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新宿駅の隣の京王新線「初台駅」には何がある?【住みたい街の隣も住みよい街だ】

さんたつ

001隣の街も住みよい初台

新宿駅は「1日の利用者数が世界最多」と2022年のギネス世界記録に認定されている。さすが高層ビルとネオン街が共存したエネルギッシュな場所、新宿だ。そんな世界レベルで人が集まる新宿駅の隣駅はどんな駅なのだろう? ということで、【住みたい街の隣も住みよい街だ】第7回は新宿駅の隣駅、京王新線「初台駅」周辺を散策します!

2.6㎞続く緑道で自然補給

初台駅は、東京都渋谷区にある京王電鉄京王線(京王新線)の駅だ。新宿駅の隣だから新宿区だとばかり思っていたが、ギリギリ渋谷区にある。

初台駅の改札はいくつかあり、観光目的であれば『東京オペラシティ』や『新国立劇場』に直結している東口改札が便利。ちなみにこの2つの施設は隣接しているが、『東京オペラシティ』は新宿区で、『新国立劇場』は渋谷区だった。

なおこの日はあいにく1日中雨です。

今回は住みやすさ目線で散歩したいので「初台商盛会」という商店街がある南口に出てみることにした。すると、平日という事もあって人はまばら。

大通りを挟んですぐそばのエリアに都庁や明治神宮・代々木公園があるような立地だと思うと、この商店街に来るのは地元の人か、この辺りで働いている人が多そうだ。

初台駅のすぐ近くに、玉川上水が暗渠(あんきょ)化された緑道が続いていた。いい散歩道!

勝手にコンクリートジャングルを想像していたけど、自然が駅近くにしっかりあった。

この「玉川上水旧水路緑道」は、玉川上水の地下水路に沿って、およそ2.6km続く都市公園。ベンチが並んでいてひと休みできるのはもちろん、すべり台やブランコなどの遊具もあるし、夏は水遊びも楽しめるみたい。

きっと、住んでいる人も働いている人にとっても憩いの場に違いない。

“初台の良心”と言われる「初台スーパー百貨店」

商店街のメイン通りをズンズン進んでみる。おいしそうなうなぎ店、中華料理店、チェーン居酒屋、コンビニ、ドラッグストア、クリーニング店などが並ぶ。

隣の『セブン-イレブン』に擬態したような『餃子の王将』がちょっと面白い。
オシャレなカフェもある。ファースト(初)ヒルズ(台)コーヒー!

さらに進むこと5分ほど、気になる建物を発見!

開業から70年近くになる「初台スーパー百貨店」。

ザ・昭和の雰囲気が漂うスーパーだ。ガラス戸から見える部分はガラーンとしていて、正直入りにくい。ただ「営業中」の旗が立っているし、たまに入っていく人がいたので思い切って入ってみることに。

すると、奥には立派な青果店、鮮魚店、精肉店が並んでいた。

新鮮な野菜や果物が並ぶ青果店。
鮮魚店の魚もフレッシュ!

鮮魚店の大将が魚を捌(さば)きながら「ここ昔は洋服屋さんとかお総菜屋さん、駄菓子屋さん、金物屋さんなんかが並んでいたんだよ」と教えてくれた。

私が子供の頃住んでいたところにも昔、いろんなお店がギュッと集まったスーパーがあったなと懐かしくなる。

あちこちに小学生が描いたポスターが貼ってあってほほえましい。

「初台スーパー百貨店」の中には子供による手描きのポスターがたくさん貼ってあった。20年くらい前から近所の小学校の子たちが社会科見学で来るのだという。

魚を捌きながらいろいろ教えてくれる鮮魚店の大将。
精肉店でコロッケを購入。揚げたてサクサクで最高!

建物内を周遊するだけで新鮮な食材が揃う。

めちゃくちゃいい場所見つけたぞ、と興奮していたのだが……。なんと2025年5月で老朽化による建て直しで閉店。

精肉店は場所を移動して再開するそうだが、青果店と鮮魚店はこの機会に閉業とのこと。

すごく残念だけど、ギリギリのタイミングで来られて良かった。

「初台スーパー百貨店」で買い物をし終えた地元の方に少しこの辺りのお話を聞いた。

やはりこの「初台スーパー百貨店」がなくなることをとても残念がっていた。ただスーパーは他にも、『まいばすけっと』や『オーケー』も近くにあるとのこと。野菜を売っているパン屋さんもあると教えてくれた。

また意外だったのは、『東京オペラシティ』を地元の人もよく利用している、ということだ。

「初台スーパー百貨店」をよく利用していた地元の方。

『東京オペラシティ』はコンサートやアートなどを楽しむ文化施設なだけでなく、中層階に会社が多く入っている。よく調べるとジムや歯医者などのクリニック、郵便局に書店などいろいろなショップが低層階に入っていて便利なのだ。

また、53階は展望レストランとなっており、食事をしながらこの辺り一帯の景色を眺めることができておすすめとのこと。

いま来た商店街を振り返ると『東京オペラシティ』(234m)がドーン。曇ってテッペンが見えないのがまた親玉感あってすごい。

地元の3姉妹が作る新鮮食材のヘルシー料理店『トモキッチン』

「初台スーパー百貨店」でお話を聞いた地元の方に、ついでにおすすめの食事どころも教わった。商店街にある『トモキッチン』さんだ。

教わらないと通り過ぎてしまうような控えめな外観。

お店に入ると、ほぼ満席。お弁当を買い求めるお客さんもたくさんいた。どうやらこの辺りで働いている人たちらしい。

このお弁当がまたすごくおいしそうで一気に食欲が湧き上がった。

別売りでぬか漬けまである! 丁寧さがうかがえていい。
豚肉とブロッコリーの生姜焼きをオーダー。彩り豊かでキラキラ輝いてます! 全部うまい!

初台生まれの3姉妹が2015年から営んでいるそうだ。野菜を多く使っていて、体にも目にもうれしいメニューだった。

食材はさきほど訪れた「初台スーパー百貨店」で仕入れたものもよく使っていると言っていて、初台らしい食事ができて大満足。

ほどよく小物が飾られた店内もかわいらしい。

一番奥の1人席は、商店街が見える。特等席かも。
店員さんが、商店街では阿波踊りに力を入れていることも教えてくれた。写真は先ほどのスーパーで見つけたもの。

この商店街では毎年9月22日と23日に阿波踊り大会が行われるそうだ。高円寺の阿波踊りに影響されて1970年から始まったそうで、今では1万人近くの観客が来るという。

こんな都心でも、ちゃんと商店街のお祭りが続いているとは驚きだった。

「たしかに本の読める状態」を守るカフェ『fuzkue(フヅクエ)』

駅の方に少し戻ると読書に最適なカフェ、『fuzkue』さんがある。

読書に没頭できる環境を保つため、会話やタイピングを伴うパソコンの使用を禁止しているカフェだという。穏やかな静けさのなかで、気兼ねなく読書を楽しむことができる。

写真右のビルの2階。1階は床屋さん、隣は有名なうなぎ店。

ガラス戸から中を覗(のぞ)くと、お客さんが1人いた。音を立ててはならない、と忍びのように店内に入り、お店の方にジェスチャーで少し話を聞きたいことを伝えると、ドアの外に出てきてくれた。

『fuzkue』は、ここ初台からスタートし、他にも下北沢と西荻窪にもお店があるそうだ。

優しく対応してくれた『fuzkue』代表の阿久津隆さん。

さきほどの『トモキッチン』と同じく、『fuzkue』も初台にオープンして10年ほど。ここ最近は新しいお店が増えてきたと言いつつ「初台は渋谷区だけど下町」という印象があるそうだ。

この言葉、今日出会った人たちも口々に言っていた。確かに、阿波踊りの話やスーパーに飾られた子供たちのチラシを見ると“下町感”があるのは納得。近くに4つくらい銭湯があるのも、それを感じさせる。

「初台スーパー百貨店」の話になると阿久津さんは「『初台の良心』ですね」と素敵な表現をしてくれた。

書籍が並ぶ店内。お酒も飲める。本×お酒、かっこいい!
静かで素敵な空間で好きなドリンクを飲みながら読書。最高の空間だ。また改めて行きたい。
1階は床屋さんで、この2階は以前は美容院だったそう。ドア前にある「おしゃれのごあんない」シールはその名残だそうだ。

さて、せっかくなので甲州街道を挟んで反対側にあるもう1つの商店街「ふどう通り」も歩いてみよう。

ふどう通りは、『東京オペラシティ』のすぐ裏手にある。

ラーメン店と美容室とレトロな建物が集まる「ふどう通り」

ふどう通り(不動通り商店街)。うっすらだが奥には高層ビルが見える。

ふどう通りには、商店街の名称の由来になった幡ヶ谷不動尊がある荘厳寺があった。他には飲食店や、喫茶店、スーパー『フレスコ』、『まいばすけっと』などがある。さらに進めば幡ヶ谷のにぎやかな六号通り商店街に交わるため、買い物は困らなそうだ。

飲食店は特にラーメン店が多く、地元の方いわく「隙間があればラーメン屋ができる」ほど激戦区らしい。

また、驚くほど美容室が多い。この辺りだけで軽く10店以上ありそうだが、なぜ多いのかは地元の人に聞いても分からなかった。

なぜか美容室が多い!
レトロなビルも多い!
定休日で入れなかった純喫茶『車』(臨時休業中)。
呪文のようで読み上げたくなるが、何一つ意味が分からないお店(調べたら閉店した高級化粧品店)。

ふどう通りを少しそれると、マンションやアパートが多い。

そう、思っていたよりずっと住宅地だ。ショッピングやましてや観光目当てで人がうろつくような場所ではなく、普通に住むためのエリア、といった雰囲気。

2階部分に、盆栽のように植栽された造形物を発見。
もう一つの玄関の上には富士山。趣があってちょっとおもしろいな。

こちらの建物が気になったので隣の美容室の方に聞いたところ、この辺りはむかし左官屋さんや大工さんが多く住んでいたそうで、その職人さんがやったのだろうとのことだった。

また、近くには本村(ほんむら)隧道(ずいどう=トンネル)という印象に残る景色もあった。

本村隧道。上は水道道路と呼ばれる東京都道431号角筈和泉町線。むかしは玉川上水から淀橋浄水場へと水を送っていたそう。
反対側。パルテノン神殿を彷彿とさせる造りが面白い。
独立型の青果店で夏みかんを買った。店主が「昔は夜までにぎやかなエリアだったけど今はすっかり静かだよ」と教えてくれた。

放課後はここに集まれ!『フレンズ本町』

たしかに静かだ。平日な上に雨が降ってるしな。そう思っていると子供たちがキャッキャ言いながら勢いよく入っていく施設を発見。

子供に大人気の施設『渋谷区 児童青少年センター フレンズ本町』。

撮影はNGだったけれど見学はOKとのことで施設内を見させていただいた。学校終わりの子供たちがたくさん!!!

地下2階から地上3階まであり、バスケやバドミントン・卓球などができるアリーナ、ダンススタジオ、音楽スタジオ、小中高サロン、工作室、自習室兼図書室、クライミングウォール、ローラースケート場などがある。

どの部屋も元気いっぱいの子供たちであふれていて(近くに美容院が多いだけあって、やたらオシャレな髪型の子が多い気がした)、すごいにぎわいだ。この辺りの子供たちが全員集まっているんじゃないだろうか。

イベントもカードゲーム大会、元プロ選手が来るバスケ教室、「自販機の中身を決めよう!」というユニークなものなど……楽しそうでうらやましい。

いただいたパンフ。運動からものづくりまでいろいろな体験ができるし、近所の友達もできていいなあ。

また、子供たちのためだけでなく、地域の交流をはかる『地域交流センター本町』も併設されている。会議や懇談会などに部屋を貸していたり、高齢者向けに浴室もあった。

地元の方たちにとってはとても大切な交流施設なんだろうなあ。

散歩の締めに「初台スーパー百貨店」に戻り、地元の方におすすめされていた焼き芋を買った。たっぷり入って270円。とても甘くておいしかった。

こんな感じで初台の散策は終了。

「初台スーパー百貨店」に、50年以上続く阿波踊り大会、レトロな建物、最後に訪れた児童向け施設。渋谷区の端っこの初台は、「都心でありながら実は下町」だと地元の人が言うのが実感できる場所だった。

特に、「初台スーパー百貨店」にたくさん貼られていた歴代の子供たちの手描きポスターを思い出すと胸がキュンとなる。初台でこんな感情になるなんて。

一方で、快適な読書空間や、芸術に触れられる文化施設といった大人が喜ぶ場所もある。新宿駅の隣という利便性以外に、たくさんの発見ができて良い散歩だった。

さて、次はどの駅の「隣」に散歩しにいこうか。

取材・文・撮影=小堺丸子

小堺丸子
ライター/ビル毛収集家
東京都葛飾区生まれ。上野・浅草あたりが庭。視点をちょっとずらした企画や、ガイドブックには載らないだろう地元の人ならではのプチ情報を取材するのが好きです。人にすぐ声をかけがちで、偶然出会った人が記事によく出てくるのが特徴です。趣味はビル毛集め(https://san-tatsu.jp/articles/294153/)。お散歩ラジオも始めました(https://podcasters.spotify.com/pod/show/osanporadio)。

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