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「『まだできる!』と惜しんでもらってやめる方が自分らしい」金子侑司選手引退会見&引退セレモニー

所沢なび

サプライズだらけの引退会見

ダイヤモンドを所狭しと駆け回った「ライオンズのスピードスター」金子侑司選手。2012年にドラフト3位で内野手として入団すると、2016年には初めてのタイトルとなる盗塁王を獲得。その俊足を活かすため翌2017年には外野手に転向し、2019年には再び盗塁王に。ライオンズのリーグ2連覇に大きく貢献しました。

今季は開幕スタメンを務めたものの、6月には登録抹消。それでもファームで3割近い打撃成績を収め、「そろそろ昇格して苦しいライオンズを救ってくれないかな」と期待していたところで9月に入ってから突然の引退宣言。驚く声、惜しむ声、労をねぎらう声。SNSには様々なファンの声が上がりました。

「来年のライオンズの戦いに自分が加わってるイメージができなかったので、そう思ってしまった瞬間に、もう現役を引退しようと決断しました」


9月15日(日)、ベルーナ ドームで行われた千葉ロッテマリーンズ戦の前に行われた引退会見で、「難しいな」と何度も言葉を選びなおしながら、引退の決断に至る複雑な心境を打ち明けてくれた金子選手。

「なんとかもう一回一軍に上って、ファンのみなさんに自分がプレーしているところを見てもらおうと、その思いだけでファームでも若手たちと頑張っていたのですが、それが叶えられなかったことは少し残念でした」

「いい時も悪い時もたくさんの応援をいただいて、『これがプロ野球なんだ』と教えていただいたのも、ここまで来れたのもファンの方々のおかげだと思ってます。 今日の試合はみなさんに本当に楽しんでもらえるように精一杯頑張りたいなと思います」

苦しい日々の中でも常にファンのことを気に留めている。そんな金子選手の優しい人柄が伺えます。

メディアの質疑応答の後には、いつのまにか会場に現れた同期入団のOB髙橋朋己氏から「同期についての愛情はどうなのか」と質問が飛び出すサプライズが。

そしてさらにもう一つ、森脇投手、元山選手、平沼選手、山野辺選手がサプライズ登場。「試合後の引退セレモニーで花束を渡すけれども、どうしても今自分たちから渡したい!」と、花束を贈呈しました。

髙橋朋己氏といい森脇投手ら4選手といい、金子選手がどれほど周囲から慕われているのかがよく分かる、心がほっこりするサプライズでした。


Ms.OOJAさん登場。そして引退試合

試合前にはアーティストのMs.OOJAさんが登場。びっくりするほど衣装に溶け込んだ金子選手のタオルを腰に、金子選手の登場曲「Footprint」と「Heroes」の特別バージョンを披露してくれました。金子選手も、いつも自分を打席に送り出してくれたMs.OOJAさんの歌声を、一言一言歌詞を噛み締めるように聞き入っていました。



試合では1番レフトでスタメン出場。試合中に守備位置をセンター、ライトと変更する監督代行が粋な演出を見せてくれました。

7回、ライオンズで金子選手と一番仲のいい源田選手がベルーナ ドームで2年ぶりとなるホームランを放ち、二塁ランナーの金子選手をホームに返すという感動的な場面に、ファンは「こんなドラマティックな展開ある!?」と感動に打ち震えました。


8回にはレフトライン際のフライをスライディングキャッチするファインプレーが飛び出すと、その裏の仲間が回してくれた2アウト満塁の現役最終打席では、惜しくもヒットにはならなかったものの火の出るような痛烈なショートライナーを放ちました。

「まだできる!」「引退する選手のプレーじゃない!」。好守に渡るスーパープレーに、SNSでは金子選手の引退を惜しむ投稿が相次ぎました。

金子選手本人も会見で「自分の中でもまだできるかなと思うところはある」としながらも「『まだできるよ』とか『やめないで』と惜しんでもらってやめる方が 自分らしいかなと思い、ある意味潔く引退しようと思います」と語っていました。去り際は美しく。それもまた金子選手らしい美学なのかもしれません。

感動のセレモニー 「感謝の気持ちをしっかり伝えたい」

いよいよ金子侑司選手とお別れの時、引退セレモニーが始まりました。ベルーナ ドームの大きなLビジョンには、ライオンズファンとしておなじみのピアニストの清塚信也さんやタレントで司会者の小倉智昭さん、かつてのチームメイト、東北楽天ゴールデンイーグルスの浅村栄斗選手や広島東洋カープの秋山翔吾選手、そして、一緒に自主トレを行い、自身も今季限りでの引退を発表した東京ヤクルトスワローズ青木宣親選手からのメッセージが流れます。そんなメッセージを、金子選手は時々笑みを浮かべながら聞いていました。


源田選手、増田投手、そして奥様と愛犬からも花束を受け取った金子選手でしたが、お別れのメッセージは「感謝の気持ちをしっかりお伝えしたい」と本人が書いた手紙がLビジョン流れるという趣向で行われました。ファン一人一人が文章を読み込むことで、スピーチよりもさらに心の奥深くにメッセージが沁み込むような、そんな印象を受けました。

「ファンの皆様へ
どんな時もたくさんのご声援 本当にありがとうございました。
グランドに立っている時の皆様の応援はいつも心を震わせてくれ いつも力になってくれました。
ライオンズファンの皆様の応援が12球団で1番だと思っていますし、僕は本当に大好きです。
これからは僕も ライオンズを応援する皆様の一員に加えさせていただきますのでよろしくお願いします。
本当にありがとうございました。」

手紙の最後、ファンに直接感謝の気持ちをしたためたメッセージは特に強く心に響きました。


場内一周では、応援団が演奏する自身の応援歌を、足を止めていつまでも聴き入っていました。「かっとばせ〇〇!」というお馴染みのコールのない、金子選手に相応しい斬新でスピード感のある、ファンにも人気の名曲。このまま時間が止まってほしいと願いたくなるような感動的な光景でした。ひょっとしたら金子選手自身も思っていたのかもしれません。




「自分は最後までライオンズでやろうと決意してここまでやってきたので、本当にお世話になりましたという気持ちです。たくさんの仲間たちに出会えましたし、本当に幸せなライオンズ生活だったと思います」

12年という長い現役生活をライオンズ一筋で駆け抜けた金子選手。こちらこそ、ねこさんの活躍を見ることができた12年間は幸せな日々でした。

「今後の進路はまだ特に決まっていない」とのことですが、金子選手がどの道に進んだとしても、現役時代同様に応援させてもらえればと思います。

ありがとう、ねこさん! 金子侑司の第二の人生に幸あれ!


【金子侑司選手コメント】
 ファンの方へ 少しでも多くベルーナ ドームでプレーする姿をお見せしたくて、がんばってきましたが、叶えることができず申し訳ない気持ちです。ライオンズで過ごした12年間は夢のような楽しい時間でした。入団してからこれまで、たくさんのご声援ありがとうございました。ファンの皆さんの声援は、これからも一生忘れません。

【渡辺久信ゼネラルマネージャー兼監督代行コメント】
  金子は生涯ライオンズを貫いてくれた選手です。守備は一級品ですし、足もあってファンの皆さんを魅力する華のあるプレーが印象的でした。痺れるファインプレーもあって、チームのためにがんばってくれたと思います。

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