーズの竣工などの第1、2ステージを経て、現在は「産業創造」や「水都再生」を掲げる第3ステージに突入。特に「産業創造」では「ライフサイエンス(医療、生命科学)」、「宇宙」、「モビリティ(運輸、交通)」、「食」が重点項目とされる。&mog by Mitsui Fudosanは、その「食」分野を担うプロジェクトだ。
三井不動産株式会社 日本橋街づくり推進部長の七尾克久さん。入社から30年以上に渡って日本橋勤務。地元密着で、食の産業支援を後押しする。
「&mog by Mitsui Fudosan」は「街で育む、未来の食」をキーワードに、食を通じた社会・環境課題の解決に取り組むスタートアップや新規事業、個人店などを支援。アイデア出しから試作、商談、社会導入までのプロセスを支援し、事業の成長を後押しする。
発足年の昨年は、イベントでは招待制の交流会「TOKYO FOOD MEETUP」を定期開催し、食品企業や流通業者、スタートアップ、シェフらが食の未来を議論する場を提供。また、食のイノベーティブな取り組みで海外に挑む企業と、すでに海外で活躍している企業や支援組織を結ぶイベントも開催した。
10月はフードテックの国際カンファレンス「SKS JAPAN 2024」(株式会社UnlocX主催)をサポート。現在30以上の企業と連携している。大小さまざまな食の担い手と伴走しつつイノベーション創出・社会課題解決を目指す。
&mog by Mitsui Fudosan
https://www.and-mog.com/
text: Cuisine Kingdom photo: Yoshiko Yoda