沖縄・南城美術館で『蜷川実花展 with EiM 光の中で影と踊る』が開幕 蜷川実花氏と宮田裕章氏が作品に込めた想いとは(コメントあり)
2024年11月27日(水)から2025年5月30日(金)まで、沖縄・南城美術館で『蜷川実花展 with EiM 光の中で影と踊る』が開催される。
南城美術館の2024年企画展として開催される同展は、写真家・映画監督で映像・空間インスタレーションなど様々な分野で作品を発表している蜷川実花氏が、データサイエンティストの宮田裕章氏・映像ディレクターの名児耶洋氏・テクニカルディレクターの打越誠氏らによるクリエイティブチーム“EiM”と共につくる展覧会だ。
同展の開催にあたり、蜷川氏とEiMは沖縄県の様々な場所を訪れ、地域の自然や風景を撮影。蜷川氏は、自身初となる水中での撮影にも挑戦しているという。なかでも、夜咲いて朝には散ってしまう幻想的な植物“サガリバナ”との出会いは、展覧会のタイトル 「光の中で影と踊る」にもつながったとのことで、キービジュアルとして採用。沖縄の自然がもたらす「光と影」のコントラストを美術館の各所で体感できるような構成で、作品が展開する。
同展開幕前日にはオープニングセレモニーが行われ、蜷川氏と宮田氏が登壇。展覧会に込めた想いを語った。
蜷川氏、宮田氏、キュレーターの沓名美和氏のコメントは以下のとおり。
蜷川実花(写真家・映画監督)
今回の展覧会のお話をいただいてから、新作を撮るために4回沖縄を訪れました。沖縄は元々とても大好きで今まで数えきれないぐらい来ているんですが、改めて作品を撮るためにいろんな風景を目にしたとき、感じるものが全然違いました。今までよりも深い沖縄に触れることができ、とても大切な経験になりました。
また、以前から撮りたいと思っていたサガリバナを撮影できたこと、初めて水中撮影に挑戦できたことなど、新しい表現も経験することができ、私自身の次へのステップを踏めるいい機会になったと思います。
夜に咲き一晩で散ってしまうサガリバナの撮影は、今回のテーマにも繋がりとても象徴的なことでした。撮影している中で、さっきまで咲いてた花がポタポタと音を立てて川に落ち、それが水面に広がり流れていくという、数時間でどんどん風景が変わるという、今まで見たことのない幻想的な光景を目にしました。それが、生と死、光と影が表す生命力を表現する全体のテーマに繋がっています。
写真の展示がメインになってますが、美術館全体が作品になるような、この場所でしか見られない、南城美術館のためにつくった作品群になってます。
自分でも驚くぐらいに良い展覧会になっているので、ぜひ足を運んでいいただけたらなと思います。
宮田裕章(データサイエンティスト/EiM)
今回の展覧会の開催にあたり何度もこの土地を訪れ、沖縄の素晴らしさに敬意を感じると共に、ここだからできる表現を探してまいりました。それを美術館の3つのエリアで展示しています。
南城美術館はもともと邸宅だったことから、住居空間とホワイトキューブ型の企画展示室、庭のエリアがあります。
斎場御嶽と背中合わせにした美しい森を有する庭には、斎場御嶽の写真そのものはあえて使わずに敬意を表し、そこで感じた祈るような気持ちを表現している作品の展示をしています。
住居空間だった館内は、南城美術館のコンセプト「暮らしの中にあるアート」を踏まえ、花の作品のみに揃え、日常と花が一体となる新しい視覚体験を生み出しています。
敷地の一番奥にある企画展示室は、全て今回の展示のために沖縄で撮り下ろした作品で構成し、今回のテーマでもある沖縄の強烈な光と影が生み出すコントラストを映像と写真で表現しています。
一人一人感じるものは違うと思いますが、ご自身の感覚に耳を澄ましていただけると素敵だなと思います。
沓名美和(キュレーター)
蜷川実花さんの作品には、彼女にしか知覚できないような一瞬や、彼女だからこそ撮れるような造形が宿っています。自然も環境も絶え間なく変化する沖縄で、ほんの一瞬だけ見せる沖縄のプリミティブな一面を巧みに撮影されています。
また、本展覧会ではクリエイティブチーム宮田裕章さん率いるEiMが、映像・音響・展示空間などさまざまな要素を使って空間を作り上げています。蜷川実花さんの光と影の表現の新しい世界、新しい知恵へと押し進め、展覧会自体を非常に立体的なものにしています。
南城美術館は自然光を取り入れた展示空間ですので、作品も、光時間や天気の移ろいによって豊かな表情を見せてくれます。ぜひ、何度も足を運んでお楽しみいただければと思います。
『蜷川実花展 with EiM 光の中で影と踊る』のチケットは、イープラスにて2025年5月29日(木)18時まで一般発売中。