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阪神・秋山拓巳が引退…なぜか打てない「遅球」で打者を翻弄、ファンを魅了した15年間

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秋山拓巳,ⒸSPAIA

3度の2桁勝利で通算49勝

阪神の秋山拓巳投手(33)が今季限りの現役引退を発表した。西条高から2009年ドラフト4位で入団して15年。会見では、ケガに苦しみながらもタテジマひと筋に貫いた野球人生を振り返り、涙をこぼした。

高校時代は4番でエースとして3年時に春夏連続で甲子園出場。高校通算48本塁打をマークし、「伊予ゴジラ」の異名を取るほど左の強打者としても名を馳せた。

身長188センチの大型ルーキーは、1年目の2010年にいきなりプロ初勝利を含む4勝。9月12日のヤクルト戦では無四球完封勝利を挙げるなど将来を嘱望される存在だった。

その後はケガなどもあり二軍暮らしが続いたが、2017年に12勝を挙げて復活。2020年にも11勝、2021年には10勝を挙げたが、その後は右膝の故障に泣き、再復活はならなかった。

通算成績は134試合で49勝44敗、防御率3.66。今季は二軍で17試合に登板していたが、投手層の分厚い阪神ではなかなか出番が巡ってこず、一軍登板を果たせないまま、節目の50勝にあと一つ届かなかった。

平均140キロに届かないストレート

身長188センチ、体重101キロの恵まれた体格からはイメージしにくいが、球威で押すタイプではなく、ストレートは遅い方だった。

ストレートの平均140.6キロだった2017年でも決して速い方ではなかったが、2020年には137.4キロ、2021年には137.2キロとスピードはさらに落ちていった。2021年に100イニング以上投げた投手では下表の通り、ストレートの平均球速は秋山が最も遅い。


2位以下も加藤貴之(日本ハム)、二木康太(ロッテ)、伊藤将司(阪神)、田口麗斗(ヤクルト)ら技巧派の投手がズラリと並んでいるが、その中でも秋山は屈指の“遅さ”を誇った。

球界でも屈指のコントロール

それにもかかわらず2桁勝利を挙げられたのは、抜群のコントロールがあったからだ。12勝した2017年は159.1回を投げてわずか16四球。与四球率0.90は、もちろん12球団の規定投球回に到達した投手でトップだった。

さらに同年のストライク率はマイコラス(巨人)に次いで12球団2位の68.1%。カットボール、スライダー、シュート、フォークなども駆使して的を絞らせず、コーナーいっぱいをつくからこそ遅いストレートでも打たれなかった。

ストレートの被打率は2017年が.246、2020年が.254、2021年が.234と安定していた。150キロを超える剛腕ならともかく、平均140キロに届かないストレートでこの数字は驚異的だ。

ちなみに秋山がウエスタン・リーグで挙げた白星は72。腐らず、諦めず、炎天下の鳴尾浜で腕を振り続けた男の、もう一つの勲章でもある。

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記事:SPAIA編集部

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