パリにチーズ博物館がオープン
パリには博物館がたくさんあるが、フランスの最も代表的な食べ物の一つであるチーズに特化したものはまだないと知ったら驚くかもしれない。しかし、それも過去の話になる。
そう、グッドニュースが届いたのである。ボジョレー出身で15年前にパリに移住し、チーズの専門店や製造学校を経営しているチーズ職人ピエール・ブリッソンが、伝統的なチーズ作りの工程を紹介する「チーズ博物館(Musée du Fromage)」をオープンするのだ。
開館日は2024年6月14日(金)。来館者はチーズの「情熱と驚き」やフランスの農業の歴史について学べるほか、中央展示室ではチーズ作りの実演も見られ、ワークショップに参加することも可能。さらに重要なことに、製品の試食もできる。
ブリッソンはeuronewsに「パリではワインを広めるために、すでにいろいろなことが企画されていることに気づきました。ワインと同じようにフランスで発展したチーズの存在も大きいはずです。しかし、チーズの製造工程をより深く学べる場所はありませんでした」と話している。
この博物館は(それはそれで、ありがたいことだが)小腹を空かせたパリジェンヌを養うためだけに作られたわけではない。ブリッソンの念頭にあるのは、若者だ。今、生活費に危機感を持ち、労働環境にも落胆しつつある彼らが、(チーズの生産地である)田舎に回帰するかもしれないと考えているのだ。
246種類のチーズを生産するフランスでは伝統的チーズの需要が高いが、それを生産する労働力が不足しているという。「田舎での生活はタフかもしれませんが、とても幸せな人生になるかもしれないのです。良いチーズ職人は、人生で十分な収入を得ることができますから」とフリッソンは言う。
ブリッソンはまた、博物館を訪れる人に向け「伝統的な農家と協力しているので、チーズを味わう時には、一種の旅行気分を味わってもらえたら。 私たちはパリの中心で、フランスの田舎への小さな窓を開いているのです」と語りかけた。
チーズ職人としての人生を夢見る人、あるいは真新しい施設でのんびりとチーズを味わいたい人は、この博物館をぜひ訪れてほしい。
Liv Kelly / Time Out Tokyo Editors