カフェやキッチンカーも…都市公園が進化 注目の「PFI」は札幌・大通公園でも検討
市民の『憩いの場』、都市公園が大きく進化するかもしれません。
四季折々の植物が楽しめる、札幌の百合が原公園に、この秋、新たな施設が開業します。
そのキーワードは「パークPFI」。
民間と行政が、公園の利便性や魅力アップをともに目指す取り組みです。
パークPFIで都市公園はどのように変化するのでしょうか。
連載「じぶんごとニュース」
「どんぐり」とのコラボも
百合が原公園で建設が進む、その名も『LiLiLi(リリリ)』。
カフェでは、札幌のパン店『どんぐり』とコラボしたここだけのパンや、コーヒー、ジェラートなどを販売します。
さらに小中学生が放課後に立ち寄れるスペースを設けるほか、近くの高等支援学校と連携協定を結び、生徒がカフェの接客や配膳を担うことで就労支援につなげます。
ユリガハラ・パーク・フューチャーラボの林匡宏代表は「ここは飲食・物販もあるが、いろいろな世代が学べる施設も併設している。『何かやってみたい』などいろいろなチャレンジをできる場にしていきたい」と話します。
イベント、菜園、キッチンカーも
この『リリリ』の建設にあたり、札幌市が初めて導入したのが『公募設置管理制度』=『パークPFI』です。
『パークPFI』とは、自治体が公募で選んだ『民間事業者』に公園の土地を有償で貸し出して、飲食店などを出店してもらい、その収益の一部を公園の整備に充てる仕組みです。
名古屋の『Hisaya-odori Park』など、全国180か所以上で活用されています。
百合が原公園は開園から40年以上が経ち、施設の老朽化や駐車場不足などの課題を抱えていました。
市では今回の『パークPFI』の整備エリアを含む地域を『ウェルカムゾーン』と位置づけ、駐車場の増設など、新たな賑わい創出を目指します。
『リリリ』は10月上旬にオープン予定で、イベントスペースや菜園、キッチンカーなどが停められる駐車場もあわせて整備されるということです。
一方、道内でいち早く『パークPFI』の活用を始めたのが、恵庭市です。
スタバやホテルオープンで1.5倍に
国道36号線沿いの『花の拠点はなふる』。
2021年にスターバックスコーヒー、その翌年には外資系のホテルが開業し、公園の利用者は1.5倍に伸びました。
ホテルを整備する時には、企業側の収益を基に一緒に集会所を建てました。
「恵庭のオープンガーデンを模擬体験できる施設を整備して下さいというのが市の要求で、それに事業者が応えて、建物と庭を整備してもらったという流れ」と担当者が教えてくれました。
今後も広がる?
『パークPFI』の事業者選定にも携わる富山大学都市デザイン学部の久保田善明教授は、こうした事例は今後も広がっていくと話します。
その理由は、施設の老朽化。
公園の魅力そのものも低下しているところで再整備をしたいとなったとき、課題になるのが「財源」です。
「その財源を、民間の資金を使って賄うことができるのであれば、行政にとってもいいこと。それぞれの公園の個性を生かしながら、どんな事業が可能かというのを、あらかじめ行政のほうでも想定しておく必要がある」
百合が原公園の「リリリ」ですが、札幌市が2023年に公募し、パン店の「どんぐり」や丸美珈琲などでつくる会社「ユリガハラ・パーク・フューチャーラボ」が選ばれました。
いまも月1回、今後どんな公園にしたいか、地域住民とワークショップを開いているということです。
今後は「大通公園」も
◆自治体側
・民間ノウハウの導入
・整備や維持管理コスト削減
◆事業者側
・競合他社のない環境で来園者を独占できる
◆注意点
・公益性と採算性のバランスがとれるか
・地域ニーズに即した事業内容か
この『パークPFI』は、札幌の大通公園の再整備にも活用が検討されているので、今後も注目されています。
連載「じぶんごとニュース」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年6月12日)の情報に基づきます。