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糸川耀士郎、舞台デビューから10年を記念して1人音楽劇『夜啼鳥』を上演 意気込みを語った取材会の模様が公開

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糸川耀士郎

2025年5月14日(水)~5月18日(日)Mixalive TOKYO 6F Theater Mixaにて、糸川耀士郎 俳優10周年記念1人音楽劇『夜啼鳥』が上演される。この度、取材会の模様が公開された。

糸川耀士郎は、2015年4月に劇団番町ボーイズ☆第1回本公演『MY DOOR ~熱~』で初舞台に立って以来、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズへの出演、歌絵巻「ヒカルの碁」序の一手で主演を務めるなど数々の人気作に出演しているほか、近年ではミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』でグランドミュージカルにも出演。今回、舞台デビューから10年を記念して1人音楽劇に挑戦する。

【あらすじ】
「果てのない渇望…これぞ芸術」
16歳の若さで皇帝の座につきながら
なお満たされることのない青年がいた。
ローマ帝国・第五代皇帝、ネロ。
愛も、友情も、平和も、忠誠も、
何ひとつ彼の心を動かしはしなかった。
彼がこの世界で唯一信じたもの。それは「芸術」。
美しきものを追い求め、狂気の宴へと身を投じる。
運命に弄ばれた暴君の、密やかな一夜が幕を開ける——。

≫糸川耀士郎 取材会の模様


俳優・糸川耀士郎が俳優生活10周年を迎えた。記念すべきメモリアルイヤーに上演するのが、糸川耀士郎 俳優10周年記念 1人音楽劇『夜啼鳥』だ。

自ら企画・プロデュースを務め、脚本・演出に舞台『黒子のバスケ』の中屋敷法仁、音楽監督にミュージカル『刀剣乱舞』のYOSHIZUMIという親交の深いクリエイターを招聘。暴君の逸話が残る第5代ローマ皇帝ネロを題材に、既存の糸川耀士郎像を破壊する、新たな姿を打ち立てる。

自ら「この演劇を乗り越えられないなら役者として終わる」と語る難題に、なぜ挑むことを決めたのか。その心境を語ってもらった。

より難しいものがやりたくて、1人音楽劇を選んだ

ーーまずは俳優生活10周年を迎えた今の気持ちからお聞かせください。

この10年、すごく濃かったので、まだ10年なのかという気持ちも正直あります。20代の頃は30代を迎えるのが不安だったんですよ。でも、いざ30代になってみたら、この先の10年が楽しみに思えて。きっとそれはすごくいい10年を過ごせたからかな、と思っています。

糸川耀士郎

ーーそんなアニバーサリーイヤーに、1人音楽劇という企画に挑戦しようと思った経緯をお話しいただけますか。

バースデーイベントだったりファンミーティングだったり、年に1回はファンの方々に感謝の思いを伝える場を設けさせていただいていたんですけど、やっぱり10周年ということで、役者として自分を表現できるものがやりたいなとスタッフさんと話をしていました。その中で出てきたのが、1人芝居という企画で。以前一度やったことがあったので、次にまた1人芝居をやるなら今度はミュージカルにしたいなと。最近いろんな役者さんが1人芝居に挑戦されていますけど、1人でミュージカル、それもオリジナル作品をつくるとなったら、あまり多くない。どうせやるなら、よりステップを上げて、難しいものがやりたいということで、1人音楽劇に挑戦することになりました。

ーー糸川さんのこの10年の歩みを見ても、ミュージカルの存在はすごく大きなものではないかと思っています。

本当にそうで。もともと歌うのが好きだったのもあって、ミュージカルというジャンルは自分に合っているんじゃないかというのは、自分でも実感しています。ただ、やっぱり既存のミュージカル作品って制限もたくさんあって。もっと自分たちがやる意味を深掘りしたいと思っても、なかなか難しくて、壁に直面することが何度かありました。

だからこそ、僕のように役者をやっている人間が能動的にアクションを起こしてオリジナル作品をつくることで、同じような葛藤を抱えている仲間たちに「もっと自由にクリエイトしていいんじゃない?」というメッセージを届けられたらと思っています。

ーーその創作のパートナーとして、脚本・演出に中屋敷法仁さんを迎えた理由を教えてください。

やしきさん(中屋敷)とは舞台「黒子のバスケ」でご一緒して、「演劇ドラフトグランプリ2023」でも同じチームを組ませていただきました。自分の10年を振り返ったとき、節目の一つとなったのが「くろステ」。2.5次元舞台に対して、演劇そのものに対して深く見つめ直すきっかけになった作品でした。大切な思い出を一緒に過ごしたやしきさんだからこそ、また一緒に作品をつくりたいなと思ったのが大きな理由の一つです。

あともう一つ理由があって。やしきさんは僕と真反対の人なんです。僕はいろんなことに対して頭で考えるというか、ロジックを大切にするタイプなんですけど、やしきさんは直感型。(中屋敷が主宰を務める)柿喰う客のお芝居を観ていても、やしきさんにしかつくれない世界観があるなと思っていて。そんなふうに自分とまったく違うタイプの方と作品をつくることで、僕自身もまたいろんなことを感じられるんじゃないかなと思ってお声掛けさせていただきました。

キービジュアルに負けない作品をつくりたい

ーー本作の題材は、古代ローマ帝国の皇帝ネロです。

題材に関しては、マネージャーも含めて、いろいろと話をしました。僕としては、リアルな日常ものというよりは、もっと非日常かつ劇的なものをやりたいと考えていて。その中で浮かんできたのが、古代ローマという設定でした。僕は勉強不足で、今回の企画に携わるまでローマ帝国のことはほとんど知らなかったんですけど、調べれば調べるほど面白くて。あの時代って今じゃ考えられないような倫理観で、ドラマティックなエピソードがたくさん残されているんですよ。

ドラマを感じられそうな人物をピックアップしていって、その中の一人がネロでした。しかも、やしきさんが大学で世界史を専攻されていたそうで。僕たちのやりたいことができて、やしきさんもイマジネーションが膨らみやすいんじゃないかということで、ネロに決まりました。

ーーキービジュアルがすでに発表されていますが、かなりインパクトのあるものになっています。

キービジュアルに関しては、ネロが裸に毛皮を着て奴隷を襲って楽しんでいたという逸話が残っているらしくて。そこからやしきさんが提案してくださいました。

ーービジュアル撮影のときはどんな気持ちでしたか。

衣装もメイクも含めて、本当にいい世界観で撮らせてもらったので、このビジュアルに負けない作品をつくらなくちゃなって身が引き締まりました。作品の出だしを飾るという意味では、最高にクリエイティブな時間だったと思います。

ーー結構パンプアップもされたんですか。

実はちょっと美しい体をつくってみたくて、筋トレを頑張っていた時期があったんです。でも、仕事をしながら自分を追い込むのがキツくて、中途半端な形で終わっていたんですね。そんな逃げがちな自分を変えようと今年に入ってから筋トレを頑張っていたので、ちょうど良かったです。たぶん1年前の僕だったら、急遽こういう撮影になりますって言われたら、ふざけるなよってなっていたと思います(笑)。

糸川耀士郎

ーーじゃあ、今年から密かに体を鍛えてらっしゃったんですね。

そうですね。新しい糸川耀士郎をつくろうと。

ーーてっきり今年はひたすらタイプロ(timelesz project -AUDITION-)にハマっているばかりだと思っていました(笑)。

タイプロも僕のケツを叩いてくれる要素の一つです(笑)。甘えそうになったら、若い子たちのギラギラを見て、自分も頑張らなきゃって刺激をもらっていました。

お祝いに来たファンのみなさんをいい意味で裏切りたい

ーー音楽監督は、過去に何度も作品を一緒につくられているYOSHIZUMIさんです。YOSHIZUMIさんにオファーした理由も教えていただけますか。

もともとご自身も役者をやられていたのもあって、YOSHIZUMIさんは役者の気持ちに寄り添って音楽をつくってくださる方。稽古をしていても、「今の芝居の流れだと、ちょっとやりづらいかもしれないから、ここの音楽を変えるね」と柔軟に対応してくださるんです。きっと今回も稽古をしていく中で、いろんなこだわりが芽生えてくると思っていて。そんなときにYOSHIZUMIさんが相手なら、いい意味でいちばん文句が言いやすい(笑)。いちばん信頼できる音楽監督さんにお願いしたいなと思って、真っ先に浮かんだのがYOSHIZUMIさんでした。

ーー音楽に関して、YOSHIZUMIさんとどんなことを話しましたか。

これまで僕はピュアなキャラクターや陽のキャラクターを演じさせていただくことが多くて。そうした役ももちろん勉強になりますし、そっちのベクトルを広げてきたこの何年間だったと思うんですけど、同時に真反対の性格やバックボーンを持ったキャラクターも演じていかないとダメだなという課題感を持っていました。ただ、役との出会いは運やタイミングもあって、自分でもっとこういう役を深掘りしていきたいと考えていても、巡り合えない場合も多い。だったら、オファーを待つんじゃなく、自分からチャンスをつくっていこうと思ったのも、今回の1人音楽劇をやるきっかけの一つでした。

YOSHIZUMIさんにも、もっと闇が深くてダークなお芝居をやりたいし、そういう歌に出会いたいという話をしたので、今回はそんな陰の要素を落とし込んだ音楽を歌えたらなと思っています。

ーーお話を聞いていると、今回の『夜啼鳥』は俳優・糸川耀士郎の新境地を切り開く公演なんですね。

本当にそう思っています。ファンのみなさまは10周年おめでとうという晴れやかな気持ちで来てくださると思うんですけど、いい意味でそれを裏切りたいなと。このキービジュアルが出た段階で、「そういう世界観か」という一つ目の裏切りがあったかもしれませんが、本番ではもっともっと裏切っていきたいです。

ーーもちろんファンのみなさんには絶対観ていただきたい作品だと思いますが、それ以外でこの10年で出会ったこういう人たちに観てほしいという思いはありますか。

やっぱり一緒に切磋琢磨してきた仲間たちですね。以前、「逃げろ、逃げるな。」という作品で脚本・演出を務めさせていただいたときに感じたことなんですけど、当時はまだ28歳で、その年齢で脚本・演出という領域に踏み込むことは、ものすごく勇気がいったんですね。これだけたくさんの有名な作家さん、演出家さんがいる中で、自分が脚本・演出をする意味があるのだろうかと自問自答しました。でもちゃんとそこに意味を見出せたと思うし、等身大の自分が伝えたいメッセージを提示できた気がして。勇気のいる一歩でしたけど、あの一歩は僕の中で相当大きかったです。

あれ以来、チャレンジすることが怖くなくなったんですよ。だってあれを乗り越えたし、という自信ができた。今回も1人音楽劇なんて絶対大変だろうと思う。きっと他の人からしたら「よくそんなことするね」みたいな感覚かもしれない。だけど、僕はワクワクする気持ちのほうが大きいので、同じ役者のみんなに観てもらって「負けてられないな」と思ってもらいたいし、「みんなでもっとクリエイティブにいこうよ!」という気持ちを伝えたい。僕自身、すごい役者さんのお芝居やクリエイターの作品を観ると、「やられた!」ってなるんですけど、そんなふうに思ってもらえるように自分も頑張りたいと思います。

糸川耀士郎


いつかこの作品を観返したときに恥ずかしいと思えたら

ーー改めてこの10年について伺わせてください。10年前の自分はどんな自分でしたか。

本当に不思議だなと思います。まだ10年前の僕は演劇のことを何も知らなくて。そんな自分が今ここまで演劇にどっぷりハマって人生を懸けている。でもそれが演劇の魅力だと思うんですよ。人の人生を大きく変えるパワーが演劇にはある。

きっと演劇をまだ知らない方が、一度でも劇場に足を運んで舞台を観てみたら、演劇ってこんなに素敵なんだって感動すると思うし、劇場に行くのって敷居が高いと思っていたけど、1回ハマったらこんなにやめられなくなるんだってなると思う。演劇がそれだけの可能性を秘めたコンテンツであることを僕は発信していきたいし、特に僕の地元である島根では演劇を観たことがない方が多いと思うので、そういう人たちにもっと演劇をプレゼンして、沼に引きずり込みたいなという気持ちがあります。

ーーそれだけ糸川さんが演劇に心酔するのは、舞台に何があるからでしょうか。

今、Netflixとか新たなプラットフォームが台頭して、映像の世界もどんどん可能性が広がっていて、そういうのを見て、僕もすごくワクワクするんですけど。同じくらい演劇にもまだまだ未知の世界があって、ここからどう進化していくんだろうというワクワクがあるんですよね。

舞台の魅力は、目の前に役者がいること。この魅力は、どれだけ時代が変わっても消えないと思います。だって、やっぱりみんな役者をそばで感じたいじゃないですか。アナログな世界と思われるかもしれないけど、人は最終的に生(なま)に魅力を感じるものだと信じているから。僕は演劇には無限の可能性があると思っているし、この公演がその可能性をまたひとつ更新するものになればいいなと願っています。

ーーこの公演を経て、これから先どんな役者になりたいですか。

僕は“憧れられない役者”になりたいなと思っていて。

ーーどういうことでしょう。

「俺には真似できない」って思われたいんですよね。僕はミュージカルもしたいし、演劇もしたいし、機会があればテレビや映画もやってみたいし、声優もやりたい。時には脚本・演出だってやりたい。きっとどれも突きつめた先に全部がつながっていくと思うので、とにかくなんでも勉強したいんです。で、そういう僕を見て、同じ役者をやっている人に真似できねえって思われたい。「なんでこんなにいろんなことに挑戦してるんだ」「なんでこんなにバイタリティがあるんだ」って唖然とされたい。簡単にこの人みたいになりたいと言えないような役者になりたいんです。

それは、僕自身が憧れる役者がそうだから。松田凌くんみたいなお芝居をしたいけど、やっぱり僕には真似できないって思うんですよね。だから、リスペクトしている人たちはたくさんいるけど、そういう人たちともまた違う糸川耀士郎を確立して、この人にはなれないって周りからあきらめられる役者になりたいです。

ーーでは最後に、10年前の自分に今の自分から声をかけるとしたらなんと伝えたいですか。

難しいですね。でもきっと「素敵な10年が待ってるよ」って言うと思います。今思っているのは、あと何年かしてこの『夜啼鳥』を観返したときに恥ずかしいなって思いたいんですよ。もちろん今の自分が持っている100%をぶつけます。間違いなくこの作品が今の僕の限界値。それを何年後かに観返したときに恥ずかしいと思えたら、その分、自分の限界値をまた更新できた証拠だから。そうやって役者として成長できたとこれから先も常に思っていけるように、まずは『夜啼鳥』で自分の限界値を出し切りたいです。

糸川耀士郎

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