絶品デミグラスソースで仕上げる伝統のオムライス【喫茶サウスウィング】歴史ある富山電気ビルで愛される定番の味
富山市桜橋通りにある富山電気ビルデイング。
1936(昭和11)年に完成した伝統と格式ある建物で、当時、日本海側で3番目のホテルとして誕生しました。鉄筋コンクリート造りのオフィスビルも県内では初めてで、国の有形文化財にも登録されています。
現在はホテルとしての営業はしていませんが、オフィステナントや会議・結婚式などのバンケット会場として広く使われています。創業時に帝国ホテルの指導を仰いだ北陸屈指のレストラン&サービスも高い信頼と評価を得ていて、「電気ビル」の名で富山市内外の人から親しまれています。
富山を代表する格式高い建造物とおもてなし
いかにも重厚なタイル張りの建物の中に入ると、レトロでハイカラな雰囲気と高級感のある造りに往年の日本の財力と伝統を感じられます。
象徴的なのが、1階のエレベーター横にどっしりと構えるのが金色の郵便ポスト。
真鍮製で、約90年前の創業時以来、今でも現役で使われている年代物です。
ホテルとして営業していたため、各階に設置されているポストと中でつながっていて、郵便物がこちらに集められる仕組みになっています。電気ビルの名物として、人々から親しまれる存在です。
ちなみに、郵便物が落下する途中で引っかかることがたまにあるらしく、そうなったときに落とすための専用の棒が昔からあるんだとか。
ホテルの格調高い味をカジュアルに
電気ビル1Fのカフェレストラン「喫茶サウスウィング」
そんな電気ビルの中には4階にレストラン、地下にグリルと本格洋食を味わえる場所が複数ありますが、1階にあるのが「喫茶サウスウィング」。
電気ビルの格調高い味をカジュアルに味わうことができるカフェスタイルの店で、ランチが中心です(夕方以降は貸切営業のみ)。
創業当時から愛される 伝統のオムライス
その「サウスウィング」で創業当時から愛されるメニューがオムライスです。
見た目にも美しく高級感あるたたずまいで、家庭料理とは一線を画すレストランならではの風格があります。
鉄製フライパンで作るチキンライス
オムライスの中に包まれているのは、卵との相性がよく、ひと口ほおばると混ざり合いながらとろけていくチキンライス。
代々受け継がれる味で、「鉄製のフライパンでなければ、この味は出せない」と言われているんだとか。熱の通り方を計算した職人技で、ケチャップやトマトの酸味が香ばしさや甘みに変わるように絶妙なバランスで炒められています。
仕込みに2週間! こだわりのデミグラスソース
さらに、オムライスの味の決め手となるのが、デミグラスソース。
店のこだわりが詰まった味に仕上がるよう、牛すじ、鶏のダシ、香味野菜を煮込みます。その完成までに要する時間は、なんと2週間!
煮込んで、濾して、また焼いた牛すじを追加して…これを何度も繰り返すことで、旨みと深み、コクのある味になるのだそう。
手間と料理人の技を惜しみなく使い、全方位でこだわりが詰まったオムライス。
昭和の洋食を代表するメニューは、歴史や時代の流れも感じられる深みのある味わいです。
日替わりランチに復活 国産牛のビーフシチュー
日替わりランチにも力を入れています。
いろんな味を体験してもらいたいと、ハンバーグやローストビーフ、ミックスフライにハッシュドビーフと、さまざまなメニューが並びます。
最近、話題になっているのは国産牛のビーフシチュー。
かつて電気ビルの名物として親しまれていたメニューで、コロナ禍などを理由にしばらく提供されていませんでしたが、復活しました。
10時間煮込んで牛肉はトロトロに…濃厚なコクを堪能
皿の中央にゴロッと横たわるのは、国産牛のかたまり。大きなサイズですがやわらかく、口に入れた瞬間にトロンッ!とあっという間にとろけてしまいます。
こちらも2週間かけて仕込んだデミグラスソースを使い、それからさらに10時間煮込んでコクをプラスします。肉の旨みと野菜の甘みが濃厚で、ごはんとの相性も抜群です。
伝統の味を守る厨房のスタッフ
「今の味をしっかり受け継いで、将来の電気ビルレストランを背負っていってほしい」
(洋食料理長・堂田さん)
料理長の堂田さんは厨房をまとめながら、若手の育成も大切にしています。伝統あるレストランの味を受け継ぎ、これからも永く愛されるレストランになるようにと若手スタッフも志を高く持って仕事に向き合っているのだそう。
そんなシェフたちが手塩にかけて作り出す、格調高く味わい深い料理の数々。
日替わりランチのメニューやコース内容など、詳しい情報は公式サイトやSNSからチェックできます。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2025年4月15日放送
記事編集:nan-nan編集部