ボクシング世界戦KO勝利数&勝利数&連勝ランキング 井上尚弥が次に狙う記録は?
ダウン喫するもカルデナスに逆転TKO勝ち
プロボクシングの4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(32=大橋)が4日(日本時間5日)、アメリカ・ラスベガスのT-モバイルアリーナでWBA同級1位ラモン・カルデナス(29=アメリカ)に8回45秒TKO勝ちし、WBCとWBOは5度目、WBAとIBFは4度目の防衛に成功した。
立ち上がりは比較的静かなスタートだったが、2回終了間際にまさかのシーンが訪れる。井上が攻め込んだところにカルデナスの強烈な左フックがヒット。両足が揃っていた井上はお尻からダウンし、場内が騒然としたが、冷静にカウント8で立ち上がると終了ゴングが鳴った。
目を覚ましたモンスターはじわじわと攻勢を強め、中盤から接近戦でボディブローが決まり始めると挑戦者は徐々にスローダウン。カルデナスの左右フックをかわしてロープ際に追い込む場面が増え、7回ついに井上が右の4連発でダウンを奪い返した。
この回はカルデナスが終了ゴングに救われたものの、8回に井上が冷静に距離を詰めてパンチをまとめるとレフェリーストップ。昨年5月のルイス・ネリ戦以来となるダウンを喫してヒヤリとさせた王者は、試合後のインタビューで「僕は殴り合いが好きだということは証明できた。すごく楽しかったです」と余裕の笑顔で振り返った。
世界戦KO勝利数で77年ぶりにジョー・ルイスの最多記録更新
井上は節目のプロ30戦目をノックアウトで飾り、戦績を30戦全勝(27KO)に伸ばした。
2014年4月のプロ6戦目でWBCライトフライ級王座を奪ってから、11年間で世界戦25勝目(23KO)。25度防衛の歴代最多記録を持つ元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス(アメリカ)を抜き、世界戦KO勝利の新記録を樹立した。
ルイスが世界戦で最後にKO勝ちしたのは1948年6月だから、実に約77年ぶりの記録更新。歴代ベスト5は以下の通りとなっている。
井上とルイスの下には、1980年代後半から90年代にかけてスーパーフェザー級から3階級制覇したメキシコの英雄フリオ・セサール・チャベスと、村田諒太とも死闘を繰り広げたゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)が21KO勝利の3位タイで並ぶ。
5位はライトヘビー級で14連続KO防衛を記録するなど、世界戦20KO勝ちのダリウス・ミハエルゾウスキー(ポーランド)。井上はボクシング史上に残る名王者を従え、歴代1位に立ったのだ。
世界戦25連勝で歴代3位タイに浮上
さらに世界戦連勝記録でも、25連勝の井上は歴代3位に浮上。9月に予定されるWBAスーパーバンタム級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に勝てば、ジョー・ルイスと50戦無敗で引退したフロイド・メイウェザー(アメリカ)の26連勝に並び、歴代トップタイとなる。
井上と3位タイの25連勝で並ぶのは、先述のチャベスとミハエルゾウスキー。その下は少し離れて22連勝のスベン・オットケ(ドイツ)とジョー・カルザゲ(イギリス)が6位タイのため、当面塗り替えられることはないだろう。
世界戦25勝は5位タイ
判定勝利も含めた世界戦勝利数では、25勝で5位タイとなった。
歴代最多の31勝を挙げたチャベス(メキシコ)に次ぐ2位には、井上がKO勝ちしたオマール・ナルバエス(アルゼンチン)が28勝で続く。さらにジョー・ルイスとメイウェザーが26勝で3位タイとなっており、次戦で井上が並ぶ可能性がある。
5位で並ぶのはミハエルゾウスキーのほか、大橋秀行会長が現役時代にKO負けしたリカルド・ロペス(メキシコ)、6階級制覇のオスカー・デラホーヤ(アメリカ)、ビタリ・クリチコと兄弟世界王者になったウラジミール・クリチコ(ウクライナ) とそうそうたる面々だ。
今後はアフマダリエフ、ボール、中谷潤人?
井上は9月のアフマダリエフ戦をクリアすれば、4本のベルトを持ったまま、年内にもサウジアラビアで5階級制覇を懸けてWBAフェザー級王者ニック・ボール(イギリス)に挑戦。さらに来年にはスーパーバンタム級に戻し、東京ドームでWBCバンタム級王者・中谷潤人(M.T)の挑戦を受けるというプランが報じられている。
もちろん、全て勝つことが前提の予定なのだが、それをいとも簡単に実現してみせるのが、モンスターが本場ラスベガスでも認められる理由だろう。
T-モバイルアリーナでメインを張る日本人ボクサーが今後現れるだろうか。おそらく100年後も伝説として語り継がれる最強ボクサーをリアルタイムで見られる喜びを、今後の全ての試合でかみしめていきたい。
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記事:SPAIA編集部