富士山周辺で養殖されている<ブランド鱒>3選 身が白い「ホワイト富士山サーモン」?
マス類というと海外産のイメージが強いですが、日本でも各所でニジマスの養殖が行われています。
特に、静岡県と山梨県は国内でも屈指のニジマスの生産地であることを知っていますか。
静岡県は日本屈指のニジマスの生産地
駿河湾を保有する静岡県は海の幸が豊富に獲れ、サクラエビや深海魚は全国的に有名です。
しかし、静岡県が誇る水産物は海の幸だけではありません。
富士山の湧水が豊富な富士宮市はニジマスの養殖が盛んな地域であり、昭和8年には猪之頭に静岡県水産試験場・富士養鱒場(ふじようそんじょう)が開設されています。
翌年の昭和9年には淀師に民間初となる養鱒場が誕生しました。
さらには、平成21年にニジマスが富士宮市の「市の魚」に制定されるなど、ニジマスは同市に欠かせない魚となっています。
ブランドマス<富士山サーモン>
「富士山サーモン」は富士山サーモン株式会社(2023年6月1日より柿島養鱒株式会社から社名変更)が手掛ける養殖のブランドマス。
バナジウム水で有名な猪之頭湧水、芝川上流をはじめとする富士箱根伊豆エリアにある4つの拠点(富士宮の芝川、富士宮の大倉川、函南、天城山麓)で養殖されています。
「富士山サーモン」は環境に負荷をかけない技術で養殖された高品質ブランドマスで、アスタキサンチン由来の美しい色と深い甘みが特徴。アニサキスの心配がないことから生食することが可能で、刺身はもちろんのこと蒸しても揚げても大変美味だそうです。
また、サーモンといえば身色が赤いイメージですが、富士山サーモン株式会社では大変珍しい身が白い鱒「ホワイト富士山サーモン」も手掛けています。
「ホワイト富士山サーモン」も「富士山サーモン」と同様に生食が可能。また、1年間育てた300グラム前後の個体を販売しており、ちょうど良いサイズのため、様々な料理に活用することができます。
静岡県のプライドフィッシュ<紅富士>
静岡県富士宮市では富士山サーモンの他にブランドマスが養殖されています。
静岡県のプライドフィッシュにも選定されている「紅富士(あかふじ)」は、富士養鱒漁業協同組合が手掛ける高品質な養殖ニジマスです。
紅富士の特徴は名前の由来の1つにもなっている鮮やかな身の色で、サーモンカラーチャートが25以上のもののみ紅富士として出荷されています。
さらに、「紅富士」は富士山の湧水で2~3年間かけ、2キロ以上の特大サイズまで生育。未成熟のまま産卵せずに育成するため、身はきめ細かく、上品な脂を楽しむことが可能です。
この紅富士はプライドフィッシュだけではなく「しずおか食セレクション」にも認定されているほか、「しずおか農林水産物認証」を取得し高い評価を誇ります。
山梨の名水で育てる<富士の介>
静岡県に次いでニジマスの養殖が盛んな地域が山梨県。富士山、南アルプスがそびえ立つ山梨県は面積の大部分が森林であり、日本でも屈指のミネラルウォーターの生産量を誇ります。
山梨県ではこの「名水」を使いブランドマスの養殖を行っており、中でもキングサーモンとニジマスを交配した「富士の介」は日本で唯一、キングサーモンの血を引く異種間交配魚です。
このブランドサーモンは養殖に適したニジマスと、味に定評はあるものの育てにくいキングサーモンを交配した魚で、養殖のしやすさと肉質の良さ、希少性が特徴です。
「富士の介」の名前はキングサーモンの和名であるマスノスケと富士山に由来し、3163点の応募から選ばれたといいます。
富士山が育むブランドマスたち
このように静岡県と山梨県ではニジマスの養殖が盛んにおこなわれており、それぞれに拘りと強みがあります。
また、今回紹介したブランドマスはいずれも名前に「富士」が使用されており、それぞれの地域で富士山が親しまれていることがうかがえます。
清らかな湧水が育むブランドマスをぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。
(サカナト編集部)