【大西流星(なにわ男子)インタビュー】「こんな人には観てほしい」映画『恋を知らない僕たちは』
“まだ恋を知らない”高校生たちが、恋を知っていく姿を描く映画『恋を知らない僕たちは』が、8月23日(金)より公開される。
【大西流星(なにわ男子)】映画『恋を知らない僕たちは』場面写真
本作で、映画単独初主演を務める大西流星(なにわ男子)が演じるのは、恋より友情を優先し、好きな人に好きと言えずにいる英二。そんな英二を中心に、直彦(窪塚愛流)、小春(齊藤なぎさ)、泉(莉子)、太一(猪狩蒼弥/HiHi Jets)、瑞穂(志田彩良)の恋模様が複雑に絡み合っていく。
恋愛映画ならではの胸キュンシーンも満載ながら、“まだ恋を知らない”からこそ、上手く恋心をコントロールできずに悩んだり、失敗したりする高校生たちの姿はリアル。その絶妙な塩梅を演じきった大西に、撮影の裏話や、本作を通して感じたことなどを聞いた。
恋愛映画の主役をやるなんて!
――出演が決まった時の印象を教えてください。
自分が恋愛映画の主役をやるなんて!と。こんなに早くできるとは思っていなかったです。オファーをいただいてから原作を読んだのですが、すぐにファンになって。中高生を演じるシーンがあるので、「また青春を味わえる」といううれしさと、キラキラした世界に入れるワクワクがありました。
――なにわ男子のメンバーの反応はどうでしたか。
今回、主題歌(『コイスルヒカリ』)をやるということも同時にみんなの耳に届いたので、喜んでくれました。あとは、やはり恋愛映画なので、どういうキュンキュンシーンがあるのかをみんな気にしながら、ワクワクしてくれていました。
――英二は傍から見ていると、少しイライラしてしまうような一面もありますが、大西さんはどう感じていましたか。
僕も原作を読んだとき、「なんでここで告白しいひんねん」とか、英二に対するモヤモヤはありました(笑)。
でも物語が進んでいくと、英二の、まだ恋を知らないからこそ、友情を優先してしまう気持ちであったり、そうしてしまう自分にモヤっとしていることであったりがわかってきて。リアルにこんなふうに悩んでいる人たちも多いのかな?と思ったら、応援したい気持ちが強くなりました。
それに、そんな英二が、周りの人たちの影響を受けながら変わっていく姿はすごく素敵だなと。
確かに「英二、もっとちゃんとしてよ!」という感情になる方は多いとは思いますけど、最後まで見守っていただけたら、いつの間にか応援したくなるようなキャラクターになっていると思います。それは、英二に限らず、どのキャラクターにも言えることですけど。
――英二に共感できる瞬間はありましたか。
キャパオーバーになってパンクして、ポカーンとした表情をするシーンがあったんですけど、本当にパンクしたら、自分もああなるのかなって思いました(笑)。戦意喪失というか。あの表情は自分の素が出ていたような気がします。
――英二のように、もし親友と同じ人を好きになってしまったらどうしますか。
実際にあったらカオスだとは思いますけど、やっぱり諦めきれないんじゃないかな。それで壊れる友情ならとも思うし、自分の気持ちはきちんと伝えるかもしれないです。
――「6人のうちの誰かには共感できるのでは?」というコメントも出されていましたが、大西さん自身はどのキャラクターに一番共感しましたか。
瑞穂(志田彩良)ですかね。自分の気持ちは伝えるけど、相手の恋は邪魔しない。恋愛においても、友情においても、真っ直ぐに気持ちを伝えられる人は素敵だなと思うし、僕もそういう人でありたいなって思います。だから、共感というよりは、尊敬に近い想いかもしれないです。
――逆にこの人のこの対応はないな、とかは?
そう言われると小春(齊藤なぎさ)ですかね。英二からするといいスパイスになって、いろんな感情を教えてくれる、素敵な存在ですけど、周りをかき乱すキャラクターではあるので。現実の世界に居たら少し厄介かなと(笑)。
けど、そんな小春にも周りには見せない葛藤もあって、それが映画の中では描かれているからこそ、嫌いにはなれない存在でもありますね。
お勧めの胸キュンシーンは“棚ドン”
――英二には、普段、アイドル活動をされている時には見せないような表情や姿もたくさんありましたが、その点で意識したことはありましたか。
アイドル活動をしている時は、1分1秒でもいい姿を見せないとという意識があるので、常にビジュアルを気にするんですけど、英二でいるときはそのスイッチを切るというか、あまり気にしないようにしていました。
役柄的にガサツな部分もあるし、少年っぽさというか、ちょっとやんちゃな男子高生みたいな感じを出さないといけなかったので、僕自身、学生時代、男同士でワイワイしていたようなタイプでもなかったから、自分の中の知らない引き出しをたくさん開けながらやっていました。
僕にとっては勉強になりましたし、学生に戻って、こういう生活も一回してみたいなっていう気持ちにもなりました。
――大西さん自身はワイワイするタイプではなかったんですね。
仲のいい人たちの間だけでワイワイするようなタイプでした。英二みたいにみんなからちょっかいを出されるような感じではなかったです。なので、演じていて新鮮で、楽しかったです。
英二は輪の中心にいて、周りを焚きつけるようなところもあって、そこは英二の人の良さであり、みんなから好かれるところなのかなと思います。
――制服を着るとスイッチが入るとかもありますか。
他のお仕事でも未だに制服を着る機会はあるんですけど、着ると学生時代のことを思い出すことはありますね。あと、今回に関して言うと、着崩すとか、いろんな着こなしのパターンもあったので、そこも楽しめました。鏡を見て「俺、まだ学生いけるかも」とかって思いながら(笑)、気持ちを作っていきました。
――少女漫画ならではの、胸キュンシーンの撮影はどうでしたか。
原作とにらめっこをしながら、酒井監督とも「こういうシーンはしっかり再現したい」というお話もして、原作をリスペクトして撮影をしていきました。
現場でも原作を見ながら、「もうちょっとこうかも?」とかって、体勢を気にしたり。「これは現実ではないだろう」と思うようなところもありますけど、それだけに、この作品でしか味わえない経験もたくさんさせていただきました。
ただ、そういう非現実的なキュンキュンシーンもありながら、お話としてはリアルに刺さる部分も意外と多くて。そのギャップも面白いんですよね。
――お勧めのキュンキュンシーンは?
いろんなキャラクターのキュンキュンシーンが詰め込まれていて、盛りだくさんなんですけど……やっぱり、英二と瑞穂の図書室での“棚ドン”ですかね(笑)。足を抱えてあげるっていうのもあるし、距離もかなり近くて。今までにはなかったようなシチュエーションだとも思うので、注目してほしいです。
刺激をもらえるいい撮影期間になりました
――直彦(窪塚愛流)、太一(猪狩蒼弥)とのシーンはどんな雰囲気でしたか。
監督からは、男同士でいるときにしか出さないようなノリとか、わちゃわちゃ感を大事にしてほしいと言われていて。だから、撮影以外でもたくさん話をして、距離を縮めていきました。それでこそ出せたテンポ感もあったのかなと思います。
関係性としては、友達同士ではありますけど、それぞれに恋心を抱えていて、応援したいという気持ちもありながら、ライバルでもあるという微妙な感じなんですけど。
――演じた窪塚さん、猪狩さんの印象は?
愛流のことは、本読みのときから「どういう人なんだろう?」と思ってよく見ていたんですけど、意外とおっちょこちょいで、抜けてる部分があって(笑)。可愛らしくて安心しました。そんな愛流が等身大で演じている直彦が、この作品にすごくマッチしているなと思いました。
ガリさん(猪狩)は、同じ事務所ですけどがっつり共演したことはなくて。ただしっかりしていそうだなというイメージは強かったんです。そしたら案の定、年上なんじゃないか?って思うくらいで(実際は猪狩が1歳年下)(笑)。現場の空気の作り方とか、座長を立ててくれるところとか、本当にしっかりしていました。
――座長として意識したことは?
これまでも主演作はあったんですけど、どの作品でも自分が座長だと意識したことがなくて。「ついて来い!」みたいな座長には全然なれず。今回も監督が座長っぽいことをしなくてもいいよと言ってくださったので、肩の力を抜くことができました。
物語の展開としても、6人のキャラクターがそれぞれの位置からストーリーを回していくので、主演という立場ですけど、6人のバランスを見ながら、その時にスポットが当たる人を立たせていくような構図がありました。
そこがこの映画の魅力かなとも思うので、みんなで足並みを揃えながらやっていましたね。やっぱり、座長としては何もできていないかも(苦笑)。
――皆さん、すごく仲が良さそうに見えるのですが、何かきっかけがあったのですか。
大変なシーンを一緒に乗り越えたとか。撮影スケジュール的にみんなで助け合わないといけない部分もあったから、一致団結して、部活のような感じもありましたね。
あとは、「おはよう」から「バイバイ」まで、たくさん話をしました。お互いに撮影で「こういうことがあったんだよ」って報告をし合ったり。地方に滞在しての撮影だったこともあって、合宿をしているような状態でした。
それから、意外と共通点も多くて。愛流は高校の後輩で、ガリさんは同じ事務所で、(齊藤)なぎさちゃんも元アイドルだったり。それぞれいろんな方面で頑張っている人たちが集まった感じもあって、刺激をもらえるいい撮影期間になりました。
――合間に話して印象的だったことは?
「泣く演技って難しいよね」っていう話とか。あまり他の俳優さんからお芝居の話を聞く機会がなかったから、たくさん話を聞いて、勉強にもなりました。
――酒井麻衣監督の演出はいかがでしたか。
とてもきれいな映像を撮られる監督さんという印象があって、一つひとつの動作や表情まですごくこだわられていました。
けど、お芝居に関しては「こうしてください」ではなく、「こういうのはどうですか?」と、提案をしてくださる形で、演じる側にめちゃくちゃ寄り添ってくださいました。お芝居がしやすかったです。コミカルなシーンだと思いっきり笑ってくださったり、素敵な監督さんでした。
「まさかこの季節に……」
――ご自身で完成作を観たときはどう思いましたか。
撮影をして、2ヶ月後くらいには完成していたので、ついこの間の記憶が一つの映像になっているようで、不思議な感覚がありました。
一つひとつのシーンにすごく思い入れがあるし、自分が出ていないシーンに関しては、初めて目にするのでワクワクしたし、どのシーンを切り取ってもすごくきれいな画になっているし、キュンキュンするし、「これこそが少女漫画の実写化」というぐらい眩しかったです。
――わりと客観的に観ることができたんですね。
そうですね。お客さんとして観ることができました。でもエモい気持ちにはなりました。思い出がたくさん詰まっていたので。
――観ていて、撮影時を思い出すことも?
中学生のシーンは、クランクインでもあったので、まだ英二というものを探っているところもあって、ドキドキしたなっていう想いが蘇ってきました。
花火大会とか、文化祭とか、イベントのシーンは、みんなでアドリブを考えたり、一緒に乗り越えた感覚が強かったので、改めて「みんなのおかげでここまで来れたんだ」という、感謝の気持ちも湧いてきました。
アドリブは自分が出てしまってもダメなので、キャラをしっかりと守りながら、みんなで「こういう感じにしよう」って話して。難しかったけど、楽しかったです。
――まさに“ザ・青春”と言えるような、制服のまま海に飛び込むシーンの撮影はどうでしたか。
台本を読んで、初めてそのシーンがあると知ったとき、「まさかこの季節に……」とは思いました(笑)。春の撮影だったので。しかも、前日に雨が降って、すごく水も冷たかったんです。濡れてしまうから、失敗はできないという気持ちで、(窪塚、莉子と)円陣を組んでから挑みました。
完成作で観てみたら、寒さを感じさせない、夏の青春というものになっていたので良かったです。あの時の苦しさは、スタッフさんと僕たちだけの秘密です(笑)。
SUPER EIGHTの大倉忠義くんにも観てほしい
――ご自身の学生時代を振り返って、一番「青春していたな」という瞬間は?
高校3年生の時ですかね。1年後には制服が着れなくなると思ったら、焦りが出てきて。もっと友達と楽しまなきゃって、制服でタピオカを飲みに行ったり。ちょうど、いろんなアプリが流行った時期でもあったので、フィルターを使ってたくさん写真を撮ったりしていました。
あの時にしかない感情もあるなって。一瞬で過ぎていくものですけど、振り返ると濃い思い出がたくさん残っています。
今回の撮影も期間としては1ケ月ぐらいでしたけど、撮影でも、撮影以外の裏側のところでも、いろんな経験をさせてもらって、僕の人生の中での濃い1ページになりました。
――敢えて「この人には観てほしい」という人はいますか。
高校のときの友達とか。自分たちの高校時代にはできなかった甘酸っぱい青春を、その頃の自分と重ね合わせて観てほしい(笑)。
あとは、(SUPER EIGHTの)大倉(忠義)くんにも観てほしいかも。たぶん、少女漫画の実写映画とかは、普段、観ないと思うんですよね。だから、観て、青春という気持ちを思い出してほしいです(笑)。ハマってくれそうな気がするんですよね。それから、ちゃんと「主演やりましたよ」という報告もしたいです。
メンバーは、お互いの主演作を一緒に観るという決まりがあるので、これも一緒に観たんですけど、キュンキュンシーンになるたびに視線を感じました。予告で使われているシーンが近づいてくると、みんなソワソワしてきて、「きゃー!」みたいな(笑)。
他の人がいない状態で観ているので、応援上映みたいになっていました。メンバーの反応は楽しかったですし、自分が共演者、スタッフの方々と一緒に作り上げた作品なので、それを胸を張ってメンバーに見せられたことがうれしかったです。
――観客の皆さんにはどんなところを楽しみにしてほしいですか。
この作品は6人それぞれの恋の仕方が描かれていて、恋とは? 好きとは? 友情とは?とか、いろんな問題も出てくるし、観る人によってさまざまな感じ方ができると思います。
6人の恋愛を観て、これまで自分がしてきた恋愛を重ねるのもありだし、こういう恋愛をしてみたいなって思ってもらうのもありだし、感じ方は無限大だと思うので、フラットな気持ちで観にきていただけたらと思います。
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なにわ男子のメンバーが思わず「きゃー!」と声をあげたという胸キュンシーンを始め、浴衣で花火大会、文化祭でお化け屋敷、クリスマスに学校でライブなど、キラキラとした青春のエピソードが満載! 一方、そんな中で描かれる思い通りにはならない恋心はリアルで、大西さんが言うように「ギャップ」も魅力の映画となっています。ぜひ、劇場でお楽しみください。
作品紹介
映画『恋を知らない僕たちは』
2024年8月23日(金)より全国公開
(Medery./瀧本 幸恵)