「失望」の感情表現がフラグになる理由とは?【プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑】
NO.24 失望【しつぼう】[英:Disappointment]
【意味】
期待が外れて落胆する気持ち。将来の望みを持てなくなること。
【類語】
絶望 失意 喪失 悲嘆 悲観 打ちひしがれる 意気消沈 茫然自失など
体(フィジカル)の反応
涙をこらえる涙を流す青ざめた表情虚ろなまなざし身動きがとれなくなる口が開いたままになるその場に崩れ落ちる足元がふらつく背中を小さく丸める手で顔を覆う唇を噛む吐き気を催す拳で壁や地面を叩く自分の存在を卑下することをいう大量のアルコールを摂取する何度もため息をつく胃が締めつけられる鼓動が激しくなる
心(メンタル)の反応
すべての物事に価値がないと感じる時間の感覚がなくなる喉が締めつけられる感覚体が重たく感じる後悔の念にさいなまれる自分は孤独だと思い込む頭の整理がつかず呆然とする集中力が低下するまわりの視線を気にしなくなる自己否定ばかり繰り返す他人を信じられなくなる未来に希望が持てなくなる
誰もが経験する「失望」は応援する気持ちを呼び起こす
意気消沈してしまう「失望」。できれば味わいたくないものですが、生きている以上避けて通れません。
「期待」で、〝物語の主人公には失望と絶望を与えましょう〟と書きました。ここでは「失望」について詳しく解説します。「失望」の度合いには個人差があるものの、「失望」する一瞬は将来への望みが断ち切られます。そうした一寸先は闇状態に主人公を置けば、読者は自身に重ね合わせ、なにがしかの共感を覚えます。誰もが経験する「失望」だからこそ、応援したくなる気持ちを呼び起こします。この心理的作用を利用しない手はありません。
一見すると日常の「失望」にはネガティブ要素しかありませんが、物語創作においては〝おいしいフラグ〟にもなり得るのです。
となれば物語で主人公に与えるのは、その時代や潮流で多くの人が辛酸を嘗める「失望」にしましょう。そうすればよりたくさんの読者に共感をもたらし、物語の掴みがOKになること請け合いです。
「失望」という心理的作用を利用し読者に応援してもらおう
【出典】『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』著:秀島迅