17歳店主の挑戦! 旭川駅前に話題の「わたあめ店」が誕生(旭川市)
北海道旭川市にある、わたあめ店『ANELA SHEEP CANDY(アネラ シープ キャンディ)』が、2025年3月にオープンしました。店頭に立つのは、とても若い女性。実は彼女こそ、このお店のオーナーです。
現役高校生にして起業、夢を叶えた17歳の店主に、お話を伺いました。
旭川市の「原宿」!? カラフルでキュートなお店
『ANELA SHEEP CANDY(アネラ シープ キャンディ)』は、扉を開ける前からワクワクしてしまう、とってもかわいいお店です。
場所は、旭川駅前にある『駅前ビル』の1階。旭川市にはこれまでなかった雰囲気にしたいという思いから、テーマに選んだのは“原宿”! ピンクベースのパステルカラーで、明るい雰囲気をまとっています。
この立地は、旭川駅周辺でテナントを探していた彼女にとって、ピッタリな条件! しかし、実はこの場所はテナント募集はしていなかったそう。各所に問い合わせて家主へとたどり着き、「どうしてもこの場所がいい」と熱望し手に入れたテナントです。
夢のかたちは「わたあめ」だった
ブーケキャンディ(1,800円)
画像:北海道Likers
旭川市では、現役高校生は食品衛生責任者の資格を取ることができません。どうしたらお店を開けるのかといろいろ調べていくなかで、彼女が辿り着いたのが『わたあめ』でした。
『ANELA SHEEP CANDY』では、さまざまな形でわたあめを楽しんでもらえるよう、その場ですぐに食べられる『ノーマルわたあめ』(330円)や『カップわたあめ』(440円)のほか、珍しい『ブーケキャンディ』(1,800円)があります。
「わたあめは生活必需品ではありませんし、頻繁に食べたいと思うものでもありません。だからこそ、どうしたら長く愛される存在になれるだろう?と考えたんです。実用的で日持ちがして、なおかつユニークなものがいい。そうして誕生したのが、“ブーケキャンディー”でした。」
筆者も実食してみると、ピンク色はいちご味でした。ふわっと溶けて一瞬でなくなってしまうのですが、甘いいちごの後味が幸せ気分にしてくれます。
わたあめは、いちご・メロン・ぶどう・チョコ・杏仁豆腐・プレーンの6つの味、そして5色のカラーバリエーションから選べます。『ブーケキャンディ』なら、そのすべての味を一度に楽しむことができます。
ちなみに1番人気は、白色の杏仁豆腐だそう。ふわふわのわたあめを花束のように束ねた『ブーケキャンディ』は、見た目も華やかで新鮮。花瓶いらずなので、ギフトにもぴったりです。
さらに、上半身ほどのサイズがある『フラワーバスケット』という商品もあるのだそう。
「オープン当初はなかった商品なんです。でも、開店祝いにいただいたお花がとっても綺麗で、私もこんなものを作ってみたいな、と思ったのがきっかけでした」
『フラワーバスケット』は、小が3,300円から、大が4,400円からで1日前までの事前予約が必要です。また、予算に合わせて作ることもできます。
カップわたあめは、+50円でレインボーに
画像:北海道Likers
淡い5色のわたあめは、カラフルな店内でも目を引きます。
カップに貼ってあるロゴシールには、日本語だけでなく英語やハングルなど、さまざまな国の言語で“わたあめ”と書いてあります。
「小学生の頃、母に連れて行ってもらったハワイで、英語ばかりの慣れない環境の中、日本語を見つけたとき、とても嬉しくなりました。その気持ちを観光客にも日本で味わってほしいと思ったのです。」
わたあめは子供や若い人だけでなく、ご年配の方にも好評だそう。「老人ホームの訪問などで大量に買っていかれる方もいます。誤嚥性肺炎が心配で甘いものが食べられない方に、喜ばれるみたいです」
起業のきっかけと原動力
もともと商品開発や経営に興味があり、「こんなものがあったらいいよね」といったアイデアを、お母さまと日常的に話し合っていたそうです。そんな日々の会話が、具体的な形になり始めたのは約1年前のことでした。
「子どもの頃から体が弱く、やりたいことが制限されることもありました。でも、“やりたい”と思ったことは、諦めたくないんです。」と彼女は話します。
とはいえ、まだ高校生。お店を始めるうえで考えられるリスクもしっかり理解したうえで、「それでもやってみたい。資金はすべて自分で用意する」と強く決意。その意思を受けて、お母さまも反対することはなかったといいます。
今でこそ、類まれな行動力の持ち主として周囲を驚かせる彼女ですが、中学生まではむしろ内向的で、行動的なタイプではなかったそうです。
「高校に入ってからいじめに遭って、すごく悔しかったんです。自分はこんなにふわふわしていて、このままでいいのかなって……。」と当時を振り返り、自分を奮い立たせたと語ります。
「大人になれば視野が広がると言われますが、学校で起きることは社会に出ても繰り返されるかもしれません。だからこそ、今のうちにやりたいことに全力で挑戦したいと思いました。そこで成功できれば嬉しいですし、失敗しても次があります。自分のレールは自分で引いて、行きたい場所に行けるように、今から準備しておきたいと思ったんです。」
「どうしても入りたくて選んだ高校でしたが、当時は精神的にボロボロでした。誰かと一緒にいなきゃ、という脅迫観念に駆られていて……。母に相談したんです。すると、“じゃあ、学校やめる?”と言ってくれて。その3日後に退学しました。」
現在、彼女は別の高校に転校して学びを続けています。
「自分を潰してまで続けるより、いったんリセットして、また頑張った方がずっと効率的だと思ったんです。」
そう考えられるようになったのは、当時働いていたアルバイト先での出会いが大きかったといいます。
「店長のことを本当に尊敬していますし、感謝もしています。学校のこともずっと相談に乗ってくれて、支えてもらいました。そのバイト先には、北海道外から他の社員が応援に来ることも多く、いろんな方と関わるうちに、自然と視野が広がったんです。運が良かったと思っています。」
試行錯誤したお店づくり
画像:北海道Likers
入口にはもともと壁がなく、壁や扉も自作されたそう
「自分で貯めたアルバイト代だけでまかなう」と宣言したお店づくり。
限りある予算のため、ホームセンターで木材などを購入し、床や壁、扉も自作。ネット通販やリサイクルショップも駆使し、安価で可愛いものを集めたそうです。
「ダンボールを切って箱をつくり、お店のシミュレーションをしました。折り紙を貼ったり、お菓子のパッケージを見たりして、“このピンクがいい!”と切り貼りし、夜遅くまで母と話し合ったりしました。」
画像:ANELA SHEEP CANDY
内装イメージを膨らませたのだそう
カウンターに使用したFRP(繊維強化プラスチック)は、趣味のジェットスキーから着想を得たそう。
「FRPは防水性があって、軽くて丈夫、安価なんです。ガラスマットを敷いて型取りし、FRPを塗って固めて、研磨して色塗りしています。」
お母さまに手伝ってもらってのお店づくり。完成したのは、オープン当日の深夜2時だったそうです。
「もう本当にギリギリで。学校の試験やイベントがある中だったので、感動よりも“良かった、間に合った!”って気持ちでした。」と笑います。
今後は、新シリーズも開発予定だとか。ぜひ、旭川市の注目店に足を運んでみてください。
詳細情報
ANELA SHEEP CANDY
住所:北海道旭川市宮下通7-3897 駅前ビル 1階
電話番号:070−9166−5775
営業時間:【月曜〜金曜】10:00〜16:00【日曜・祝日】11:00〜18:00
定休日:土曜日・その他不定休
駐車場:なし
北海道Likersライターのひとこと
17歳とは思えないほどの発想力と行動力に脱帽!
そんな彼女は講師業にも興味があり、まもなくマナー講師の資格取得を予定されているそうです。今後も目が離せません。
取材・文/佐藤絵理
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