袴田さん無罪判決 それでも冤罪が起きる可能性とは
寺島尚正アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『おはよう寺ちゃん』(文化放送・月曜日~金曜日 午前5時00分~9時00分)が9月27日に放送。金曜コメンテーターで郵便学者の内藤陽介氏と、袴田事件について意見を交わした。
寺島アナ「1966年に起きた静岡県一家4人殺害事件の再審判決で、静岡地裁は強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さんに無罪を言い渡しました。 裁判長は犯行着衣とされた「5点の衣類」など3つの証拠について「捜査機関によって捏造された」と認定しました。再審公判では、事件の1年2ヶ月後に現場近くの味噌タンクから発見され、赤みのある血痕がついていた「5点の衣類」の評価が最大の争点でした。判決は、検察、弁護側双方が行った血痕の味噌漬け実験結果や専門家の証言を踏まえて「タンク内で一年以上味噌漬されれば血痕は赤みを失う」と指摘。発見の1年前に身柄を拘束されていた袴田さん以外の人物がタンクに入れたとして、「5点の衣類は犯行着衣ではない」と判断しました。検察側は通常の刑事裁判と同様に再審無罪判決に対しても控訴はできます。過去4件の再審では控訴せずに無罪が確定していて、検察側の対応が注目されます。裁判長は判決を言い渡すと、「拘禁症」の袴田さんに代わって出廷した姉のひで子さんに「ここまで長い時間がかかり、申し訳ない」と謝罪しました。この袴田事件の無罪判決について、内藤さんはどうご覧になってますか?」
内藤「本当に酷い話で、私自身は67年の1月生まれですけど学年は66年なんですよ。私と同級生たちが産まれてからずっと(時間がかかった)ということでしょ」
寺島「そうですよね」
内藤「この袴田事件には関わっていないんですが、実は静岡県には紅林麻雄という「拷問王」、「冤罪王」と言われた刑事がいて、そいつが犯行をでっちあげて、むちゃくちゃなことやって、冤罪事件を連発したわけです。例えば、1948年の幸浦事件。これは強盗殺人なんですけど、これも死刑判決が出た後、無罪になっています。他にも二俣事件、小島事件、島田事件…。紅林は63年に亡くなっているんですが、その子分たちというか、弟子たちが同じようなことをやったんですね。だから亡くなった後も続いたという、とんでもない話なんです。もちろん人は、真面目にやった結果、誤っていたということはあるから、それはそれでやむを得ないんですが、明らかなことについてはきちんと処罰しないといけない。こういう構造は、刑事裁判についてはだいぶ改善されたといっても、まだこういう冤罪が起きる可能性はあるわけです。例えば性犯罪関係ですよね。もちろん性犯罪は許せないんですよ。犯人はちゃんと捕まえなきゃいけないんですが、被害者とされる女性の証言を鵜呑みにして、無実の人たちが例えば痴漢冤罪とか、そういう形で苦しんでいる。例えば記憶に新しいところだと草津町長の事件ですよ」
寺島「ありましたね」
〈出典〉
死刑確定の袴田巌さんに再審無罪、「5点の衣類」含む証拠を「捏造」認定…裁判長は判決後に謝罪 : 読売新聞