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江戸時代末期の諸相がそこに!企画展示「時代を映す錦絵―浮世絵師が描いた幕末・明治―」が5月6日まで佐倉『国立歴史民俗博物館』で開催中

さんたつ

web①源頼光公館土蜘作妖怪図 歌川国芳画 天保14年(1843) 国立歴史民俗博物館蔵小

江戸時代末期から明治初期にかけて起きた戊辰戦争(ぼしんせんそう)などの戦争や動乱、大地震、疫病の流行や人々を熱狂させた流行現象など、激動する時代の諸相を描いた錦絵。その歴史資料的側面に光を当てて展示される企画展示「時代を映す錦絵―浮世絵師が描いた幕末・明治―」が2025年5月6日(火・休)まで、千葉県佐倉市の『国立歴史民俗博物館』で開催されている。TOP画像=『源頼光公館土蜘作妖怪図(みなもとのよりみつこうのやかたつちぐもようかいをなすず)』 歌川国芳画 天保14年(1843)『国立歴史民俗博物館』蔵。

世相を映し出すメディアとしての錦絵に着目

『道化手遊合戦(どうけてあそびがっせん)』 歌川貞益(さだます)画 天保14~弘化3年(1843~46)『国立歴史民俗博物館』蔵。

江戸時代後期に成立した多色摺(たしょくずり)浮世絵版画である錦絵。役者絵や美人画、名所絵などによって高度な表現を成し遂げ、日本美術を代表するものとして世界的に認知されている。その一方、錦絵は江戸市中に無数に存在した絵双紙屋(えぞうしや)を通して販売された、世の中の出来事や流行を伝えるメディアとしての役割も果たしていたという。

メディアとしての性格は江戸時代末期に急速に強まっていき、天保の改革を機に風刺画のジャンルが成立してからは、世相を題材とした錦絵の中には、役者絵や美人画などをしのぐヒット作も出たという。

本展では、江戸時代末期から明治初期にかけての、激動する時代の諸相を描いた錦絵が、その歴史資料的側面に光を当てて展示される。

『弁慶なまづ道具』 安政2年(1855)『国立歴史民俗博物館』蔵。

マニアックな錦絵が勢ぞろい、解説付きで迫る

『麻疹退治』歌川芳藤画 文久2年(1862)7月 『国立歴史民俗博物館』蔵。

江戸時代中・後期に行われた出版統制令は、幕府や大名家に関する話題や政治的出来事を主題にしたものを出版することを禁じていた。そのため、規制をかいくぐるための表現も多彩に発展。本展では世相を題材とした錦絵を時代順や画題ごとに展示するだけでなく、既存の画題を隠れ蓑としながら、いかに人々に情報を伝えたのかについても紹介されているのが興味深い。

風刺画というジャンルが成立することとなったきっかけの錦絵である、「病の源頼光の枕元で法師に化けた土蜘蛛が無数の妖怪を出現させて彼とその部下の四天王を悩ませている図」の『源頼光公館土蜘作妖怪図』をはじめ、歌川国芳、河鍋暁斎、三代歌川広重らが描いた風刺画も登場する。

なかなか他ではお目にかかれないマニアックな錦絵に対しても、1点ずつ解説がつき、当時の話題や政治的出来事に対して人々がどのように見ていたかが伝わってくる。

『夏の夜虫合戦』慶応4年(1868)5月 『国立歴史民俗博物館』蔵。
『かつぽれかへうた』東柴画 明治6年(1873)『国立歴史民俗博物館』蔵。

開催概要

企画展示「時代を映す錦絵―浮世絵師が描いた幕末・明治―」

開催期間:2025年3月25日(火)~5月6日(火・休)
開催時間:9:30~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(月が休日の場合翌平日)
会場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B(千葉県佐倉市城内町117)
アクセス:JR総武線佐倉駅からバス15分、京成電鉄本線京成佐倉駅から徒歩15分
入場料:一般1000円、大学生500円、高校生以下無料
※障がい者手帳をお持ちの人と付き添い人は無料。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP  https://www.rekihaku.ac.jp/event/2025_exhibitions_kikaku_nishiki.html

取材・文=前田真紀 画像提供=国立歴史民俗博物館

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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