犬に顔を舐められるのは危ない? その4つのリスクや知っておくべき注意点を解説
犬に顔を舐められる4つのリスク
犬にとって人の顔を舐めることは、コミュニケーションのひとつです。
「嬉しい」「楽しい」「会いたかった」などの感情や「ごはんがほしい」「おやつがほしい」などの要求があるときに顔を舐めることが多いとされています。
また、人の口元のニオイの正体を確認したいときや、人の顔の塩分(汗)を好んで舐めることもあります。
可愛らしい姿ではありますが、犬に顔を舐められることには、人にも犬にもリスクがあるということを知っておかなければなりません。
ここでは、犬に顔を舐められると発生するリスクを4つ紹介します。
1.化粧品を舐め取ってしまうリスク
犬に顔を舐められると、顔につけた化粧品を犬が舐めとってしまいます。
私たちが使う化粧品には、フェノキシエタノールやステアリルアルコール、パラベン、ジイソプロパノールアミンなどといった、殺菌や保存や防腐を目的とした成分が含まれており、犬が舐めると危険なものも含まれています。
特に、エッセンシャルオイルやキシリトールは、中毒症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
2.肌が荒れるリスク
犬に顔を舐められると、肌が荒れることがあります。肌が弱い方であると、皮膚が化膿してしまうことも。
原因は、約70%の犬が口の中に所有しているとされている菌「パスツレラ菌」です。
犬に顔を舐められたあとに、少しでも痒みや痛みを感じたときは顔を洗って様子を見ましょう。
なかなか治らない、症状が悪化してきたなどの場合は「犬アレルギー」の可能性もあります。何か不安事がある場合は早めに病院で診てもらうことをおすすめします。
3.呼吸器系の疾患を悪化させるリスク
犬に顔を舐められると、呼吸器系の疾患を悪化させるおそれがあります。
これも、犬の口の中に存在する「パスツレラ菌」が原因です。
犬にとっては無害なことが多いですが、人に感染すると炎症を引き起こしたり、肺炎や気管支炎などを発症することもあります。
実際に、呼吸器系の疾患を持った飼い主が犬に口元を舐められたことにより症状が悪化し、亡くなったというケースが報告されています。
呼吸器系の疾患を持つ方や高齢者、小さい子どもなど免疫が低い方は十分に注意してください。
4.「人獣共通感染症」を発症するリスク
「人獣共通感染症」という言葉を聞いたことがありますか?
人獣共通感染症とは、動物と人間が同じウイルスによって感染する病気のことです。感染すると、炎症や肺炎などの疾患につながるおそれがあります。
咳の症状が出てきた場合は特に危険です。呼吸が苦しくなり、重症化すると呼吸困難や死に至る可能性もあるため、すみやかに病院を受診しましょう。
犬が顔を舐めてきたときの対処法
犬に顔を舐められたとき、人がはしゃいだり騒いだりすると、犬はもっと舐めようとします。だからと言って、拒否や無視をする必要はありません。
舐められないように、その場に立ち上がりましょう。「おしまい」と声をかけても良いですね。
顔だけではなく、手を舐められたときも同じリスクがあるため、手洗いをしっかり行ってください。
あまりにもしつこく舐めようとするときは、優しく低めの声で「いけない」「ダメ」と一言だけ声をかけて立ち去ったり、おもちゃやおやつで気をそらしてあげましょう。
まとめ
犬に顔を舐められるリスクを4つ解説しました。
✔化粧品を舐め取ってしまうリスク
✔肌が荒れるリスク
✔呼吸器系の疾患を悪化させるリスク
✔「人獣共通感染症」を発症するリスク
犬にとって顔を舐めるという行為は、愛情表現やコミュニケーションにあたります。
筆者のポメラニアンも顔や手をよく舐めてきます。嬉しそうな笑顔で舐めてくるので、可愛いですし、拒否なんてできません。
スキンケア化粧品や日焼け止めを使わないわけにはいかないため、顔を舐められないように椅子に座る、手には保湿用の手袋をするなど対策を取っています。
みなさんがやっている「これいいよ!」という対策があれば、ぜひコメントでシェアしてくださいね!
(獣医師監修:寺脇寛子)