「次世代は水素や電気でボートが動く?」ボートショーのヤマハ発動機ブースは驚きの連続だった
3月20日(木)に横浜市で行われた「ジャパンインターナショナルボートショー2025」に潜入。マリン市場におけるリーディングカンパニー「ヤマハ発動機株式会社」のブースへ突撃取材を敢行。プレジャーボート操船の難易度を格段に下げる操船支援システムや、同社が進める次世代の取り組みについて話を伺った。
ヤマハ発動機株式会社とは
ヤマハ発動機株式会社は世界的に有名なバイクをはじめ、船や水上オートバイなどのマリン製品、電動アシスト自転車、産業用ロボットや無人ヘリコプターまで人々の暮らしを支える15以上の事業を展開している。日本国内にとどまらず多様な製品を世界に提供しているグローバルカンパニーだ。
そんな同社のブースへ訪問し、今年のブースの見どころを伺った
操船支援システム「HELM MASTER EX」
当日取材対応いただいたのは、企画・財務本部 コーポレートコミュニケーション部 広報グループの小野寺廉さんと、金森正樹さん。
最初に案内いただいたのは、「HELM MASTER EX」の操作体験コーナー。「HELM MASTER EX」は船外機用の操船制御システムで、ステアリングやシフト操作、スロットル開度など、船外機の電子制御が可能。
ジョイスティックを動かすことで、操作の難しい「横方向の移動」や「360度回転」をレバー1本で行える。そのため離着岸時や狭水路、マリーナ内など操船が難しいシーンに対して、直感的な操作が可能になる。
オートパイロット機能が搭載
「HELM MASTER EX」には、方位維持やコース維持をサポートしてくれる「オートパイロット機能」が搭載。この機能により、実釣地などのポイントを設定することで、そのポイントまで船がオートで進んでくれる。
設定したポイントに近づくにつれ減速し、最終地点でピタっと止めることができるため、操船に慣れていない方にとって魅力的な機能だ。
船内機専用の「Y-FSH(ワイ・フィッシュ)」
続いて案内いただいたのは、オフショアフィッシングボート「DFR-36」の展示。この「DFRシリーズ」は船内機を搭載したタイプのボートだが、船外機を搭載したボートと比較して船は大きくなる傾向にあり、操船には慣れが必要だ。そこで活躍するのが、船内機専用の新操船支援システム「Y-FSH」。今回展示されていた「DFR-36」をはじめ、DFRシリーズにはすべて「Y-FSH」が採用されることになっている。
「Y-FSH」はGPSとバウスラスター(ボートを横方向に移動させる動力装置)、エンジンなどと連携させることで、アンカー使用時と同様に任意の範囲内で船の位置を保持。また、船首方向の維持が可能なため、流し釣りやピンポイントで楽しむ釣りなど快適なボートフィッシングライフをサポートしてくれる。
ヤマハ発動機が進める次世代の取り組み
最後に同社が進める次世代に向けた取り組みについて紹介いただいた。
次世代電動操船システム「HARMO(ハルモ)」
「HARMO」は電動モーターを動力とする推進器ユニットと動作を制御するリモートコントロールボックス、直感的な操作を可能とするジョイスティックなどで構成された「次世代操船システムプラットフォーム」として価値を高めたシステム。
この「HARMO」は6km/h以下の低速時において強い推進力を出すことができ、遊覧途として優れている。すでに環境意識の高い欧州や、日本国内の運河クルーズで導入されており、今後も導入拡大を期待したい。
水素エンジン船外機
同社ブースの角に設置されていたのが、水素エンジン船外機の開発試作機。マリン市場をけん引する同社は、2050年までにカーボンニュートラルな社会の実現に向けて、新エネルギーを使用したエンジンの研究開発も進めているようだ。
<TSURINEWS編集部/河野>