130年以上かけて洗練された本州最北端の歌舞伎をご覧あれ!!~福浦歌舞伎~
日本が誇る伝統芸能・歌舞伎。
青森県下北地方の西側に位置する佐井村では、130年以上もの間、その土地独自の歌舞伎が伝承されています。
その名も「福浦歌舞伎」。
地元の漁師たちによって演じられる漁村歌舞伎です。
毎年県外の協力者を募り、村民と県外の方々が協力しつつ、洗練された歌舞伎の演技を披露しています!
歌舞伎の館へGO!
福浦歌舞伎は昭和63年に福浦歌舞伎伝承100周年記念で建設された「歌舞伎の館」で上演されます。
取材班も実際に行ってみることに…
歌舞伎の上演ではお馴染みののぼり旗も飾られており、本格的。
こちらが歌舞伎の館です。
逸る気持ちに従って、早速中に入ってみましょう!
玄関では、福浦歌舞伎の立派な暖簾が観客をお出迎え。
さらに奥へ向かうと…
歌舞伎の演者が写ったロールカーテンもあります。
館内に飾られているさまざまな展示物を見ると、劇場へと向かっていく観客のボルテージも上がります!
最奥まで辿り着くと、待ち焦がれた歌舞伎の舞台が出現。
想像以上の大きさに、大興奮です!
そして、舞台の右側に控える「福浦の歌舞伎」の旗も雰囲気を盛り立てます。
金色を基調として、豪華な見た目です。
上演開始!
三番叟(さんばそう)
そうこうしているうちに、上演開始です!
最初は「三番叟」が演じられます。
「三番叟」とはたくさんのお客様の来場を歓迎し、演技の中で事故がないよう舞台を清める舞のこと。
今回は地元の高校を卒業したばかりの若い男性が演じているそうです。
動きがパワフルで迫力があり、鑑賞していると元気がもらえるような、素晴らしい舞でした。
一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)
続いて上演される演目は「一谷嫩軍記」。
今回は「第一幕 敦盛須磨浦に駆け込みの場」と「第三幕 熊谷・敦盛首取の場」が上演されます。
平敦盛と熊谷直実の一幕は個人的にも好きなワンシーンであり、歌舞伎ではどのように表現されるのか、非常に楽しみです。
源平合戦中の出来事というのもあり、戦いのシーンが多く、満足感が高いです!
また、武器をとっての戦いはものすごい迫力であり、目の前で本物の武士同士の斬り合いをみているかのよう。
緊迫した演技の中でも、セリフは訛っているので、佐井村らしさも感じられ、演者に対して「頑張れよ!」と声援が飛び、地元ならではのあたたかさも感じられました♪
個人的に特に驚いたのがこのシーン↓
史実では敦盛の首が飛んでいるのですが、歌舞伎の演技でも敦盛の首が「本当に」飛んでいるのです!
どの様にして首を飛ばしたのか、仕組みは分かりませんが、あまりの再現度の高さに、驚きが止まりません。
津軽民謡と津軽三味線
続いて歌舞伎ではないのですが、津軽民謡と津軽三味線が披露されました!
福浦の歌舞伎は北海道道南地域、青森県津軽地域、下北地域の「津軽海峡交流圏」で郷土芸能を通じた交流に取り組んでいて、そのご縁で県内外から三人の演者が参加してくださったそうです。演者は「休憩がてら聞いてください」とおっしゃっていましたが、その歌唱・演奏の出来栄えはもはや主役級!
今日は休憩はないぞと言わんばかりの大迫力の「津軽じょんから節」などを披露してくださいました。
太閤記九段目(たいこうききゅうだんめ)
これまで素晴らしい演技・演奏で観客を魅了してきた「福浦歌舞伎」
そのトリを飾るのは「太閤記九段目」です!
明智光秀が本能寺で織田信長を討ってから、秀吉に敗れて滅ぼされるまでの「三日天下」を題材とした作品です。
このあらすじを聞くと、前半の題目で見られた様な血生臭く迫力ある戦いが見られると思っていたのですが、様子は一変。
献上するものが佐井村の特産品であり、PRの姿勢を欠かさないセリフや演技が観客の笑いを誘います♪
また、所々でユーモア溢れるアレンジが加えられており、肩の力を抜いて、楽しく鑑賞できました。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
今回は知る人ぞ知る、本州最北端の歌舞伎の世界をご覧に入れました。
上方の歌舞伎とは異なる進化を遂げ、佐井村独自の文化として、村民や県民に定着した福浦歌舞伎。
今後も村民だけでなく、県外の協力者も巻き込みながら、伝承・進化していく福浦歌舞伎から目が離せません!