損保ジャパン、猛暑下の車両調査業務で熱中症対策を強化 健康経営推進で冷却ベストを業界初導入
猛暑が年々厳しさを増す中、企業の熱中症対策が進化している。厚生労働省は6月、職場における熱中症の重篤化を防ぐため、改正労働安全衛生規則を施行し、企業に対して罰則付きで熱中症対策を義務化した。
こうした流れを受け、損害保険ジャパン(東京都新宿区)は7月29日、炎天下で事故車両調査を行う社員の安全を守るため、業界で初めて冷却デバイスを搭載した「ペルチェベスト」を導入したと発表した。従来のファン付きベストでは対応が難しかった業務上の課題に応え、健康経営の一環として労働環境改善を進める。
事故車両調査の安全確保へ 冷却デバイス搭載ベストを配備
同社は7月、立会専任社員(約350人)にペルチェベストを支給。6月施行の改正労働安全衛生規則を踏まえ、従業員の健康と安全を最優先に熱中症対策を強化した。
従来のファン付きベストでは、車両に接触して傷を付ける恐れがあるとの懸念があり、冷却効果と安全性を兼ね備えたペルチェベストの採用を決定した。体表面を直接冷却でき、送風型のベストに比べて車両間の狭いスペースでの作業に適している。
また同社では、社員の希望に応じ、保冷剤を使用し、インナーとして着用できる「アイスベスト」も選択可能とした。
損保ジャパンによると、車両調査業務に特化したペルチェベストやアイスベストの導入は業界で初めてという。
近年、企業による熱中症対策として作業着や制服に冷却機能を取り入れる動きが広がっており、ヤマト運輸やイオンネクストデリバリーはファン付きのベストや作業着を導入。矢作建設工業(愛知県名古屋市)はハーネス着用を考慮した、独自のファン付きジャケットを開発している。
損保ジャパンの施策は、こうした流れの中でも車両調査という特殊な業務に対応した新たな事例といえる。
健康管理体制を強化 夏前の健診や保健師による生活習慣アドバイスも
冷却ベストの導入に加え、同社は健康管理部門による個別管理体制を整備。基礎疾患を持つ社員への注意喚起や始業前の体調確認を徹底し、熱中症リスクの低減につなげる。
また、毎月実施する健康アンケートを基に対策品の効果を検証。2026年度からは、夏本番前(4、5月)の早期健康診断を推奨し、希望する社員には保健師が生活習慣を含めた具体的なアドバイスを行う予定だ。
詳細は同社公式リリース(PR TIMES)で確認できる。