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【中学受験 はじめの一歩】 「向かない子基準」で考える「中学受験をする目安」とは? 〔塾ソムリエが解説〕

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中学受験のはじめの一歩、「受験するかしないか」で悩んでいる保護者の方に「中学受験をする目安」「受験のメリット・デメリット」を解説。中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表で、「塾ソムリエ」としても活躍する西村則康さんがわかりやすく教えます。

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首都圏近郊を中心に中学受験が盛り上がりを見せる昨今、「我が子の受験」について、悩んでいるという保護者の方も多いのではないでしょうか? そこで今回は、中学受験の「はじめの一歩」から考えてみましょう。「受験をする目安」や「受験のメリット・デメリット」などについて、中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表で、「塾ソムリエ」としても活躍する西村則康さんに伺いました。

中学受験の目安を「小学3年生で判断」する理由とは?

「中学受験は親の受験」とも言われます。子どもの頑張り同様、それを支える親の役割もとても大きく影響します。

まずは、親が子どもの特性や興味を踏まえたうえで、「なぜ中学受験をするのか?」という理由を、明確にしておきましょう。中学受験をする子どもだけでなく、それをサポートする家族みんなが共通の認識をもって、ゴールまで息切れせずに走り切れるよう、しっかりと話し合うところから始めることが大切です。

これから中学受験を迎える親の中には、「そもそも我が子は中学受験に向いているのか?」と、漠然とした不安を抱いている方も少なくないでしょう。

受験する中学の学力や偏差値にかかわらず、中学受験の学習範囲は膨大です。これからスタートする受験のカリキュラムについていけるか否かは、何を基準に考えればよいのでしょうか?

これまで東西の難関中学に3000人以上の子どもたちを合格させてきた実績を持つ「名門指導会」代表の西村則康さんは、「中学受験をする目安」として、小学3年生の段階で次の様子から判断するとよいと言います。

~中学受験をする目安~
・毎日、家庭学習をする習慣がついている
・学校の宿題をきちんとやっている
・学校のテストでどの教科も90点以上を取れている
・ブラブラせずに椅子に座っていられる
・相手の話をきちんと聞き、理解しようとしている
・良好な親子関係が築けている       など

「中学受験では、大手を中心に塾に通う子も多いでしょう。大手進学塾では、非常にたくさんの宿題が出されます。その宿題を日々こなすには、小学3年生の段階で、きちんとした家庭学習の習慣がついていなければ難しいでしょう。

普段から学校のテストで、どの教科でも90点以上を取れている子は、塾での勉強にも戸惑いなく入っていける可能性が高いと言えます。

長期戦となる受験準備では、親のサポートは欠かせません。親子関係が良好に築かれているか否かも、重要なポイントになります」(西村さん)。

「向かない子」を基準に考える

中学受験に向く子、向かない子については、「向かない子」を基準に考えるとよいと、西村さんは続けます。

「例えば、これまでに、何もやってこなかった子、つまり、基本的な語彙力や計算力が不足している子どもには、中学受験はあまり向かないかもしれません。読書習慣が少なかったり、掛け算がスムーズにできなかったりする子が、それに当てはまります。

低学年で習う国語と算数の知識が、きちんと身についているか否かがポイントです。

基礎学力がなければ、それ以上のことを学ぶことはできません。中学受験の国語の入試問題は、最難関校においては、大学受験の現国とあまり変わりがないレベルが出題されますので、基礎学力がない子は、どんどんついていけなくなってしまいます。

そのほかにも、小さいころからたくさんの習い事をやり過ぎて、すでに『やらされている感でいっぱい』になっている子にも、あまり向かないでしょう。少しの我慢や忍耐は受験には不可欠ですが、過剰な我慢や忍耐を強いるのはよくありません。子どもに裁量権を与え、自由に好きなことをする時間を確保してあげることが非常に重要です。

また、目の前のことは、我が子にとって、今、本当に必要なことなのかどうかを、親がしっかりと見極めて、やるべきことを判断していくことも必要です」

中学受験に向かない子においては、無理に中学受験を推し進めるのではなく、中学受験について考えるこの経験をよい機会として捉え、高校受験を目標にこれからの学習を考えてみましょう。

メリット・デメリットは取り組み方次第

「中学受験は高校受験と違って、『する?』『しない?』を選択できる受験です。中学受験の大きなメリットは、失敗してしまっても進学できるという点。早いうちの失敗は、その後いくらでも挽回するチャンスがあります。

中学受験が終わるまでに、その過程で成功体験のみという子は、とても少ないはずです。人は失敗からたくさんのことを学びます。つまずいた地点に立ち戻り、見直すことで、この先の人生をより良く歩むうえでの重要な力を養うことができます」と西村さん。

また、整った環境下で中学受験に取り組めば、「たくさんの知識を得ることができる」「思考力が高まる」「忍耐力がつく」「自己コントロールができるようになる」など、いいことだらけだと言います。

西村さんは続けます。「ですが、親の気持ちばかりが逸(はや)って、子どもに『やらされている感』が強くなってしまったら、無気力になったり、わがままになったりしてしまい、デメリットとなり逆効果です。さきほども言いましたが、子どもに裁量権を与え、楽しいと思えることをして過ごす時間もつくってあげることがとても重要です。

その際、受け身となるような、テレビやYouTubeばかり見るのはNG。親自身が普段から楽しそうに本を読んでいる姿を見せたり、子どもと一緒に読書する時間を設けたりするなど、主体的で深い学びにつながる読書習慣や体験をうまく取り入れ、子どもが楽しいと思える瞬間を増やしてあげてほしいですね」

~中学受験を通して身につく力~
・失敗からの学び
・たくさんの知識を得ることができる
・思考力が高まる
・自己コントロールができるようになる   
・忍耐力がつく         など

ここまでは、中学受験について向かない子を基準に紹介しました。第2回では、「中学受験に必要な力」について、引き続き西村さんにお聞きしているので、ぜひ読んでみてくださいね。

取材・文・構成/えのとまり

西村則康(にしむらのりやす)
教育専門家。中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。日本初の「塾ソムリエ」としても活躍。難関中学・高校受験指導を一筋に行う家庭教師のプロフェッショナル。男女御三家、慶應、早稲田、海城、世田谷学園、渋谷教育学園幕張、灘、洛南高附属、東大寺学園、神戸女学院など、東西の難関校に合格させた生徒は3000人以上。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)など多数。

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