愛弟子のせい?80歳まで生きた釈迦が死を選んだ理由とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 仏教】
釈迦が死んだのは、なぜ?
成道してから45年、80歳となった釈迦は肉体の衰えに悩まされていました。釈迦は常に身近にあって数々の説法を聞いてきた愛弟子のアーナンダ(阿難)に、「自分の体は古びて革紐で補修した荷車みたいなものだ」と語っています。さらに病も釈迦を苦しめます〈*〉が、各地の信者に教えを説くため旅に出ます。とある霊樹まで来たところで、釈迦はアーナンダに説きました。
「修行を完成させ悟りに至った者は、寿命を延ばしてこの世に留まることができる」 釈迦は 3 度同じことを説いたのですが、釈迦の病状が好転して元気を回復していたことに安心してボーッとしていたアーナンダは、釈迦の意をくんで 「人々のためにもう少しこの世に留まってください」と頼むことができませんでした。そこで釈迦は3か月後に涅槃に入ることを決意します。
実は釈迦は悟りを開いた時に、自分が悟った教えはあまりに深遠で難解であるため一般人は理解できないだろうと考え、布教はせずに涅槃に入ってしまおうと考えていました。涅槃とは完全な悟りの境地のことで、煩悩の元となる肉体を捨て去ることを意味することもあります。すなわち、肉体の面からいうと死です。しかし、教えが失われることを惜しんだ神々の王・梵
天が、釈迦にこの世に残って布教をすることを望んだと伝えられます。肉体の老いに直面した釈迦は、今度こそ涅槃に
入ることを決めたのです。ようやく自分のミスに気づいたアーナンダは、釈迦にこの世に留まるよう願いますが、釈迦は「生存し、存在したもので、破壊されないものはない」と諭したのです。