第3回エッセイコンテスト【小中学生部門】結果発表!
地域新聞社は、今年も小学生・中学生を対象にしたエッセイコンテストを開催しました。
2024年度、第3回(※)の募集テーマは「約束」。
11月~1月頭に募集を行い、厳正なる審査の結果、最優秀賞、優秀賞に選ばれた3作品を紹介します。
たくさんのご応募、誠にありがとうございました!
※2024年度から一般部門と小中学生部門を分けて実施しています。
最優秀賞「生まれる前からの約束」
千葉県船橋市 新山 翔愛さん(中1)
私には、産まれる前から父と交した約束がある。父との最初で最後、唯一の約束が。
私は長野県松本市で誕生した。それから母は、たった一人で私を産み、育ててくれた。
母は最初、女の子が欲しかったらしく、出生前診断で性別が判明してからというもの、男の子だと言う事にそれはそれはガッカリしてしまったらしい。
手元にはもう既に、ピンク色のベビー服まで用意して、女の子スタンバイ状態だったのだから、私に言われても困ってしまうことではあるが、母の落ち込み度は、周りからも気の毒に思われてしまう程だったのでは無いかと、想像に硬くない。
女の子が生まれ、可愛いフリルの着いた服を着せて、一緒に買い物をしたり遊んだりしたかったのだと、母はすまなそうな顔をして謝ってくれた。なかなか性別判断がつかなかったのも、そんな母の事を思って、胎児の私が隠していたのかもしれないと、おかしな事を言って笑っていた。
ところが、そんな母を見て、父がそれは嬉しそうに
「そっか、男の子か。早く出てきて、パパと一緒に一生ママを守ろうな」
と言ったのだと、話してくれた。
その言葉を聞いた瞬間、母はお腹の中の私が、男の子である事が、嬉しくて誇らしくて堪らなくなったと、懐かしそうに幸せそうに笑って言った。
私が産まれる一ヶ月前に、仕事先で亡くなった父。会うこともない、話だけ写真だけの父。その父に、確かに私は愛されていた。そう確信できる唯一の約束。たった一言で、父は母に、お腹の中の子供の性別ではなく、私が産まれてくることを、その喜びを、伝えて分かち合ってくれたのだ。
今、私は十四歳になった。母は一人で私をここまで育て上げてくれた。私はと言えば、父との約束を未だ果たせないでいる。少し生意気でかなり未熟な私は、父と一緒にまだ母を守る域に達していない。父との大切な約束を守る為に、私は明日を生きていく。
優秀賞「約束が結ぶ絆」
千葉県東金市 左海 律志さん(中2)
「弟か妹がほしい」と願う私に、両親は困った顔をしながらも「約束するよ」と答えてくれました。その言葉は子どもながらに大きな期待と安心感を与えてくれました。
その約束を忘れていた、小学五年生の春、両輪が兄と私を犬の散歩に誘い、冬には新しい家族が増えることを告げました。その瞬間、心の奥で眠っていた約束を思い出しました。
翌年の一月末、妹が生まれました。
病院で初めて小さな手足に触れたとき、妹の指が、私の指をしっかりと握りました。その温もりは、両親が守ってくれた約束の重みと、新しい命の力強さを感じさせるものでした。この瞬間「守る」ということの意味を初めて知りました。
私は中学生になり、妹は二歳になりました。兄は高校生になり、忙しい中でも私との約束を守る人でした。
ある日、部活で疲れているのを知りながらも、「約束してたよね、一緒にゲームしよう」と言うと、「いいよ」と快く応じてくれました。その背中を見て、優しさとは自分を犠牲にしても人を思いやることだと、学びました。
しかし、私は妹との約束を忘れてしまったことがあります。
ある日の夕方、満面の笑みで私の帰宅を待ち、おままごとに誘ってきました。「後でね」と言うと、妹は嬉しそうに「うん」と返事をしました。宿題や友人との連絡に気を取られているうちに、その約束を忘れてしまいました。
夕食時、「きらい」と言われ、胸が締め付けられました。その言葉には、彼女なりの真剣な気持ちが込められていました。「ごめんね、ご飯を食べてから一緒に遊ぼうね」と謝ると、妹は強く手を握り返し、笑顔を見せてくれました。その温もりが戻ったとき、言葉だけではなく、行動で気持ちを示す大切さを学びました。
約束はただの言葉ではありません。それは相手を信じ、思いやる行動そのものです。両親からは信じること、兄からは人を思いやること、妹からは言葉の重みを教わりました。これから私は、誰かにとっての「約束を守る人」になりたいと思います。約束を守ることで、人との絆が深まり、互いの心が結びつくからです。
優秀賞「やくそくのやくそく」
千葉県柏市 阿知 奈尚さん(小1)
わたしは、ほいくえんのときは、はずかしがりやのひと見しりで、じぶんからおともだちになってほしいといったことがなかったけど、小がくせいになって、はじめてじぶんからおともだちになってくださいといった子がいます。そして、いまではその子と一ばんのなかよしになりました。いつもじかんをわすれるくらいいっしょにあそんでいます。すきなえ本やすきなたべものもおなじで、はなしもあうし大すきなおともだちです。
でも、一つだけきらいなところがあります。それは、やくそくをまもってくれないことです。このまえもまちあわせのやくそくをやぶられました。もしかして、きらわれているのかもとかんがえるようになって、かなしい気もちになりました。モヤモヤした気もちのままではいやなので、おもいきって「どうしてまちあわせのばしょに、きてくれなかったの」ってきいたら、「ごめんね、わすれていたの」といっていました。
その日のよる、パパといっしょにおふろにはいっているときに、そのことをきいてもらいました。すると、パパからいがいなことをいわれました。わたしも、パパのやくそくをやぶっているというのです。わたしは、おもいあたらないのでパパにきいて見ると、ほしいおもちゃがあったので、パパにおねだりをしたときだったようです。パパは、「かたたたきを五十かいしてくれたらかってあげるよ」って、わたしとやくそくをしたのにやぶられたと。そして、パパもかなしい気もちになったといっていました。
わたしも、おともだちといっしょでわすれていました。けっきょく、わたしもやくそくをやぶってパパをかなしい気もちにさせていたのだと気づいたので、はんせいしました。わたしは、パパと「こんどからは、やくそくをまもるね」とやくそくしました。そして、おともだちもおなじやくそくをしてくれました。