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仕事でミスばかりな私を支えてくれたのは「文章を書くこと」。書き続けるために、これからも適度に働く

りっすん

会社員として働く中で、思うように仕事の成果が出せないことに落ち込み、ずっともやもやした気持ちを抱えてきたというnecomimiさんに、趣味との出合いによって仕事に対する考え方が変化した経験をつづっていただきました。

理想とのギャップに悩んでいたnecomimiさんを支えてくれたのは「文章を書いて発信する」こと。夢中になれる趣味をこれからも続けていくために、仕事ともあらためて向き合ったといいます。

***

転職して頑張るつもりが、仕事の「もやもや」に負けそうに

私はこれまで3回転職し、今の職場が4社目だ。前職はいろいろあって逃げるようにして辞めたけれど「次は心を入れ替えて心機一転頑張ろう」と思っていた。

しかし気がつくと、結果を出し続けている同僚に対して焦りを感じたり、仕事でつまらないミスを連発したりしている。働くことと「自己実現」みたいな言葉の間で、ずっと憂鬱感というか、もやもやを抱えている。周りの「仕事=人生」のように見えるキラキラした人たちを眺めながら「自分はそんなふうに仕事に打ち込めない」と、勝手にへこんでしまう。

自分なりに工夫と努力はしているつもりだけど、なかなか成果にはつながらない。仕事に対して無駄に空回りして、足がもつれて転げ回っている。

そんな日々が続く中で、カウンセリングに行ったり漢方薬を飲んだりするようにもなった。働けなくなるほどではないし、元気はあるけど、やっぱり仕事に対しては異常に臆病になってしまう。休日に意味なく自分の仕事のできなさを思い出し、頭がいっぱいになってしまうこともある。

私だって、結果を出して他部署からも一目置かれるような、キラキラした人たちに憧れていた。仕事=人生というほど仕事に没入するところまではいかなくても、職場で存在感のある人間になりたかったのだ。

しかし、そんなキラキラした人たちを横目で見ながらボロボロになっている自分を振り返って、最近ようやく分かってきた。

無理して「職場でキラキラ働ける人間になる」ことを目指すのは、やめた方がいい。

一日をミスなく終えるので精一杯。夕方になると集中力は底をつき、処理速度が落ちている。そんなふうに「普通に働く」ので毎日キャパオーバーなのだから、さらに上を目指すなんて疲れてしまう。今の状況でキラキラした人間を目指しても、自分のできなさに落ち込むばかりだ。だから潔く諦めようと思った。

そう考えられるようになったのは、たぶん、文章を書き続けていたからだ。

文章を書くことが、私を救ってくれる「心のサードプレイス」

仕事のもやもやを抱えていても、趣味があると気分転換ができる。料理や買い物、散歩なんかも好きだけど、私にとって一番楽しくて夢中になれるのは「ブログに文章を書くこと」だ。

自分の考えたことを文章にして出力するのは、ただの気分転換というだけではなくて、もっと朗らかで楽しくて、明るいエネルギーを発散する行為だと感じる。しかも、ブログのような開かれた場所に文章を書くと誰かに読んでもらえたり、さらには反応がもらえたりすることがある。するとうれしくなって、もっと書きたくなるのだ。自分が書いたものを後から読み返すのも楽しい。

職場や家のほかに、カフェなど自分にとって居心地のいい場所を指す「サードプレイス」という言葉がある。そういう場所が人生にとって大切、という考え方がコロナ禍ではやったと思う。

ブログを書くことは、私にとって「心のサードプレイス」だ。仕事からも日常からも離れて好きな文章を書く時間は、のびのびとリラックスできるし、何より楽しくて夢中になれる。

最近はブログから飛び出して、「文学フリマ」という即売会に出るようになった。最初は一般参加者として行ったのだけど、会場のあまりの熱気に触発されて「私も本を作って出たい! 人に読まれる文章を書きたい!」と思い、帰ってすぐ、次回分の出店のエントリーをした。まだ2回しか出ていないけど、これからも出続けるつもりだ。

《画像:これまでに「文学フリマ」で出した本》

即売会では、仕事とも日常とも切り離された、出店者としての「私」になれる。本名で呼ばれることはほとんどなく、「ネコミミさん」という一人のブロガー兼出店者になっているのだ。

イベントが終わってからは、次に出す本のことを考えるのが楽しい。文章を書いて発表する場がブログ以外に増えたこともうれしい。本やブログを書くことを考えている時の私に、仕事のもやもやは近づけない。

文章を書き続けて「人生は仕事だけではない」と思えるように

ずっと前から「人生は仕事だけではない。余暇を充実させることが大事」と頭では分かっていても、なかなか切り替えが難しかった。

どんなに楽しいことがあっても「つらいこと」はずっと存在し続けている。一時の楽しさで「つらいこと」から目を逸らすことはできても、戻って「つらいこと」と対峙したときにもっとつらいんじゃないか、と感じていた。

それに「仕事で努力しきれていない自分が、こんなにも余暇を楽しんでいいはずがない」と、仕事に起因したもやもやが私を責めてくる。別に仕事でうまくいかなくても休日は楽しんでいいはずなのに、心から楽しむ余裕がなかった。

でも、ブログや本作りで「文章を書くこと」を続けるうち、ようやく自分の実感として「人生は仕事だけではない」という考え方を受け入れられるようになってきた。

それは、スポーツをやっているときに「こういうふうに筋肉が動くんだ」と体の使い方が分かる、みたいな話だ。元からある言葉に対して頭の中で納得したというよりも、自分が体感したことを言葉にすると「人生は仕事だけではない」というフレーズになった感触。ありふれた言葉だけど、きちんと自分の中になじむまで、本当に時間がかかった。

時には本の締切直前に致命的なミスを見つけて修正作業に追われることもあるけれど、そこでミスを気にしてもやもやするようなことはない。そんな暇はないくらい、本を作ることに夢中になっているからだ。

修正作業を終えて入稿した後は、いつも喜びに満たされて脱力する。さらに、即売会の当日に本が売れると自己肯定感がスパークして、目の前がチカチカするぐらいうれしくなる。大げさだけど「生きててよかった」と本当に思う。これらは、文章を書くようになって、本を出すようになって初めて感じた気持ちだ。

キラキラできないなりに、ちゃんと働くことも大事

一方で「人生は仕事だけではない」と同様に「働いて給料をもらうことも大事」だと、ちゃんと分かってきた。

ワーク・ライフ・バランスとかクオリティ・オブ・ライフとか、もうずっとそういう言葉を聞いては自分になじむように努力してきたつもりだったけど、今になってやっと腑に落ちた。

とにかく生きていくのにはお金がかかる。私は文章を書くことや本を作ることはもちろん、他にもミーハーにいろいろな楽しいことを追い続けたいタイプなので、余計にそうだ。

ブログを書くことは「いち社会人としてなんとかやっていくための心の支え」だけど、ブログを書くという「心のサードプレイス」を守るためには、まず生活が成り立っていないといけない。職場で全くキラキラできない私だけど、キラキラできないなりに働いていかないといけないのだ。

文章を書いて発信することと、仕事をすること。両方のバランスを取りながら適度に「やっていく」のが、自分なりの仕事への向き合い方なのだと、ようやく分かった。


仕事はずっと不得意だし、一日の終わりに凹むことの方が多いし、ずっともやもやし続けている。だけど、無理にキラキラを目指さなくてもいいし、思うようにできない自分を過剰に責めなくてもいい。だって仕事「だけ」で生きているわけじゃないんだから。

私には心のサードプレイスがある。会社で働く本名の私ではない存在になれる「ブログを書く」という場所が。

この先もきっと、仕事に起因するもやもやに悩まされることはあるだろう。でも「書くこと」が私を別の場所に連れて行ってくれて、助けてくれる。だから私は今日も、ブログを書いている。

編集:はてな編集部

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