川崎市看護協会 「サマリー」の記載情報共有 交流会報告書が完成
継続看護の実現へ
公益社団法人川崎市看護協会(堀田彰恵会長)はこのほど、看護連携推進委員会の4年間の活動内容をまとめた報告書を作成し、市内の関係機関に配布を始めた。報告書には、療養者の病歴や、治療・看護内容などの記録をまとめた「看護サマリー」に記載してほしい情報などが集約されている。同委員会では「今後の継続看護につなげてほしい」と話している。
全国で唯一、市単独で法人格を持つ同協会。同協会看護連携推進委員会では、より安全で安心な看護ケアの提供を目指して、地域の病院、訪問看護ステーションなどの看護職同士の連携を目的に、年に一度交流会を開催している。コロナの流行期には、医療現場で対面できず、コミュニケーション不足による情報共有が課題となる中、看護サマリーの重要性に着目。交流会で2020年度から看護サマリーの在り方について、意見交換を行ってきた。
病院と在宅相互に
当初は、看護サマリーのひな型を「川崎モデル」として作成することを検討していたが、各病院や施設で使用するシステムが異なることから、統一様式は難しいと断念。ただ、病院、訪問看護ステーションのそれぞれの立場で必要な情報が異なることがわかったため、各施設のサマリーの備考欄に、記載してほしい情報をまとめた。
例えば、訪問看護ステーションから病院へは、生活の自立度や、患者本人を理解するための趣味や特技、後見人の有無など。病院から訪問看護ステーションへは、家族の情報、代理意思決定者、一部介助が必要かなどの情報が記載されている。堀田会長は「看護サマリーは、読む人が確実にわかることが重要。全ては患者さんのため。看護職同士がお互いの状況を知り、情報の受け手の側に立って記載することが大事」と話す。
報告書は、市内の病院、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、区役所、訪問診療所などに配布。また、同協会のウェブサイトにもアップされている。
堀田会長は「良い意見交換会だった。参加者が気づきを持ち帰ってくれたと思う。報告書は委員会メンバーの熱い思いも詰まっている。看護職の双方理解にもつながり、皆の気持ちが市内に広がっていくことを期待したい」と思いを語った。